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新MacでLinux VM版:Kubuntu24.04LTS ⑩ Japanese Env

2024/05/25に公開

本連載ではAppleSilicon(M1系)で仮想マシン上にLinuxを入れる方法を、全くの初心者の方でも理解できるように説明しています。
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1.日本語化を考える

さて、このシリーズもとうとう10本目です。今回は日本語化について紹介します。
いまさら!?という声が聞こえてきそうですが、最後にしたのはちょっとだけ理由があります。

ここまで英語で進めてきて、もう英語でいいやって感じてませんか?(笑)

前に書きましたが、英語で使うことになれるとメリットもあるので、ひとまず英語で進めてきました。
では日本語化について進めていきましょう。

2.そもそも日本語化って

例によってやり方だけだと気がすまないので、ちょっと日本語化について考えてみることにします。
興味ない方は読み飛ばして下さいね。

2-1.日本語化には色々あるのです

日本語化というのは画面のメニューなりが日本語表示される事を指しますが、Linuxの事を考えると奥深い世界なんです。歴史的に段階を踏んで来ました。

Linuxの元となるUNIXは当初WindowSystem(GUI)が無いOSでした。細かい話は置いておくとして、Linux以前に本家UNIXでも最初は英語のみ。それが段々と多国言語に対応していきます。日本語化としては商用のUNIXが独自の拡張を得て日本語対応していきました。
同時にGUIであるXWindowも独自の多言語化が進んでいきます。

つまり、日本語を表示するには2つの違う世界があります。一つはGUIが無い状態のLinuxで、今でもターミナルのコマンドが日本語表示される為に使われる仕組みです。
もう一つはGUIに日本語を表示する仕組みです。アプリのメニューなどがこれに当たります。

2-2.幾つかの方法

Kubuntuの日本語化には幾つかの方法があります。

  1. Kubuntuを丸ごと日本語化する。
  2. 一部アプリだけ日本語化する

この後どちらもやってみます。

3.日本語化する方法

ではやってみましょう。

3-1.Kubuntu全体を日本語環境にする

設定を開き、Reginal SettingsからRegion & Languageを開きます。
右に並ぶ項目から、一番上のLanguageの右Modifyを押します。

すると現在の言語が出てきます。幾つかの言語を指定できるようになっていますが、基本は一番上の言語が使われ、表示できないものは下の言語が順番に使われます。ダメなら英語になりますから基本は日本語だけ設定します。
Change Languageを押します。

すると言語のリストが出てきます。真ん中くらいに日本語がありますので選択します。

するとさっきの画面で、日本語になります。ここでApply

すると画面上部に

Changes will take effect the next time you log in
(変更は次にログインした時有効になります)
Necessary locale and language support files have been installed. It is now safe to turn off the computer
(必要なロケールと言語サポートファイルがインストールされました。コンピュータの電源を切っても安全です)

と出ますので、再起動しましょう

再起動してログインすると、日本語になっています。まずこれはアプリランチャー。アプリによっては名前まで日本語になっていますね?(つまりこのアプリをターミナルから起動する時の名前はここではわかりません・・)

次に設定。概ね日本語になりますが、一部は英語のままです。

次にターミナルを開きます。次のコマンドは、UNIXのマニュアルを参照するものです。
man 調べたいコマンド名で検索できます。この例はmanコマンドのmanを見ています。
こちらも歯抜けですね・・英語と混ざっています。終了はqキーです。

man man

次にあえてcpとだけ入れます。オプションが必要なコマンドですが、あえてエラーを出します。
エラーメッセージも日本語に成っていますね。これはコマンドによります。多くのコマンドは英語だけしかでません。
次のコマンドを入れると、コマンドのヘルプが出ます。ここも日本語と英語まじりですね。

cp --help

FireFoxブラウザを起動します。さすがWindowsやMacでも日本語化しているアプリ。同じ様に日本語になっています。

最後にファイルマネージャのDolphin。日本語になっています。しかし例えばドキュメントフォルダなど、左の表示は日本語、右のアイコンでは英語となっています。当然、本物は英語名のフォルダです。このあたり、MacOSは全て共通の日本語にする仕組みが施されていて一貫していますよね。でも全て日本語になると、例えばターミナルでcd Documentsとしてそのフォルダに移動するとしましょう。
cd ドキュメントと打ちのはややこしいですし、日本語IMが必要です。日本語対応していないコマンドだとフォルダが日本語では動作しません。GUI以外で使う時日本語入力をする方法を別途インストールする必要があります。

以上が完全に日本語化する方法です。色々と不都合を書きましたが、一方で機能を理解するために日本語で使ってみるのは効果的でしょう。

3-2.アプリごとに日本語環境にする(英語ベース+日本語環境の紹介)

それならシステムは英語にするけど、一部日本語で使いたいと思うかも知れません。できます。
逆に日本語設定にしておきながら、一部のアプリだけ英語にすることも出来ます。

