新MacでLinux VM版:Kubuntu24.04LTS ④ Kubuntu Package
本連載ではAppleSilicon(M1系)で仮想マシン上にLinuxを入れる方法を、全くの初心者の方でも理解できるように説明しています。
この連載の全記事目次はこちら
1.先に進むための最低限の知識
ここから先、Linuxを操作しながらKubuntuをインストールして行きますが、最低限下記の知識が必要です。
・ログインの仕方
・システム終了の仕方
・コマンドの入れ方
・仮想端末の使い方
・エディタの操作(vimもしくはnano)
当然知っているという方は読み飛ばして下さい。
1-1.ログインの仕方
これは簡単ですし既に前回の最後で実行したと思います。設定したIDとパスワードを入れてログインします。
1-2.システム終了の仕方
今の時点ではデスクトップが入っていません。Linuxを終了するには下記のコマンドを使います。
終了
shutdown -h now
再起動
reboot
1-3.コマンドの入れ方
画面に出ているプロンプトに続けてコマンドを入力し、enterです。
コマンドを受け付けて実行してくれているプログラムをシェルと言い、今使っているのはbashという名前のシェルです。
このbashは補完機能がついています。例えば、先程のshutdown -h now
と打つ時、shut
まで入力してtabキーを押すと、残りを推察してshutdown
まで自動的に入れてくれます。タイプミス防止に繋がりますので、これも覚えておきましょう。なお、候補が複数残っている時はtabキーを2回押すと、候補が表示されます。
1-4.仮想端末の使い方
コマンド入力の画面は、複数使えます。切り替えるには、Macのキーボードで言うとcommand + F1
から F6
を押します。6枚の画面が使えるわけですね。ここにコマンドを入力して行きます。
また、画面をクリアするにはCtrl+l
を打ちます。また、一度ログアウトするにはexit
と打ちます。
1-5.エディタの使い方
今回直ぐには使いませんが、端末でエディタを使うには
nano ファイル名
と入れます。全く初めてLinuxに触る場合はnanoが良いです。
起動すると下に操作ガイドが出ます。ctrl + o
が保存、ctrl + x
で終了です。
(UTMの場合キーボードに不具合があり、2連続でCtrl+x
を押さないと反応しませんでした)
2.パッケージ操作
前回までで書きましたが、Ubuntuはアプリの配布をパッケージで行っています。その操作の基本を知らないと入れられません。
パッケージ操作用のコマンドは、Ubuntuの場合aptというプログラムです。
apt search 検索するフレーズ
例えばkubuntu
という文字が入っているパッケージを探す際にはapt search kubuntu
と入れます。
apt info パッケージ名
正しいパッケージ名が分かったら、このコマンドでパッケージの詳細を見ることが出来ます。
sudo apt install パッケージ名
パッケージをインストールします。頭についているのはsudo
というコマンドで、続くコマンドは管理者権限で実行しますよ、という意味です。これを付けないとエラーが出ます。インストールする先が管理者でないと変更できない場所だからです。
sudo apt remove パッケージ名
sudo apt purge パッケージ名
入れたパッケージを取り除くためにはremove
を使います。もう一つ、purge
というコマンドもありますが、違いは設定ファイルを残すかどうかです。(purgeが消す方)なお消されるのはインストール時に同時に保存されるシステム設定ファイルの事で、自分のディレクトリのファイルではありません。
sudo apt update
sudo apt upgrade
既に入っているパッケージに更新がある場合、upgrade
で更新できます。その確認の為にLinuxシステム内に保存されているパッケージリストを更新するのがupdate
です。
3.インストール(時間がかかります)
ではいよいよです。まず手元のシステムを最新にします。
このセクションを完了するには1時間半から2時間を見て下さい。
3-1.システム更新
sudo apt update
sudo apt upgrade
パッケージは日々更新されています。必ず実行しましょう。次にkubuntuを入れます。apt install
は複数のパッケージ名を同時に指定ことが可能です。ここではkubuntu-desktopと一緒に関連パッケージも入れます。
3-2.kubuntuインストール
sudo apt install kubuntu-desktop kubuntu-docs kubuntu-restricted-extras kubuntu-restricted-addons language-pack-kde-en language-pack-kde-ja plasma-workspace-wayland
ここで、apt installコマンドを使う時は、なんと補完がききます。kubuntu-des
まで入れてtabキーというやり方です。尚補完はsearch
やinfo
では効きません。
すると、パスワードを聞かれ、インストールされる大量のパッケージが表示され、これを入れてよいか聞いてきます。Yを入力して実行します。
パッケージ | 内容 |
---|---|
kubuntu-desktop | Kubuntu Desktop 本体 |
kubuntu-docs | Kubuntuのドキュメント類 |
kubuntu-restricted-extras | 完全フリーでないフォント等 |
kubuntu-restricted-addons | 完全フリーでないライブラリ等 |
language-pack-kde-en | Kubuntuの言語パック:英語 |
language-pack-kde-ja | Kubuntuの言語パック:日本語 |
plasma-workspace | Waylandで動作させるためのパッケージ |
インストールは時間がかかります。1400個以上のパッケージをダウンロードする上、それを解凍し、配置し、各種設定を行い、システムに変更を加えます。回線によっては1時間半以上かかる場合もあります。
3-3.パッケージ
その間に、上記の指定したファイルについて説明します。
パッケージは一つのファイルとは限りません。依存関係があって、このパッケージを入れるにはこのパッケージも必要という情報が埋め込まれています。
例えば上記のubuntu-desktopについて見てみます。忘れないで下さい、インストールの途中であっても、画面を切り替えればLinuxは使えます。command + F2
を押して切り替え下記コマンドを実行します。
apt info ubuntu-desktop
すると大量の関連パッケージが並び、画面が切れてしまいます。もう一度、今度はこの様に入れます。
apt info ubuntu-desktop | less
後ろにこの様につけると、出力結果がlessというプログラムに手渡されます。lessはファイルを表示して画面をスクロールしたり検索したりできるリーダーです。カーソルキーで上下させてみると、最初の方にこうあります。
Package: kubuntu-desktop
Version: 1.451
〜中略〜
Depends: .....大量のパッケージ名
このDependsが依存パッケージです。さらにこの依存パッケージにも依存パッケージもあります。これらはバージョン管理され、正しい組み合わせで入る必要があります。これを整理し管理してくれるのがaptです。
下にスクロールさせて見ると、こうあります
Conflicts: neon-all, ...パッケージ名
〜中略〜
Description: Kubuntu Plasma Desktop/Netbook system
This package depends on all of the packages ....
