中学1年の数学で学ぶアルゴリズムの基礎:シリーズ第2弾
どのような人に向けて作られた記事か?
①中学1年の数学を学び直したい人
②実用数学技能検定で5級を取りたい人
この記事は、平成29年告示の学習指導要領に則った内容です。
この記事における四則演算の扱い
四則演算と加減乗除の記載方法について混同して使われることが多い
特に説明の文章が長くなってしまうときに加減乗除の記載方法をつかう
*四則演算と加減乗除の違いについては上記の算数の学び直しの記事を参考にしてください。
中学数学以降の項目では説明をより簡略化するため、基本的に加減乗除の記載方法に従うものとする
この記事を書いた人
こんにちは、zoldofです
以下は私の成績です
合格判定のものに限定します
単位は%です
各級位をクリックすると問題集に飛びます
*かずかたち検定は未判定なものの問題なく解けます
|級位|残時間率|正答率|
|----|----|----|----|
|5-1|38.0|96.7|
|5-2|56.7|75.0|
|6|50.0|93.3|
|7|46.0|93.3|
|8|66.0|93.3|
|9|57.5|100|
|10|60.0|95.0|
|11|90.0|100|
◆過去問題集
第⚫️回 | 第⚫️次 | 残時間率 | 正答率 |
---|---|---|---|
1 | 1 | 64.0 | 93.3 |
1 | 2 | 60.0 | 85.0 |
2 | 1 | 62.0 | 93.3 |
2 | 2 | 63.3 | 75.0 |
3 | 1 | 66.0 | 96.7 |
3 | 2 | 50.0 | 90.0 |
4 | 1 | 60.0 | 100 |
4 | 2 | 52.0 | 95.0 |
第⚫️回 | 残時間率 | 正答率 |
---|---|---|
1 | 52.0 | 93.3 |
2 | 60.0 | 93.3 |
3 | 48.0 | 90.0 |
4 | 50.0 | 97.0 |
5 | 50.0 | 97.0 |
6 | 36.0 | 90.0 |
◆資格試験本番
級位 | 第⚫️次 | 残時間率 | 正答率 |
---|---|---|---|
5 | 1 | 60.0 | 100 |
5 | 2 | 0 | 95.0 |
6 | 50.0 | 93.3 |
この記事の執筆経緯
「なぜ、算数を学び直したいのか」理由は人によって様々です。
私の場合は、アルゴリズムの理解を極めるのに必要な知識だと認識したからです。
「アルゴリズムとは何か?」はこちらの記事を参照ください。
後付けで「なぜ、算数を学び直したいのか」を再検討した際には、米田優峻さんの書かれた問題解決のための「アルゴリズム×数学」が基礎からしっかり身につく本を参考にしました。
アルゴリズムを学ぶにあたり必要な数学の知識について、
具体的には、書籍の冒頭で[小学校算数,中学数学,高校数学,大学数学の教養レベル]が必要との記載がありました。
*個人的には、より分かりやすくするために[小学数学(算数),中学数学,高校数学,大学数学の教養レベル]=[小,中,高,大教]の分類を推奨します。
また、アルゴリズムを学ぶにあたり必要なプログラミング能力については、
「プログラミングに触れたことがあり、ひとつ以上のプログラミング言語で基礎的な文法を習得していることが望ましい」とのことです。
この書籍の最大の特徴は「有名なアルゴリズムの紹介に終始せず、それに関する数学的知識、そしてアルゴリズム効率化に応用可能な数学的考察を丁寧に解説していること」です。
この書籍は、高校数学までの理解で特に問題がない人にとっては有益な情報源です。
そうではない自分のような人にとっては、数学の復習が必要だと痛感しました。
そこで、学習指導要領と数検の範囲を照合し、以下に項目別でまとめることにしました。
各項目の構成方法としては、個人的に見て学び直しに最適なサイトを再構築し、学習指導要領と比較したときに不足がないか調べて、数検の出題範囲に最適化しています。
この記事では中学1年の数学についてまとめました。
よければ参考にしてください。
様々な数の表し方
分数
- 分数の中央に引かれる横線のことを括線と呼ぶ
- 中学数学以降においては必ずしも仮分数を帯分数に直さずともよい
*仮分数の数直線位置を把握していることを前提として、仮分数のまま計算することが増えるから - 乗算と除算は被乗数や被除数の括線の上下に移動して表記可能であることから分解表記も可能である
- 係数が分数の方程式は分母の最小公倍数を両辺に乗算する
*通分の仕組みをつかう
