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【完全版】Clineとは何かを徹底解説します

2025/01/27に公開

この記事で紹介する「Cline」は、同様のAI支援ツールの中でも、VSCodeの拡張機能として提供されるオープンソースのAIエージェントです。
AIのコード自動生成のみならず、自動的にターミナルを操作して依存パッケージをインストールしたり、エラーが出ればログを解析して修正案を提案・実行するなど、まるで“AIが開発を進めていく”ようなユーザー体験をもたらし話題です。

Clineの他にもWindsurfエディタやCursorエディタも同様の機能を提供しており、コレが今のAI駆動開発というバズワードにも繋がっています。

しかし、Clineはユーザーエクスペリエンスの緻密さや、複雑なコンテキスト認識の部分では、CursorやWindsurf、と見劣りする面も否めません。したがって実際には、CursorやWindsurfが使える環境であればそちらをメインにしつつ、Clineを補助的に利用するというのが一種の現実的なポジション取りとも言えます。

本記事では、そんなClineの基本的な特徴や仕組み、導入手順と使い方、メリットと制約、そして他のツールとの使い分けの観点まで深掘りしていきたいと思います。


cursorに関しては以下の記事で
https://zenn.dev/aimasaou/articles/f9b19ca901a0cd

windsurfに関しては以下の記事で
https://zenn.dev/aimasaou/articles/14c724056f2cd5

解説しました!

Clineの解説動画は以下から見ることができます。

https://www.youtube.com/watch?v=c52J0VYk-Tk


1. Clineとは何か

1-1. 開発の背景と特徴

ClineはGitHub上でオープンソースとして公開されている拡張機能です。VS Codeで動作し、内部ではLLM(大規模言語モデル)への問い合わせを行いながらコード生成や修正、ファイル操作、ブラウザの起動などを自動化します。
特徴としては以下の点が挙げられます。

  • VS Code拡張機能: 企業や組織で広く使われるVS Codeのエコシステムに取り込む形で利用可能。
  • AIエージェント: コマンドの入力や実行を逐次AIが行い、エラー対処も自律的に試行する。
  • オープンソース: 拡張機能自体がオープンソースであり、導入に際して有償ライセンス契約などが不要。
  • 多様なLLMの利用: AnthropicのClaude3.5Sonnet やOpenAIのGPT、さらにはDeepSeekなど複数のモデルが選択可能(OpenRouter経由で実現)。

1-2. 従来の補助ツールとの違い

GitHub CopilotやCursorなどの従来ツールは、「コードを書くのは人間が主体で、AIが候補を提示する」スタイルが一般的でした。対してClineは、「AIエージェントにタスクを任せると、AI自身がコードを書き、修正し、必要ならコンソールから動作確認まで行う」という進化したスタイルを志向しています。
もっとも、Clineはこの“自律行動”を実現するために、タスクごとに大量のプロンプトを投入し、エラーのたびにLLMへ再問い合わせを行うため、トークン消費が比較的多くなるデメリットがあります。料金面の負担や、エラー率の高さ、実行の不安定さは、まだまだ改善の余地があるでしょう。

1-3. Clineが備える主な機能

  • コード自動生成: “ReactでTodoアプリを作って”などの自然言語指示でプロジェクトが生成される。
  • 自動エラー修正: 実行エラーが出た際にログを解析し、AIが推定した原因を元にコードや依存パッケージを修正。
  • ブラウザ操作: いわゆる“コンピューターユース(Auto-Browser)”機能により、開発中にブラウザを開いて表示をチェック。
  • マルチLLM対応: Anthropic Claude 3.5やGPT-4o、DeepSeekなど、最適なモデルを選んで利用できる。
  • .clinerulesファイルでのカスタムプロンプト: 一貫したガイドライン(例: “日本語で回答して”)や、チームコーディング規約、ユニットテストの自動生成などを規定できる。

2. Clineの仕組みと技術的概要

2-1. VSCodeとの連携

ClineはVS Codeの拡張機能としてインストールされ、エディターの左サイドバーやコマンドパレットに専用UIを提供します。拡張機能からターミナル操作やファイル操作へのアクセス権を持ち、AIエージェントが「ファイルを新規作成する」「依存ライブラリをインストールする」などのアクションをユーザーの承認を得て実行します。

