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炎上プロジェクト中のPM・リードエンジニアに捧ぐ。炎上時のテクニック集

2022/09/20に公開

この記事で伝えたいこと

炎上プロジェクトにおいて、少しでも、どうにかするためのテクニックを集めました。
誰かの参考になれば幸いです。

心構え

腹を括る

炎上プロジェクトは自分やメンバーの心身を削るものです。
諦めたり、逃げの気持ちで「〜〜だと聞いている」、「最善をつくす」、「やってみなければわからない」といった他責の言葉を使いがちです。
しかし、そうであるうちは成功はありません。
腹をくくり、「厳しい局面ですが、〜〜すれば乗り越えられます」、「○○するために、〜〜からはじめましょう」というように自分の責任でトラブルを解決するという意思を明確にしましょう。

※しかし長い人生のうち、本質的に炎上プロジェクトで心身を削ることは全くの無意味です。腹を括ったら、心身を削らないことにも腹をくくりましょう

理解する

メンバーを理解し1on1を実施する

共に火消しする頼もしいメンバーのことを知りましょう。
炎上中は視野が狭くなりがちです。意外とメンバーがいいアイデアを持っていることが多いです。
ですので、週1回1on1の機会を設けて、話すとよいでしょう。
1on1には上記以外にも以下の目的があります。

  • メンバーのモチベーションを戻す(上げるではない)
  • 離職リスクの検知
  • ガス抜き

クライアントを理解する

まずクライアントのキャラクターを整理しましょう。
どういう人間なのか、どこに妥協できるのか、どこに不信感が芽生えるのか、など
プロジェクトはクライアントの別のタスクの進捗に影響を与えることがあります。予め、プロジェクトが遅延した場合、単にスケジュールを後ろ倒しすればいいのか、それとも、稟議を上げる必要があったり、プロモーションの開始時期をずらさなければならないのか。そういう自社-クライアント間の外側の利害関係についてヒアリングしましょう。
今後の指針になります。

状況を理解する

炎上時に限らず、往々にしてあるのが情報の散逸です。ドキュメントがslackある。googleDriveにある。backlogにある。githubにある。プロジェクトの情報があっちこっちに散らばってしまっています。
この散らばった情報を1箇所に集めましょう。
おすすめはリンクで辿れるWiki形式です。
例:
○○プロジェクトWiki

  • 要件
    • 要件の資料1
    • 要件の資料2
    • 要件の資料3
  • 仕様
    • 仕様1
    • 仕様2
    • 仕様3
      こうすることで、今まで同じように情報が散逸してしまっていても、1箇所から情報を辿ることができます。

整理する

情報を整理する

状況を理解したあとは整理です。
整理していくと曖昧な要件がたくさんでてきます。
それらを仕様書、テスト仕様書、フロー図、ドメインオブジェクト図などで表し、曖昧な要件を具体化していきましょう。

クリティカルパスを確認する

プロジェクトを進めていく上でスケジュールに影響が出る作業経路のことをクリティカルパスといいます。
明日リリース予定でなんとか今日終わらせた、しかしアプリの審査に3日かかる。この場合、最低でも3日前に開発が終了していなくてはいけません。

優先順位をつける

今の貴方の手元にはプロジェクトに関する全ての情報が揃っています。
その情報を使って、優先順位をつけましょう

スコープ・期間・人員・品質

クライアントが本当に求めるものを探りましょう。
この機能は絶対にこの日までにほしい。でも他の機能は別の日でもよい。となるかもしれません。
もしくは全部開発されていることが絶対の条件かもしれません。その場合は期間を伸ばすしかありません。
時間が確保できるのであれば、人員追加も1つの手です。

どの手も取れないのであれば諦めるしかありません。自分の心身の安全を最優先にしましょう。

機能の優先順位

機能を「Must」、「Should」、「Could」、「Wont」など、複数段階にわけましょう。
Mustの順から開発していきましょう。

コミュニケーション

先手を打つ

クライアントはとにかく不安で心配です。
頻繁にミーティングを設けてくるかもしれません。
社内にいる上位レイヤーのステークホルダーも一々、報告を求めるかもしれません。
受け身でいると、ミーティングのための資料整理に時間をかけざるを得ません。
しかし本当にやりたいことは炎上を消化することであって、相手を宥めるためのコミュニケーションではないはずです。
そこで、進捗や問題は先手を打って、先に報告しましょう。
報告をコントロールすることで、ミーティングの時間を最小化します。

密なコミュニケーションを取る(ミーティング)

炎上プロジェクトでは、自分のタスクをこなすことに精一杯になりがちです。
その結果、コミュニケーションがおろそかになり、それがプロジェクトの足を引っ張ります。
しかし、あえて、毎日ミーティングの時間を取りましょう。
ミーティングの時間をとってコミュニケーションのロスを最小限にしましょう。
勿論、タスクを片付けたいので、ミーティングは最小限にとどめましょう。
ミーティングでは大きな問題や込み入った問題には触れないようにしましょう。
そういった問題はミーティング後に時間をとってやりましょう。