*分母をはらうとも呼ぶ
割合
- 比の値:
と表された比をx:y のように分数で表したもの\frac x y - 比を簡単にする:比をできるだけ小さな整数の比になおすこと
- 比の相等:比の値が等しいこと
- 比例式の性質:比の相等を前提として、両辺の比の値を求め分母同士を乗算したものを両辺に乗算して得られる内項の積と外項の積の関係式
正負の数の符号
-
:xは正の数→符号は正の符号[+]を左につけるx>0
*整数の場合は自然数と呼ぶ -
:xは負の数→符号は負の符号[-]を左につけるx<0
*+の反対の性質を表すので、「-5の加算」→「5の減算」 -
:xは正の数でも負の数でもないx=0
正負の数の数直線
- 原点:0
- 正の数:原点より右側
- 負の数:原点より左側
- 絶対値:数直線上の原点からの距離
*符号のないもの
正負の数の分類
- 実数:数直線上に書ける数
- 原点
- 整数:0〜9の数字を最小1桁〜最大複数桁まで横に連ねたもの
- 正の整数:自然数
- 負の整数
- 分数
- 正の分数
- 負の分数
- 小数
- 正の小数
- 負の小数
正負の数の計算
- 加算
- 同符号の和:絶対値の和に共通の符号をつける
- 異符号の和:絶対値の差に絶対値の大きい方の符号をつける
- 減算
- 符号が反対する性質から加算に直して計算する
- 乗算
- 受取重複:
正の数×正の数=正の数
*例えば、1人が4個受け取る行為を、2回繰り返すと8個受け取ることになる - 受取反転:
正の数×負の数=負の数
*例えば、1人が4個受け取る行為を、2回向き返すと8個与えることになる - 譲与重複:
負の数×正の数=負の数
*例えば、1人が4個与える行為を、2回繰り返すと8個与えることになる - 譲与反転:
負の数×負の数=正の数
*例えば、1人が4個与える行為を、2回向き返すと8個受け取ることになる
- 受取重複:
- 除算
- 受取分担:
正の数÷正の数=正の数
*例えば、1人が4個受け取る行為を、2人で分担すると2個ずつ受け取ることになる - 受取準備:
正の数÷負の数=負の数
*例えば、1人が4個受け取るために、2人が準備すると2個ずつ与えることになる - 譲与分担:
負の数÷正の数=負の数
*例えば、1人が4個与える行為を、2人で分担すると2個ずつ与えることになる - 譲与結果:
負の数÷負の数=正の数
*例えば、1人が4個与えた結果として、2人が2個ずつ受け取ることになる
- 受取分担:
累乗
同じ数の乗算が続く場合を累乗と呼ぶ
- 底:繰り返し乗算する元となる数
- 指数:底の右上に記入し何回同じ乗算を行うかを示す
*括弧を伴う答えのときには括弧の外に記入する
*分数の累乗は分子と分母をそれぞれ指数の数だけ乗算する
*2乗のことを平方、3乗のことを立方とも呼ぶ
加減乗除の型
- 加算や減算を含む3つの数以上の計算は全ての括弧を外して、同符号同士まとめて計算する
- 各数を符号で管理するため、減算も式の先頭を含めた交換が可能となる
- 同符号同士をまとめない場合
- 分数の分母が揃っているとき
- 部分的な計算結果が計算しやすい数になるとき
- 同符号同士をまとめない場合
- 加減乗除を含む3つの数以上の計算は加減乗除の法則に従う
*乗算を含む式のときは最初に分配法則を適用することで計算が簡単になる場合がある
*除算の部分を式の先頭と交換すれば逆数の扱いになるため、分数の乗算に直すことで交換が可能となる
累乗を含む加減乗除の計算順序
- 累乗付き括弧内を計算する
- 累乗を計算する
- 括弧内を計算する
- 乗算と除算を計算する
- 加算と減算を計算する
素数
- 素数:約数が1と自分自身の2つしかない自然数のこと
- 因数:数や式を作るための乗算で使われる数のこと
*似た意味の「約数」では、整数のみを対象としている - 共通因数:数や式に共通する因数のこと
- 因数分解:数や式を、できるだけ小さい積の形で表すこと
- 素因数分解:自然数を、できるだけ小さい素数の積の形で表すこと
*大きい数を素因数分解するときは小さな素数から順に割っていく
*同じ数が続く場合は累乗をつかって表す
最大公約数と最小公倍数
- 最大公約数:共通の素因数に小さい方の指数をつけて積にする
- 最小公倍数:全ての素因数に大きい方の指数をつけて積にする
文字式
概要
- 代入:式のなかの文字を数字に置き換えること
*負の数の場合は括弧をつけて代入する - 式の値:代入して計算した結果
- 項:式を符号の前で区切ったもの
- 係数:数字と文字の積の数字部分
*括弧を含む式部分の係数が1のとき、分配法則で符号の変わる場合がある - 元数:式全体の文字の種類数