2-2. LLM(大規模言語モデル)の選択肢

Clineがコード生成時に参照する言語モデルは、ユーザーが自由に選択できます。

  • DeepSeek R1: 低コストでありながらコード生成性能が良いと噂される新興モデル。ただし、送信データが学習に使われる可能性があるため、機密情報を扱う場合は留意が必要。

  • Claude 3.5 Sonnet: プログラミング系タスクに強いとされるモデル。大規模コードを扱う際にも有用。しかし、Clineで使うとコストは高いので注意が必要。Cursorでは低速モードで良いなら使い放題

加えて、OpenRouterというマルチプロバイダ対応のプラットフォームを利用すると、これらのモデルを単一のAPIキーで切り替えつつ使えるようになります。

2-3. API連携と料金体系

Cline自体は無料ですが、背後で呼び出すLLMのAPI利用には従量課金がかかります。例えば、OpenAIのGPT4oを呼び出すと、要求トークン数に応じて課金される仕組みです。

また、AIエージェント型のタスク実行では、過去の会話履歴やログをすべて含めてリクエストするケースが多いため、従来のコーディング補助ツール以上にトークン消費が大きくなることがあります。
プロンプトキャッシュなどの最適化機能も実装されていますが、それでも料金が気になる方は、無料枠が大きめのモデルや低トークン単価モデルの利用を検討するとよいでしょう。

2-4. 生成系AIエージェントとしての位置づけ

Clineは単なる“補完”ではなく“エージェント”に近い立ち位置です。ユーザーが大まかなゴールを指定すると、AIが試行錯誤しながら進めてくれるため、プロトタイプや実験的なプロジェクトをサクッと立ち上げる際に有用です。

ただし、自律性が高いからこそ誤作動やモデルの誤解によって生じるリスクも考慮が必要です。誤って重要なファイルを上書きしてしまう、誤ったコマンドでライブラリをアンインストールしてしまうなど、行き過ぎた自動化がトラブルを生む可能性はゼロではありません。


3. 導入手順と基本的な使い方

3-1. 導入手順(VS Code拡張機能)

  1. VS Codeを起動し、左サイドバーにある「拡張機能」アイコンをクリック。
  2. 検索ボックスに「Cline」と入力し、表示された拡張機能をインストール。
  3. インストール完了後、VS Code左サイドバーにClineのロボットアイコンが追加される。

企業などでセキュリティ要件が厳しい場合でも、VS Codeの拡張機能として導入が許可されやすい点はメリットです。

3-2. APIキー設定の具体例(OpenRouter経由など)

  1. OpenRouterのウェブサイトでアカウント作成。
  2. プロフィールページなどからAPIキーを発行。
  3. VS CodeのClineパネルを開き、「API Key設定」画面でこのキーを入力。
  4. 次に使用する言語モデルを選択し、設定を保存。

これでClineは、指定したモデルに対してコード生成などのリクエストを送れるようになります。

3-3. Clineによる簡単なコード生成デモ

  1. **“New Task”**のボタンを押すか、Clineパネルに直接テキストを入力。
    例:「株価を表示するStreamlitアプリを作って」
  2. Clineはタスクを解析し、必要と考えられるコマンド(pip install streamlit yfinanceなど)を提案。
  3. ユーザーが許可すると、ターミナル上で実行し、エラーが出た場合は再試行・修正を行う。
  4. 続けてapp.pyの中身を自動的に作成し、最後に「ブラウザを開いて動作をチェック」などを行う。

この過程で何度かエラーが発生しても、Clineはエラー内容をLLMに送信し、修正策を提案するので、利用者は基本的に“はい/いいえ”と承認するだけでプロジェクトが組み上がります。

3-4. タスク(Task)ベースの操作と自動エラー修正

Clineでは、一連の作業フローを「タスク」と呼びます。タスクが実行されるたびに、以下のプロセスが繰り返されます。

  1. プロンプト生成: 過去の会話履歴+ユーザー指示をLLMへ投げるためのプロンプトを自動生成。
  2. コード生成 or コマンド生成: LLMがそれらの情報をもとに実行すべきコードやコマンドを出力。
  3. 実行: ターミナルやファイル操作を行い、実際に反映する。
  4. エラーチェック: 出力ログやブラウザのスクリーンショットを取得し、LLMに送信。エラーを自動解析。
  5. 修正提案: 修正案をAIが提示。再度ユーザーが承認すればリトライ。

