巨大企業でのDXの本質は「剥がす」ということ
メリークリスマス。今年もアドベントカレンダを寄稿させていただきます
イオン株式会社CTO / イオンスマートテクノロジーCTOのやまけん( 山﨑賢 )です。
この記事は、AEON Advent Calendar 2024 最終日の記事です。
今日はCTO的なというよりも、経営の端っことしてイオンのDXをどのように捉えているか、何が大事なトリガーなのかを記載していきたいと思います
過去の私のAdvent Caledar投稿記事はこちら。
DX革新を宣言して動いてきた1年間
AEON TECH HUBの立ち上げから現在まで
とにかく既存を変えたくて、JTCというブランディングを変えて会社と社会を変えたくて変えたくて。
AEON TECH HUBの活動を通して、特に外部に積極的に発信してきました
登壇の依頼は日程が調整出来ないなどの理由や、公益性が低いなどの理由が無い限り、ほぼ全てお受けしてオフライン/オンラインにも多く露出がんばりました。本当にがんばったし、めっちゃ緊張したりもしたw
割と宣言したことはやりきったと思ってます。言ってるだけだろって思われんのすげー嫌だし
その結果、イオンという会社のブランディングが少しだけ変化し、イオンという巨大企業でエンジニアとして働くこと、JTCをエンジニアのちからで変えていくことに対してポジティブな反応をたくさんいただきました。みんなありがとう!!!
そして、今月2024年12月1日、イオンはIT/DX観点で大きな組織変革をしました
この1年走ってきて、外部へのブランディングは一定の成果を収めましたが、本質的な内部の変容はまだ道半ばです
この内部の変容について、巨大企業ならでは。JTCならでは。である本質めいたものに辿り着いたので、それをポエムしていきます
イノベーションの本質
イノベーションの本質は変えること!
これは昨今、どの企業でも当たり前に言われています ベンチャーでも、どんな古い企業でも、大企業でも「変える」ということを言いまくってます。 「俺達は変わらなければならないのだ!!!」 ってね。
特にイノベーションのジレンマにあるように、巨大企業にとって追いすがる新興企業は、さぞ恐ろしいものでしょう
でもね、変えるという言葉は環境によって、その意味合いとスコープが全然っ違います
ベンチャー企業における「変える」ということ
ベンチャー企業の変えるってのは、なんとかして新しい価値(ブルーオーシャン)を生み出すか、資本の無い中で先行を倒すか、色んな変数を化学して新しい解に導くか、多くの投資を受けながら赤字を掘りながら事業を進めることが多いベンチャーにとって、それこそ死活問題です。生きるか死ぬか。死ぬか生きるか。伸るか反るか。まぁそんな感じ
ベンチャー企業は会社の歴史も浅く、従業員の勤続年数も短いことが多いので、比較的新しいアイディアが受容されやすい環境であるってのと、そもそもイノベーションを軸とした発明的な戦略を練らないと、資本も実行力もある巨大企業には勝てないので、イノベーションはベンチャーにとって必須条件だったりします
属に言うランチェスター戦略ってやつですね
大企業における「変える」ということ
大企業にとっても当然変えるってのは重要なんですが、これはこれでベンチャーとは全く置かれている背景が違います
- 会社の歴史が長いが故に、会社に染み付いた常識めいたものがある
- 利害関係者が多いために、異質(常識と反する)なイノベーションが承認されにくい
- 巨大であるが故に、変数が多く、その変数を全て解決しようとすると予定調和的なものに陥りやすい
- 終身雇用を前提とした文化において、変えることを推進して失敗することに対する個人のリスクが大きい
- 勤続年数が長く、ドメスティックな考え方からオープンな環境を前提とした考え方への切り替えが難しい
そういった環境においての変えるというものは、強烈なトップダウンでない限り現場から破壊的なものは、なかなか産まれにくいと思うんですよね
大企業のジレンマ