- 1元式:1種類の文字と数の和でできている式
- 次数:各項の文字数
- 1次式:最高次数が1次の項と数の和でできている式
*数字だけの部分はまとめる - 同類項:同じ次数の同じ文字を持つ項
*分配法則の逆の操作をし、共通因数でまとめることができる
文字式の積の表し方
- 乗算の記号は省く
*除算は乗算に直して省く - 数字と文字の積では数字を先に書き1は省く
- 文字はふつうアルファベット順に書く
- 括弧内で加減する場合、括弧全体を1つの文字のように扱う
*この括弧はアルファベットよりも後ろの扱いとする
文字式の商の表し方
- 除算の記号の代わりに分数の括線をつかう
- 分子や分母全体につく括弧は省く
- 負の符号は分数の前に書く
関係式
等式
[=]を使って2つの数量が等しい関係を表した式
- 左辺:等号の左側
- 右辺:等号の右側
- 両辺:左辺と右辺をあわせた呼び方
*両方を同じ数字で加減乗除しても成り立つ
*等式は左辺と右辺を入れ替えても成り立つ
不等式
不等号を使って2つの数量の大小関係を表した式
*等式の等号を不等号に置き換えると各部分の名称は同じなので省略する
- 不等号には種類がある
- >:〜より大きい
- <:〜より小さい
- ≧:〜以上
- ≦:〜以下
方程式
式の中にある値を代入すると成り立つ等式
- 一元一次方程式:文字種類数1かつ最高次数1の方程式
- 解:方程式を成り立たせる値
- 方程式を解く:方程式の解をもとめること
- 移項:左辺または右辺の項を符号を変えて他方に移動すること
関数とグラフ
関数
- 変数:いろいろな値をとる文字
- 関数:変数xの値を決めると、それにともなって変数yの値が1つだけ決まる。このような場合yはxの関数であるという
- 変域:変数のとりうる値の範囲
- 不等号を使って表す場合、端の数を含むときは≦、含まないときは<をつかう
- 数直線上に図で表す場合、端の数を含むときは ●、含まないときは○をつかう
- 比例:xとyの関係が
となるとき 「yはxに比例する」というy=ax - 反比例:xとyの関係が
となるとき 「yはxに反比例する」というxy=a - 比例定数:上記aのこと
*ここでいう比例や反比例は実質的に符号を無視するため絶対値についての関係である
座標
関数ではxとyの値の組を座標で表す
- 座標軸
- x軸:横の数直線(横軸)
- y軸:縦の数直線(縦軸)
- 原点:座標軸が交わる点O
- 対象:軸または原点を基準に折り返して重なること
- 象限:原点を中心として座標軸で区切られた領域のこと[第1:(正,正),第2:(負,正),第3:(負,負),第4:(正,負)]
- 交点:垂線と各座標軸や直線同士の交わる点
- グラフの象限
- 比例定数aが正の数なら1と3、負の数なら2と4になり、それぞれ点対称である
- 比例のグラフ:原点を通る直線
- 傾き:比例定数aのこと
- 反比例のグラフ:原点を通らない2つの曲線
- 双曲線:上記のこと
- 比例のグラフを対称の軸として線対称である
*反比例の関数にしたがってxの増減とyの増減が反転しているから
データ分布
主に度数分布表をつかって表す
各名称
- 分布の範囲:あるデータの最大の値から最小の値を減算した値
- 度数分布:最小最大範囲を持つ項目ごとにどれぐらいの割合で個数が配分されるのか表や棒グラフにすること
- 階級:度数分布の最小最大範囲を持つ各項目の呼称
- 度数:特定の階級に含まれるデータの個数
- 累積度数:特定の階級までの度数の合計
- 相対度数:ある階級の度数を度数の合計で除算したもの
- 累積相対度数:ある階級の累積度数を度数の合計で除算したもの
- 階級の幅:階級の範囲の幅
- 代表値:[平均値,中央値,最頻値]の総称
- 平均値:データの値の合計をデータの総数で除算した値
- 中央値:データを昇順に並べたときの中央の値
- 最頻値:データの中でもっとも多く現れる値
- 階級値:階級の中央値
*度数分布表全体の「中央値」や「最頻値」としても階級値をつかう - 測定値:ある対象を測定した値
- 近似値:ある値に近い測定値や四捨五入して得られた値のこと
- 真の値:近似値の目安となる値
- 誤差:近似値と真の値の差
*四捨五入による誤差の絶対値は最大でも0.5である - 有効数字:[整数部分が1桁の小数]×[10の累乗]
*四捨五入して切り上げもしくは切り捨てられた部分を除く
度数分布表のグラフ表現
- 棒グラフの場合には各階級に対応する個数を積み上げる
- 棒グラフの上辺中点を結び度数折れ線グラフを作図できる