この流れをAIが半自動的に繰り返すことで、開発工程を効率化する仕組みになっています。


4. Clineのメリットと制約

4-1. メリット①:コード記述量の大幅削減

ClineがAIエージェントとして動く最大の恩恵は、“コードを書かなくても勝手にAIが組んでくれる”という部分にあります。たとえば、「Djangoを使ってユーザー認証付きのブログサイトを作って」と頼めば、必要な依存関係をインストールし、settings.pyurls.py、ビューやテンプレートファイルをある程度自動生成してくれます。
これは、プロトタイピング段階や小規模の検証環境で非常に重宝するでしょう。

4-2. メリット②:AIエージェントによる自動ターミナル操作

従来の補助ツールでは、ユーザー自身がターミナルを開いてライブラリをインストールしたり、コマンドを打ち込んだりする必要がありました。Clineなら、AIが「コンソールでこれを実行しよう」と提案し、ユーザーが“OK”を出すだけで完了します。
ローカル開発環境の構築やソフトウェアのセットアップが煩わしいと感じる人にとって、これはかなりの時短要素となるはずです。

4-3. 制約①:細かいユーザー体験(UX)への配慮不足

一方、Clineの“荒削り”な部分として、細かいユーザー体験(UX)の作り込みが不十分という声があります。たとえば、実行途中でエラーが発生した際に、どこまで自動的に修正を試行するのか、ユーザーにはどこで承認を求め、どこで自動承認するかの設定UIなどが洗練されていないケースもあります。
こうした細かなUX面に関しては、CursorやWindsurfのほうが圧倒的に優れていると言われています。Clineの適用時には、“ちょっとゴツいが、とりあえず動く”ツールくらいの位置づけで考えるのがよいでしょう。

4-4. 制約②:コンテキスト理解の限界

AIエージェントとして動くClineは、常にLLMと対話しながらプロジェクトを組み立てますが、複雑な大規模プロジェクトになると、どのファイルにどんな関数が定義されているか、どのライブラリが依存しているかなど、複雑なコンテキストを把握しきれないこともあります。
CursorやWindsurfには「AST(抽象構文木)解析」や「スコープを意識した編集提案」など、より高度な文脈解析機能が搭載されている場合があり、そこがClineの弱点とも言えるでしょう。

5-5. 制約③:モデルごとの利用制限・コスト

Clineは複数のLLMに対応しているとはいえ、APIコールを繰り返す分、コストがかさむことがあります。とりわけ高性能モデルのGPT-4oやClaude 3.5 Sonnetを使い続けると、ちょっとした検証でも1ドル、2ドル…とすぐに消費する可能性があるでしょう。
さらに、AnthropicのClaude本家APIは利用回数制限が厳しめなので、OpenRouter経由でも引っかかるケースがあります。結果的にClineで実行途中に「API制限でエラー」が頻発し、タスクが中断されてしまうこともあります。


5. 他のAIコーディングツールとの比較

5-1. Cursor/windsurfとの比較

CursorはVS Codeをベースに独自カスタマイズしたエディターです。

  • メリット: コード補完とドキュメント生成機能が非常に優秀。エラー解決提案も自然で使いやすいUI。
  • デメリット: 有料プランを継続利用するには月額費用がかかる場合がある。

CursorにはAIエージェントモード(Composer agent)もあり、コマンド実行やエラー解析を自動で行う機能が一部実装されていますが、ブラウザ操作や複雑なターミナル操作への対応は限定的です。一方Clineは、より多岐にわたるアクションを“エージェント”としてカバーしますが、ユーザーインターフェイスの洗練度や安定性ではCursorに劣るかもしれません。

5-2. 使い分けのポイント

  • Clineの強み: CursorやWindsurfのサーバーが落ちたとき、序盤の序盤にサクサクファイル生成したいとき。Deepseekの思考モデルを使いたいとき
  • Cursor / Windsurfの強み: それ以外の全て