私は普段完全に英語で使っていますが、例えば日本語のmanを見たい時の為に工夫していたりします。それを含めて私の環境を紹介していきます。

3-2-1.英語環境にもどす

先ほど日本語環境にした方は同じ様に英語に戻します。あ、設定メニューなど、日本語にすると並び順が変わりますから気をつけて下さいね。

3-2-1.言語設定があるPlasmaアプリの場合

では例として標準アプリを見ていきます。

Dolphin

まずファイルマネージャーのDolphinです。これをはじめとするKDEスタイルのアプリは、同じ方法で可能なものが多いですね。
右上の三本線(ハンバーガーメニュー)を押し、ConfigureConfigure Languageを選択。

言語設定が出るので、primary languageJapanese(ja)を選択します。

これで表示が日本語になります。

Konsole

Konsoleターミナルです。SettingからConfigure Languageを選択。
Dolphinと同じ画面が出るので、Japanese を選択します。

これで日本語になります。

FireFox

FireFoxは、独自の多言語化があります。MacOSでも同じです。まず右上のハンバーガーメニューからSettings

出てきた設定画面のLanguageを探します。そこで、日本語を選択。

日本語に切り替わりました。私はFireFoxは日本語で使っています。MacOSと合わせるためです。

Discover

さて、ここまでは簡単でしたが、Discoverは設定を開いても言語設定がありませんね。では出来ないのか?というと出来ます。折角なので試しました。
完全日本語化した時日本語になるアプリなら必ず方法があります。そうでないと日本語化出来ませんからね。この方法は、他のアプリでも使えるはずですので覚えておいて損は無いでしょう。

まずアプリランチャーを開き、Discoverのアイコンで右クリックし、Edit Applicationを選択します。

するとランチャーがアプリを起動する時の設定が出ます。

Environment VariablesLANGUAGE=ja_JP と入れます。その後OKを押して確定します。

すると他のアプリは英語でも、Discoverは日本語です!

ここで、Environment Variableとは環境変数と呼ばれるものですが、Linuxではこの設定内容をみて動作を変える作法が一般的です。
ここで使ったLANGUAGEは言語設定に関するもので、ja_JPは日本語を表します。知っている方はなぜLANGでは無いのかと思うかも知れませんが、PlasmaではLANGUAGEで設定を切り替えており、これはLANGより優先されますので、LANGを変えてもアプリの言語は切り替わりませんでした。

コンソールアプリ

例えばコンソールを開いてnanoを使いたい、それを日本語環境にしたい場合。
上で使ったテクニックをまず手で試してみます。コマンドの前に環境変数の設定を付け足すには次のように打ちます。

LANGUAGE=ja_JP.utf8 nano


すると日本語になりました!

しかし毎回打つのは大変です。これを避けるにはシェルの設定で alias を使うのですが、説明すると長くなるため割愛します。
しかしどうしてもという人の為に、おまじないを。

nano ~/.bashrcと打ち、ファイルが開いたらファイルの最後に次の1行を追加して下さい。ターミナルを再起動すると次回からnanoと打つだけで日本語になります。戻したい時はこの行を削除して下さい。

alias nano='LANGUAGE=ja_JP.utf8 nano'

マニュアル(man)

Linuxにはマニュアルが入っていて、コマンドの使い方からプログラミングや設定に関わる情報もあります。日本語版のマニュアルは有志の方々によって翻訳されたものがネットにあり、Ubuntuのパッケージにもなっていますが、少し古い場合が多いです。どうしても最新版は英語なんですね。

manの使い方は簡単で、下記の通りです。man cpとすればcpコマンドのマニュアルが表示されます。

man キーワード

これをnanoと同じ方法で、かつ英語と日本語を使い分けられるようにしましょう。
下記の一文をnano ~/.bashrcで開いたファイルに追加します。英語で調べたい時はman、あれば日本語で調べたい時はjmanを使えるようになります。合わせて日本語マニュアルパッケージも入れましょう。

~/.bashrc に追加
alias jman='LANGUAGE=ja_JP.utf8 man'
下記コマンドを実行
sudo apt install manpages-ja
sudo apt install manpages-ja-dev

どうぞman cpjman cpを試して見て下さい。


3-3.その他

今まで日本語表示にする方法について書きましたが、もう一つ説明をしておきます。Linuxの多言語化は古くから行われていて、GUIだけとは限りません。先程書いた環境変数LANGUAGEもコンソールアプリの言語設定を変える仕組みでもう少し細かい設定が可能です。
設定を開き、Reginal SettingsからRegion and Languageを開きます。改めて見ると、一番上の Language以外にも色々並んでいますね。Languageを日本語にするとその他も連動して変わりますが、その後個別に設定可能です。

例えば時刻表示のフォーマットTimeを開いてみます。検索するとJapanがありますね。

するとTimeの設定だけが日本語表示に変わりました。

再起動すると、右下の時計が二本の表示順になっています。

ターミナルを開いてdateという日付を表示するコマンドも日本語になります。

4.終了

長々と日本語化について書きましたが、実に奥が深いのがこの分野です・・・。
これから使い始める方は、慣れた後に調べてみて下さい。

ではお疲れ様でした!!

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