平面図形
概要
- 直線:限りなくのびる真っ直ぐな線
- 線分:直線のうちのある点からある点までの部分
*長さが等しい場合は「=」で表す - 半直線:線分の片方を限りなく延長した線
- 頂点:線分と線分が端で交わる点
- 中点:線分を二等分する点
- 辺:頂点を作る線分
- 垂線:垂直に交わる直線
- 距離:ある場所までの道のり
- 2点間の距離:線分の長さ
- 点と直線の距離:垂線の長さ
- 垂直二等分線:線分の中点を通る垂線で、点からの距離が等しい
- 角の二等分線:ある角を二等分する線で、辺からの距離が等しい
- 平面:1直線上にない3点を通る
*または[直線と1点,平行な2直線,交わる2直線]によって、ある直線を軸とする平面の回転を制限する
記号
- [//]:平行
- [⊥]:垂直
- [△]:三角形
- [∠]:角度
円
- 円
- 円周率:
(パイ)π - 半径:
r - 円周:
l=2πr - 面積:
S=πr^2 - 接線:円周と接しており、半径と垂直な線
- 接点:円と接線の交点
- 外接円:図形のすべての点が接点となるような円
- 内接円:図形のすべての辺が接線となるような円
- 円周率:
- 扇形:円の一部
- 中心角:
[扇形で2つの半径がつくる角]a - 弧:
[扇形の円周部分]l=2πr × {\frac a {360}} - 面積:
S=πr^2 × {\frac a {360}} - 公式:
S={\frac 1 2}lr
- 公式:
- 角度:
a=360×{\frac 1 2}πr
- 中心角:
図形の移動
- 平行移動:図形を一定の方向に一定の距離だけ動かす移動で、対応する点を結ぶ線分は平行かつ長さが等しい
- 対称移動:図形をある直線を折り目として折り返す移動で、対称の軸は対応する点を結ぶ線分の垂直二等分線になる
- 回転移動:図形をある点を中心として一定の角度だけ回転させる移動で、対応する点は回転の中心からの距離が等しく、対応する点と回転の中心を結んでできる角の大きさはすべて等しい
- 点対称移動:180°の回転移動のこと
作図
- 垂線と二等分線:三角形の合同条件を用いる
- 円の中心:任意の点の垂直二等分線の交点
- 角度:指定された角度になる点を求めるときには二等分線をつかう
*正三角形の60°や垂線の90°を基点として作図していく - 平行線:垂線の垂線
- 円の接線:半径半直線の垂線
- 外接円の中心:垂直二等分線の交点
- 内接円の中心:角の二等分線の交点
- 対称の軸:対応する点どうしを結んだ線分の垂直二等分線
- 回転の中心:対応する点どうしを結んだ線分の垂直二等分線の交点
- 最短経路:対称な点と目的地を結ぶ直線
- 半円接線内接円の中心:直径と接線を延長した角の二等分線と半円の中心と接点を結ぶ直線の交点
*接点が指定されているとき、半円の半径上に内接円の中心がある
空間図形(立体)
概要
- 直線と直線の位置関係:[平行,交わる,ねじれ]
- 平面と平面の位置関係:[平行,交わる]*空間は限定されるので、ねじれは含まない
- 平面と直線の位置関係:[平行,交わる,平面上]
- 平面と直線の垂直:平面上の2直線の交点で交わる垂線は平面の垂線である
*平面上の直線が垂線の傾きを制限する - 底面積:立体の底面を形作る面積のこと
- 側面積:立体の側面を形作る面積のこと
- 表面積:底面積と側面積を足し合わせたもの
作図表現
- 見取図:立体の全体像を見た様子そのままの形
- 展開図:立体を辺で切り開いた形
- 立面図:立体を正面から見た形
- 平面図:立体を真上から見た形、底面の形
- 投影図:立面図と平面図を描き合わせたもの
錐
-
体積 = 底面積×高さ×{\frac 1 3}
*立方体の頂点を空間的平面的に点対称な点で、同じ錐に3分割できるから - 底面がどのような形であれ上記公式は適用可能である
- 四角錐:四角形は正方形の横か縦の長さが違うだけだから
*公式の高さが異なっても交換法則が適用できる - 三角錐:三角形は四角形の半分だから
- 多角錐:多角形は三角形の集まりだから
- 円錐:円の面積は内外接する正多角形によって決まるから
- 四角錐:四角形は正方形の横か縦の長さが違うだけだから
球
- 球:半球を2倍したもの
*半球は円を小刻みに輪切りで追加したもの - 体積:
{\frac 4 3}πr^3 - 表面積:
4πr^2
*体積の公式を求めるには高校の数学Ⅱで習う定積分の知識が必要である
回転体
[円錐,円柱,半球]を組み合わせたもの
- 母線:円柱や円錐の側面を形作る部分の長さのこと
Discussion