実際には「CursorやWindsurfが使えるなら、それらをメインに使ってClineを補助的に導入する」という使い方が多いと考えられます。特にユーザー体験面ではCursorに軍配が上がるケースが多く、Clineの多くは序盤の実装をサクッと試したいときに利用するとよいでしょう。

CursorはDeepseekに対応していないのもあるので、問題解決力が高い思考型&低価格のDeepseekR1を使いたいときにClineの選択肢も出てくるでしょう。

6. 導入・運用時の注意点

6-1. セキュリティと情報の取り扱い

LLMへのプロンプトやコードの送信を通じて、機密情報が外部に漏れる恐れがあります。これはClineに限らず、クラウドベースのAIツール全般に言えることです。

  • 機密性の高いソースコードを扱う場合は、モデル側のデータ取り扱いポリシーを確認する。
  • 可能ならオンプレミスやプライベート接続でモデルをホストする。

6-2. コスト管理とモデル選択

Clineのエージェント機能はトークン消費が多くなりがちです。

  • 個人の趣味開発の場合、無料枠や低価格モデル(DeepSeekやGeminiAIの一部モデル)を選んで運用する。
  • 企業利用の場合、上司や予算管理者と事前に相談し、OpenRouterなどで従量制限を見ながら導入する。

6-3. オートアプルーブ設定のリスク

ファイル操作やコマンド実行をAIにまかせっきりにするために、Auto-approveなどの機能をオンにすると、ユーザーへの確認なしで大規模な変更が加えられる可能性があります。

  • 大切なファイルを誤って削除するリスク。
  • 大きなセキュリティホールを作ってしまうリスク。

初めはオートアプルーブをオフにして、逐一承認を行う運用が無難でしょう。

6-4. ログと履歴管理

Clineのタスク実行ログやプロンプト履歴は、トラブルシューティングや料金分析の際に重要な手がかりとなります。

  • 定期的にログを保存し、どのようなコマンドやファイル変更が行われたかを可視化しておく。
  • AIの暴走や誤作動を把握するための監視が必要。

7. Clineの今後の展望とアップデート情報

7-1. オープンソースコミュニティの動向

ClineはGitHub上でコミュニティ主導の開発が進められています。バグ修正や新機能追加のコントリビュートが行われ、今後もユーザー体験の向上が期待されます。たとえば、より洗練されたUIや、プロジェクトごとにプロンプトチューニングを行う仕組みなどが要望として挙がっているようです。

7-2. コンピューターユース(Auto-Browser)の進化

現時点でのブラウザ操作機能は、単純にWebサーバーを立ち上げ、スクリーンショットを撮ったりHTMLソースを解析したりする程度ですが、今後はもっと複雑な操作(フォームへの自動入力や、クライアントサイドJavaScriptの結果確認など)も実装されるかもしれません。
ブラウザレベルでの自動テストやUI検証ができるようになれば、フロントエンド開発の効率化が大幅に進む可能性があります。

7-3. さらなるマルチモーダル化の可能性

テキストやコードだけでなく、画像・音声・動画など多様なメディア情報を処理できるLLMが増えてきています。Clineがこうした「マルチモーダルLLM」をサポートすれば、UIデザインや画像処理のタスクまでAIエージェントが一貫して行うシナリオも考えられます。

7-4. 他ツールとの連携強化への期待

Cline単体ではどうしても不足する部分も多いため、CursorやWindsurf、あるいはChatGPT系のツールとの連携・併用を公式サポートする流れも期待されています。
例えば、同じプロジェクトフォルダをCursorとClineの両方で開き、Cursorでコード閲覧・編集しながら、Clineにターミナル操作を任せるといった運用がよりスムーズになる可能性があります。


おまけ

Clineの派生系

1. Roo Cline

Clineのフォーク(派生版)として開発され、より高速な更新サイクル実験的な機能を特徴とします。

  • 主な機能:
    • 多モデル対応: OpenAI、DeepSeek v3、AWS Bedrock、Google Geminiなど複数のAIモデルを柔軟に切り替え可能。
    • 開発効率向上: 画像のドラッグ&ドロップによるUI生成、ブラウザ操作の自動化(スクロール、スクリーンショット)、ファイル変更のリアルタイム検知。
    • トークン効率: Clineよりトークン消費量が低く、キャッシュやバッチ処理を活用することでコスト削減。
    • カスタマイズ性: MCP(Model Context Protocol)設定や自動承認ルールを細かく調整可能。例: リスクの高い操作のみ手動承認、低リスク操作は自動化。
    • インストール簡便: VS Code拡張から「RooCline」を検索し、ロケットアイコン付きの拡張機能をインストールするだけで利用可能。

