Microsoft Ignite 2025参加レポート
この記事は、AEON Advent Calendar 2025の7日目 です🎉
イオンスマートテクノロジーのDevSecOps Div SREチーム さいとう です。
去る2025年11月17日から21日にMicrosoft Ignite 2025に参加してきました。
既にイベント終了から2週間経過、そして世の中はre:Inventで盛り上がった直後ではありますが、そんなことは気にせずにやっていこうと思います💪
ちなみに、本イベントでのAKS関連情報は既に以下で公開済みなので宜しければどうぞ
Microsoft Ignite 2025とは
IgniteのAI Chat botに聞いてみました。

Microsoft Ignite 2025は、AI、データベース、クラウドソリューションなどの分野における最新技術進歩に焦点を当てた重要なイベントでした。SQL Server 2025、Azure Databases、Microsoft Fabricに関するセッションが実施され、企業の業務近代化と拡張を可能にする革新技術が紹介されました。基調講演や様々な分科会では、技術の未来像と、Microsoftが自社プラットフォーム全体でイノベーションを推進する手法に関する洞察が提供されました。
サンフランシスコのMoscone Center North/South/WestおよびMarriot Marquisも利用する大規模なイベントでした。
会場の様子をザッとお届け。
- keynoteはchase centerで開催されました。
- セキュリティチェックとしてパスポートと荷物検査が必須で大混雑。1時間前には会場につかないと間に合わないです。
- Microsoft MVPには専用のエリア(ステージに近め!)が設けられています。

荷物検査のための行列

会場の中の様子(一般席)

MVP席はステージに近い!
公式Xに映り込んでわいわいしている様子:

keynote!
keynoteでは架空のフロンティア企業であるzavaがAIを利用してどのような業務を実践しているかをデモ(来場者2万人のTシャツ発注!)。そこで注文したTシャツを会場の出口で配るという粋な演出が良かったです。

初日はオペレーションが混乱していたのか、建物を移動するたびに長蛇の列に並ばねばならず中々体験が悪い場面もありました。2日目以降は落ち着きを取り戻しいていた印象です。