確かに、大企業にとって「変える」ということは難易度が高いものです。
風土的にも文化的にも思考的にも影響度的にも。
もちろん大企業は既存のサービスと株主との約束があるわけで、守りつつ攻めるという難易度が高い変化を求めれることが、こういった難易度の背景になるわけですが。
そして「剥がす」ということ
私の生い立ち
剥がす話をする前に、私の生い立ちを少しだけ・・・
私は幼少期から転勤族でした
札幌、神奈川、千葉、和歌山、愛知など、親の転勤が2年から3年のタームで発生し、その度に大移動をしてきました。これはこれで経験的にはポジティブな経験です
幼少期、特に幼稚園〜中学校ぐらいまでの時期における社会とは、家族と友人(学校/習い事)と住環境がほぼ全てで、それが数年単位のサイクルで「家族以外」が強制リセットされてきたわけです
その結果、私は物事を捉える際に前提
となるものを疑ったり、常識
と呼ばれがちな抽象度が高いものを場合によっては無視する思考回路になった気がします
幼少期の度重なるリセットボタンにより、その度に常識と前提がリセットされてきたため何だろうなーと思っています
大企業におけるDXは剥がすということ
DXというビッグワードは色々な要素を含みますが、最も大事なのは今までのやり方や考え方を変容させることを、どれだけ飲み込んで推進出来るか
DXなんて手段であって、出来ないDXなんて全く価値がない
特に大企業が苦手な「既存の思考を変える」「既存のやり方を変える」という部分に、どれだけ踏み込めるか
変化させるべきは仕組みではなく、そこで長らく働き貢献してきた私を含む従業員の考え方と、既存の思考回路です
ドメスティックで閉鎖的なアンコンシャスバイアスに、自らが囚われているのである
という前提を受け入れ、自分の意思決定、もしくは会議室での意思決定を牽引してきた無意識の思い込みと常識を一枚ずつ剥がしていく
つまり思考的リセットボタンをどれだけ押せるか
長年培って自分をあたかも鎧のようにまとってきた既成概念を捨てる/剥がすという行為
これこそが大企業でのDX推進する上での大きなレバーだと思う
そのために大企業で変えるための活動を
ありがたいことに、特にエンジニア領域で多くの心強い仲間がイオンに集まってきています
そういった、どちらかというとバイアスの掛かっていない私達が、無邪気に多くの発信をし内部の考え方を変容させることによって、本当に巨大企業のDXは少しずつ、しかし加速度的に動いていくのだと感じています
イオンスマートテクノロジーでは、この考え方が既に浸透し始めています
ずっとずっと長いこと、新卒でイオンに入社して今に至るような人も、変化を受け入れ始めています
この変化の受け入れも結果としては、AEON TECH HUBの活動など外部を巻き込んだウネリをそのままの勢いで社内に持ち込んだ結果だと感じています
ものすごく地味なことですが、これも大企業でDXを加速させるために必要な大きな要素です
来年の今頃には、このようなイオンのマインド変容が加速度的に動いた結果、外部発信の量でなく内部変容の成果を誇れるような発信が出来ると信じています
いや、やりきります!
んでね、ワタシの野望はイオンの変革でなく、日本の変革なのです
そのためには稼ぎ頭であるJTCを変えなきゃならなくて、そのためにはJTCの中心に居る既存人員のマインド変革が必須だと本気で信じてるんです
そして、イオンがそれを成し得たとき、同じモデルを移植して日本全体を良くしたいと本気で思って行動してるんです
ホント自分でも青臭いことしてるなーって思うときあるんですけど、自分の人生を掛ける価値はあるんじゃないかと信じてるんですよね
イオングループで、一緒に働きませんか?
イオングループでは、エンジニアを積極採用中です。少しでもご興味をもった方は、キャリア登録やカジュアル面談登録などもしていただけると嬉しいです。
皆さまとお話できるのを楽しみにしています!
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