2. Cool Cline

Cline、Roo Cline、Bao Clineの機能を統合したプロアクティブなAIプログラミングアシスタント

  • 主な機能:
    • マルチモード対応:
      • Codeモード: コード生成やタスク実行(デフォルト)。
      • Architectモード: システム設計やアーキテクチャ策定に特化(コード実行不可)。
      • Askモード: 技術的な質問や概念の深堀りに適応。
    • 高度な自動化:
      • エラー自動修正(lint/コンパイルエラー検出)。
      • コードリファクタリング(変数名一括変更、関数抽出)。
      • ドキュメント自動作成(コードに基づいた説明文生成)。
    • セキュリティ制御:
      • 操作リスクに応じた承認フロー(例: ファイル書き込みは自動承認、デプロイは手動承認)。
    • 拡張性:
      • MCPを通じてAWS EC2管理やJira連携などのカスタムツールを追加可能。
    • インストール方法:
      • VS Code拡張マーケットプレイスから直接インストール、またはGitHubリポジトリをクローンしてローカル環境に構築。

3. Cline(ベースプロジェクト)

  • 基本特徴:
    • オープンソースのAIプログラミングアシスタント。
    • MCPプロトコルによるカスタムツール統合、バージョン管理機能を備える。
    • トークン消費量が高めで、開発コスト面でRoo Clineとの比較対象となる。

比較表

項目 Roo Cline Cool Cline Cline(ベース)
更新頻度 超高速(実験的機能多) 安定版(機能統合型) 通常
トークン効率
主な用途 迅速なプロトタイピング 大規模開発/設計支援 汎用プログラミング
セキュリティ制御 カスタマイズ可能 リスクベース承認 基本手動承認
拡張性 MCP対応 MCP+カスタムツール追加 MCP基本機能

まさおはRooClineを使っています。とはいえCursor,windsurf,RooClineの順番で使うイメージです


10. まとめ

Clineは、AIエージェントによる自動コーディング・環境構築を志向する先進的なVS Code拡張機能です。コードを書く主体が人間ではなく“AI”に近づくという意味で、コーディングツールの中でも一つ先のステージを試していると言えるでしょう。

しかしながら、現時点ではUX面の作り込みや大規模プロジェクトでの安定運用面に課題があり、「CursorやWindsurfが使えるならそちらをメインに、Clineは補助的に使う」という使い方が現実的と考えられます。特にエラー時のリカバリーや、コンテキストを複雑に引き継ぐ必要があるケースでは、モデルやツールの制約が顕著になりがちです。

一方で、Clineならではのターミナル自動操作やブラウザ動作確認は非常に魅力的で、ハッカソンや小規模のプロトタイピングなどにおいては、爆発的な生産性向上をもたらす可能性があります。今後のバージョンアップやコミュニティのコントリビュートにより、より安定的で使いやすいAIエージェントが誕生するかもしれません。


要点まとめ

  • ClineはオープンソースのAIエージェント型ツールであり、VS Code拡張機能として利用可能。
  • ターミナル操作やブラウザ操作もAIが代行し、コード生成〜実行〜修正を自動化する。
  • ただしUXやコンテキスト解析の面は未熟で、CursorやWindsurfと比べると使いづらさがある。
  • 利用コスト(API料金)やエラー発生時のリスクを把握し、十分に検証することが大切。
  • 将来的にはコミュニティの成長とともにさらなるアップデートが期待され、マルチモーダルや高度なブラウザ操作への拡張も見込まれる。

いまや多種多様なAIコーディングツールが存在するなかで、Clineは「やや荒削りだが尖った機能を備えた新星」として注目に値する存在です。もし皆さんがCursorをすでに使いこなしているなら、その横にClineをちょこんとインストールしてみてはいかがでしょうか。新しい開発スタイルの可能性を感じ取れるかもしれません。


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