【ストラテジ】応用情報:令和4年春期(午前:問76)最大利益と設定価格
久々のストラテジ系
この分野は、2025年4月に何本か記事を書いて以来です。
今回の記事は、以前の損益関連の記事を見返していただくと、より楽しめるかもしれません。
今回のサンプル
こちらの過去問を使い、解説をします。
※出典:令和4年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問題冊子

解き方
では、設問の意味を考えながら解いていきます。
※ここからは設定価格を選択肢『ア・イ・ウ・エ』で記載します。

最も儲かるパターンは?
新製品を販売するにあたり、どの設定価格にすれば最大利益・・・つまり最も儲かるのか?
ただし、設定価格にはそれぞれ予測需要があります。
価格が安ければたくさん売れる、高ければなかなか売れないと予測するのでしょう。
費用を考慮する
そして、製品を販売するには当然費用がかかります。
ポイントは『固定費』『変動費』の意味を理解できているか?です。
- 固定費:製造・販売・売上にかかわらず、決まった額となる費用(物件の家賃、正社員の給料など)
 - 変動費:製造・販売・売上に比例し発生する費用(原材料費、運送費、パートの給料など)
 
上記から分かる通り、固定費はどの設定価格でも同じです。
変動費は1個あたり600円が、予測需要の個数分が発生するようです。
では、費用を表にしてみます。
| 選択肢 | 予測需要(個) | 変動費(円)※600円×予測需要 | 固定費(円) | 費用合計(円)※変+固 | 
|---|---|---|---|---|
| ア | 80,000 | 48,000,000 | 1,000,000 | 49,000,000 | 
| イ | 70,000 | 42,000,000 | 1,000,000 | 43,000,000 | 
| ウ | 60,000 | 36,000,000 | 1,000,000 | 37,000,000 | 
| エ | 50,000 | 30,000,000 | 1,000,000 | 31,000,000 | 
売上を算出
次に、予測需要通りに販売した際の売上を算出します。
| 選択肢 | 設定価格(円) | 予測需要(個) | 売上(円)※設定価格×予測需要 | 
|---|---|---|---|
| ア | 1,000 | 80,000 | 80,000,000 | 
| イ | 1,200 | 70,000 | 84,000,000 | 
| ウ | 1,400 | 60,000 | 84,000,000 | 
| エ | 1,600 | 50,000 | 80,000,000 | 
利益を算出
では、上記までで算出した売上から費用合計を差し引き、利益を算出します。
| 選択肢 | 売上(円) | 費用合計(円) | 利益(円)※売上-費用合計 | 
|---|---|---|---|
| ア | 80,000,000 | 49,000,000 | 31,000,000 | 
| イ | 84,000,000 | 43,000,000 | 41,000,000 | 
| ウ | 84,000,000 | 37,000,000 | 47,000,000 | 
| エ | 80,000,000 | 31,000,000 | 49,000,000 | 
正解は?
問われていたのは、下記の内容でしたね。
最大利益が見込める新製品の設定価格はどれか。
利益を比べると、最も高いのは『エ』ですので 『エ』が正解です。
もっと速く解く方法
学習という点では、上記の流れを理解することが重要です。
しかし、試験本番では時間制限があります。
1つの問題を悠長に解いていると、時間がなくなり十分な見直しができなかったり、最悪の場合は全て解き終わる前に時間切れなんてこともあり得ます。
ここからは、いざと言う時のための時短方法をご紹介します。
ただし、損益の仕組みを理解しているからこそ可能な方法とも考えられます。
変動費
費用の説明に着目します。
いずれの場合にも、次の費用が発生するものとする。
変動費:600円/個
1個あたりの変動費が600円であることが分かるので、同じく 『1個あたり』である設定価格から差し引きます。
| 選択肢 | 設定価格(円) | 変動費(円) | 差引後設定価格(円)※設定価格-変動費 | 
|---|---|---|---|
| ア | 1,000 | 600 | 400 | 
| イ | 1,200 | 600 | 600 | 
| ウ | 1,400 | 600 | 800 | 
| エ | 1,600 | 600 | 1,000 | 
限界利益を算出
※「限界利益ってなに?」という方は、こちらの記事をご参照ください。
上記の差引後設定価格に予測需要をかけて、限界利益を算出します。
| 選択肢 | 差引後設定価格(円) | 予測需要(個) | 限界利益(円)※差引後設定価格×予測需要 | 
|---|---|---|---|
| ア | 400 | 80,000 | 32,000,000 | 
| イ | 600 | 70,000 | 42,000,000 | 
| ウ | 800 | 60,000 | 48,000,000 | 
| エ | 1,000 | 50,000 | 50,000,000 | 
固定費
再度、費用の説明に着目します。
いずれの場合にも、次の費用が発生するものとする。
固定費:1,000,000円
この時点で最大利益は『エ』であることが確定し、正解は『エ』であることが分かります。
なぜなら、固定費はどのパターンも一律であるからです。
利益を算出(前者の解き方と比較)
念のため、限界利益から固定費を差し引いて確認します。
| 選択肢 | 限界利益(円) | 固定費(円) | 利益(円)※限界利益-固定費 | 
|---|---|---|---|
| ア | 32,000,000 | 1,000,000 | 31,000,000 | 
| イ | 42,000,000 | 1,000,000 | 41,000,000 | 
| ウ | 48,000,000 | 1,000,000 | 47,000,000 | 
| エ | 50,000,000 | 1,000,000 | 49,000,000 | 
無事、前者の解き方の利益と同じ結果になりました。
後者のポイント
なぜ後者の解き方の方が速いのか、大きなポイントがあります。
それは、各選択肢に対して条件が一律であることです。
今回の場合、固定費と変動費がまさにそれです。
変動費は、全ての設定価格から一律600円を差し引くだけで通用しました。
固定費に至っては、金額が固定なので足そうが引こうが、選択肢の比較には影響しません。
つまり、無視しても解けるということです。
(ただし、正しい数値を求められる場合は無視しないように)
さいごに
いかがでしたでしょうか?
正直、ここまで一生懸命に解説する程の問題ではないかもしれません。
ですが、今回のように別解を考えることで、理解がより深まることは間違いありません。
応用が利くようにもなり、試験対策はもちろん実務にも役立つ知識が身に着きます。
今後もまた、面白いテーマを見つけたらご紹介します。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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