必要ならマイクロマネジメント

進捗に問題のあるメンバーをマイクロマネジメントをすることで大きく進捗を伸ばすことができます。
しかし、効果があるのは短期間のみです。マイクロマネジメントはメンバーの負荷とメンターの負荷が大きいです。
マイクロマネジメントは短期間に絞ってその間に自立できるようにしましょう。

明るく振る舞う

リーダーが暗く後ろ向きなプロジェクトに成功はありません。
炎上プロジェクトは総じて皆疲れ切っており、ネガティブになりがちです。
そこでリーダーがネガティブだとそのネガティブが伝染していきます。
指揮の下がったプロジェクトでは成功はありません。
リーダーは「あえて」明るく振舞いましょう。

タスクの消化スピードを上げる

タスクをする時間とそれ以外をする時間を明確に分ける

自分の労働時間をポモドーロテクニックではかってみましょう。
ポモドーロテクニックとは25分の仕事をする時間と5分の休憩を繰り返すテクニックです。
そしてポモドーロごとに何をしたか記録してみましょう。
自分が思っている以上にタスク以外の例えばミーティングなどの本質的でないタスクに時間を割かれがちです。
しかし炎上を解消するにはどうにかしてタスクの時間を増やさねばなりません。
テクニックとしては2つです。

  • タスク外の作業を減らす
  • タスク外の作業を一つにまとめる
    現実的にコントロールできるのはタスク外の作業を1つにまとめるでしょう。
    例えば、お昼休みの時間が固定だとすれば、お昼休み直後15分のミーティング、
    定例の直後にミーティングなど

チケットは小さく切る

タスク消化速度を上げるためにチケットを小さく切る手法は効果的です。
詳細はこちら
プロジェクトの残業を50%削減したタスク管理手法を惜しみなく公開する - Qiita

手戻りを少なくする

チケットを小さくするに通ずるところがありますが、難しいタスクをメンバーに振るとき、ずれたことをしたり、タスクが遅々と進まないと困ります。
手戻りを少なくするために、最初に設計図をつくってもらうと良いでしょう。
マークダウンのメモで方針を書くや、関数名、引数、戻り値、テスト内容だけ先に作っておいて実装はTODOコメントで1度プルリクを上げてもらうなどの方法があります。

心身を守る

診療内科に通う

心身に少しでも異常を感じたら診療内科に通いましょう。
体調は悪くならなければ良し。体調が良くなれば尚良しです。

毎日1時間散歩する

炎上時はストレスが多くなり、残業も長くなり、仕事以外できなくなりがちです。
しかし、あえて時間をとって散歩なりランニングなり、陽の光に当たる時間を増やし、ストレスを減らしましょう。
日光によるセロトニン分泌の仕組みとは?窓越しの効果についても紹介 | 健達ねっと

睡眠と食事を十分に取る

言わずもがな
ストレスで眠れない場合は遠慮せず、診療内科にかかってください。
あなたの状態に合わせてぴったりな薬を処方してくれます。

コントロールの三分法

ものごとを「コントロールできるもの」、「できるかもしれないもの」、「できないもの」の3つにわけましょう。

自分でコントロールできるもの

全力で取り込みましょう。そして結果について心配しましょう。

自分でコントロールできないもの

どうしようもありません。諦めましょう。
結果について心配しないようにしましょう。
(心配して体調を崩すなら診療内科に通いましょう)

自分である程度コントロールできること

できることを「外部ゴール」と「内部ゴール」の2つに分けます。
自分がコントロールできるものを内部ゴール、できないものを外部ゴールにわけます。
プロジェクトが遅れそうなとき、それを極端に恐れても意味がありません。なぜなら自分にコントロールできない外部ゴールだからです。しかしなるべく遅らせないようにベストを尽くしましょう。スコープ、期間、人員、品質をコントロールしましょう。これは内部ゴールです。

いつでも転職できるようにする

「汝平和を欲さば、戦への備えをせよ」という言葉があります。「自分に次がある」それを知っているだけで安心して戦場に参ることができます。
各転職サイトに登録しておき、1〜3ヶ月おきにブラッシュアップしましょう。

参考資料

プロジェクトのトラブル解決大全 小さな問題から大炎上まで使える「プロの火消し術86」 | 木部 智之 |本 | 通販 | Amazon
日光によるセロトニン分泌の仕組みとは?窓越しの効果についても紹介 | 健達ねっと
プロジェクトの残業を50%削減したタスク管理手法を惜しみなく公開する - Qiita
エンジニアリングマネージャーのしごと ―チームが必要とするマネージャーになる方法 | James Stanier, 吉羽 龍太郎, 永瀬 美穂, 原田 騎郎, 竹葉 美沙 |本 | 通販 | Amazon
こんなプロジェクトは破綻する - Qiita

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