moscone centerの行列。建物を移るたびに荷物検査が必要

いつものやつ!
そして、Microsoft MVP Wallを拝んできました。
自分の名前が刻まれているのを実際に見れたのは感激でした。

圧巻の壁

ワイの名が!
ここからは興味深かったセッションを超抜粋してお届けします。
AI Agent周りは既に色々な方がblogや登壇で共有されているので、そうでないところを。
[BRK155]Sam’s Club transforms retail mission-critical apps with Azure
Sam's Clubとは、ウォルマートが運営するCostcoのような業態です(雑)
ただの豆知識ですが、 Sam はウォルマート創業者である Sam Walton が由来です。
個人的には、中国深圳の店舗にお邪魔したことがあります。
そんなSam's Clubが、AKS(Azure Kubernetes Service)やCosmos DB、Azure SQL Hyperscaleなどを利用して、スケーラブルなマルチリージョンマイクロサービスへmodernizeした事例が語られていました。
同じ小売業界に携わる者として必見です。
ペイン... 極めてpainfulなホリデーシーズン運用
元々は店舗とEコマースが分断された、巨大で複雑なモノリシック(一枚岩)な構造で、以下のペインポイントが存在した。
- スケーラビリティの欠如
- トラフィックの急増に耐えられず、ホリデーシーズンには技術者が大ホールに集まり(War room)、手動でトラフィック制限や調整を行ってシステムダウンを防ぐのが恒例行事となっていた🤯
- 障害の影響が広範囲に
- システムが密結合だったため、一箇所の小さな障害がウェブサイト全体のダウンにつながっていた
- それゆえ感謝祭にSorryページを作る達人になってしまっていた
マイクロサービスへの変革
- ドメイン駆動設計(DDD)
- 「Membership」「Catalog」「Checkout」といったビジネスドメインごとのマイクロサービスに分割し、それぞれに明確なオーナーシップを持たせた。
- 5つの卓越性をエンジニアリングの柱として定義
- 品質の自動化
- セキュリティ(ゼロトラスト)
- オブザーバビリティ
- イベントへの即応性(10倍スケールへの対応)
- スケーラビリティと可用性
- Strangler Figパターンでの移行
- 既存のモノリスを一度に置き換えるのではなく、新旧のAPIを並行稼働させながら、徐々に新しいマイクロサービスへ機能を移行させた
AKSのポイント
- マルチリージョン Active-Active構成
- 複数のリージョン(例:米国中南部と米国西部)で同時にトラフィックを処理し、片方のリージョンがダウンしても、もう片方がシームレスに引き継ぐ構成
- 隔離
- 障害の連鎖を防ぐため、専用の名前空間や接続プールを用いてサービスを隔離
- 例: 「会員分析ジョブ」がリソースを食いつぶしても、「チェックアウト機能」には影響を与えない
Cosmos DBのポイント
- マルチリージョンと可用性
- データの冗長性を確保するため、マルチリージョン書き込み(または単一書き込み+複数読み取り)を採用
- 特に、パーティションごとの自動フェイルオーバー機能を利用することで、リージョン内の部分的な障害であれば2分未満で復旧可能🤯
- Change Feedによる移行
- 旧システムからのデータ移行にはCosmos DBのChange Feedを活用し、ダウンタイムなしでのデータ同期とカットオーバーを実現
- トラフィックのローカライズ
- ユーザーに最も近いリージョンで読み書きを行うようSDKを調整し、レイテンシを最小化
- ここはCosmos DBの真骨頂だという感想
Azure SQL Database (Hyperscale)のポイント
- コンピュートとストレージが独立してスケーリング可能
- フェイルオーバーグループ
- 非同期の地理的レプリケーションを設定し、障害時には接続文字列を変更することなく、自動的に健全なリージョンへフェイルオーバー。
- 災害復旧(DR)の運用がシンプルに
アウトカム
- 複合可用性で99.999%を実現
- 10倍のトラフィック増にも自動対応
- ゼロダウンタイムの実現
- あるリージョンのコンピュートの全体がダウンし、さらにデータベース障害が重なったとしても、ユーザーはサービスの中断に気づくことなく買い物を続けられるように(デモ参照)
- 運用の効率化
- 人が張り付く監視体制をやめ、自動化されたアラートとダッシュボードに
- エンジニアはシステムの復旧作業ではなく、サービスの改善に集中できるように。
- 眠れるホリデーシーズンが到来...!
グローバルにサービスを展開するためのアーキテクチャのお手本のようなセッションで非常に有益でした。
Cosmos DBについては @dhatakeが熱く語られている資料も併せて読むと良さそうです。
[COM1104-R1]Learn Infrastructure-as-Code through Minecraft
Terraform界隈ではお馴染み(?)の、Mark Tinderholt氏のセッション。
Minecraftを通してIaCを学ぼうという内容です。
Minecraft用のterraform providerがあり、それを使ってセッション内で短時間で大量の羊を産んだり(そして○したり)、ピラミッドを一瞬で作り(そして壊す!)する実演があり改めてIaCのパワーを感じさせられました。
良い意味でIgniteっぽくないセッションでした。




こちらもあわせてどうぞ!
おまけの雑多
GitHub本社のオフィスにお邪魔するタイミングがあったのでペタペタします。




rooftopからOracle Parkが見えるのが素敵
会場のブース。PingCapもNew Relicもだいぶ日本とは違う。


おわりに
以上、Microsoft Ignite 2025参加レポートでした。
安心して楽しめたのも、SREチームや他開発チームメンバのお陰だと思うので感謝の気持ちで一杯です。
現地で感じたことを共有したり、会社の成果に繋げていくヒントにしたいと思います💪
参考
Microsoft Igniteの情報をcatch upするのに良さそうなリンク集です。
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