Conflictsというのは競合するパッケージ。ここではneonという名前のパッケージが出ていますが、これは同じPlasmaデスクトップの別バージョンです。Descriptionは説明書きです。この様にパッケージの内容は見ることができます。
3-4.Firefoxバグ(解消済み)
さて、インストールを待っていると、現時点(2024年5月1日)現在では、下の画面で止まるバグがありました。しかしその後Firefoxがバージョンアップしたことにより、ここに書いてあるバグは解消したようです。30分ほど待ってMacOS側でネットワークが全く動いていない(アクティビティモニタで確認)のに進まない場合に参考にして下さい。
Firefoxのインストールが終わらない時はこちら
これはどうやらFirefoxパッケージを入れる際のバグのようで、いくら待っても復帰しません。
そこで、command + F2
で画面を切り替えて、稼働中のプログラムを一覧する下記のコマンドを実行します。
top
すると、現在稼働しているプログラムが、大雑把に言えば激しく動いている順に並びます。
この画面では一番上にsnapというコマンド、その下にsnapdというコマンドが出ていますが、刻一刻と変化します。
ここでキーボードのc
を押すと、右側のコマンドが詳細な表示に変わります。この方が分かりやすいので切り替えます。
しばらく放置です。やがてコマンドに自分が入力したaptコマンドが出てくるようになります。
こうなったら、qキーを押してtopを終了し、下記のコマンドを入力します。
sudo service snapd restart
パスワード入力
→ここでWarning(警告)が出ていますが、ここは無視して大丈夫です。
その後command + F1
でインストール画面に戻り、更に放置すると、やがて動き出すかと思います。これはインストーラが裏で動いているsnapdというプログラムが再起動するのを待っていて、いつまで経っても再起動しないから起きるようです。それを強制的に再起動させました。ところが、このコマンドをタイミング悪く入れすぎると今度はインストーラの予期せぬ所で再起動されてしまうため、エラーが出ました。
上記エラーが出た場合、エラーメッセージに含まれているコマンドを入力してもう一度インストールコマンドを実行すると上手くいきましたが、お勧めはしません。尚、bashはコマンド履歴を持っているので、カーソルを上下するとそれまでに入力したコマンドが出てきます。カーソルで確定しますので打ち直さなくても大丈夫です。
3-5. restrictedパッケージのライセンス承認
やがて画面がこの様に変わります。
これはインストールするパッケージにkubuntu-restricted-XXXが含まれてい為に出る確認画面です。まずこれは、マイクロソフトのttf(TrueTypeFont)を入れてよいか確認しています。tabキーで画面下のOKに移動できますので、移動してenter。
するとライセンス確認画面が出ますので、Yesに移動してenter。
するとその後更にインストールは続きます。
やっと終わりました。
3-6.追加言語パッケージ
最後に言語関係の漏れを調整します。今回日本語と英語の言語パックを入れましたが、他に入れたパッケージにこれらの言語に対応する為の補助パッケージがある場合、必要なパッケージが出てきます。
sudo apt install `check-language-support`
この右に払う ` は,Macのキーボードだとシフト + @ です。7のキーではありません。こうすると囲まれたコマンドが実行された結果がここに埋め込まれます。
もし気になるなら、check-language-support
だけで実行してみると良いでしょう。もし言語関係で不足がある場合にはそのパッケージ名を返します。今後も色々なアプリを入れると必要になる場合があるので覚えておくと良いでしょう。
以上でインストールは終わりです。再起動します。
reboot
すると起動メッセージのあと、GUIのログイン画面が出てきます!
ログインしてみましょう。
おめでとうございます!!🎉
4.終わりに
ひとまずこれでKubuntuのインストールが完了しました。しかし、このままでは幾つかの不具合が残っています。
次回はその修正をしていきましょう。楽しいのはこれからです。まだまだ続きます。
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