AI駆動開発勉強会の振り返り
1. はじめに
2025年7月と8月に、弊社の私が所属する組織内でAI駆動開発の勉強会を開催しました。どのような背景があり勉強会を開催したのか、良かった点/改善するべき点、具体的にどのような内容だったのかを共有したいと思います。
2. 開催の背景
勉強会のタイトルはAI駆動開発で学ぶTypeScript開発トレーニング
でした。GitHub CopilotやCursor、Claude Code、Codex、Jules、KiroなどAI駆動開発ができるツールがありますが、ツールの使い方を学ぶというよりはAI駆動開発を通して、コーディングを学ぶという趣旨でした。
この背景としては、弊社のエンジニア職内でも分業化が進んでおり、配属先によっては若いうちからカスタム開発が経験できないことにあります。
こういった状況の中で、下記のような声を頂く機会がありAI駆動開発を通してコーディングを学び、キャリアに繋げてほしい
という願いを込めて企画/開催しました。
- これまでローコード/ノーコード開発が中心で、本格的なプログラミングに挑戦したい
- TypeScriptやReactに興味があるが、何から学べば良いか分からない
- AIやLLMに興味があり、自分の手でAIを活用したシステムを作って動かしてみたい
- 今後のキャリアとして、AI関連のカスタム開発プロジェクトに参画したいと考えている
3. 良かった点/改善するべき点
良かった点としては実践的な「AI-OCR点検管理システム」を活用して、AI駆動開発を経験できたことでした。一方で、セキュリティや実践観点でマイクロサービスを採用してPodmanを使ったコンテナ開発の手法をとったのですが、Podmanのインストールやその前段であるWSLのインストールに参加者が手こずり、本来注力したかったAI駆動開発にかける時間が減ってしまったことです。今後本トレーニングを開催する場合、この辺の環境構築の手順やそもそものアーキテクチャを見直したほうが良いのではと思いました。
4. 具体的にどのような内容だったのか
実際投影したスライドを見ていきましょう。
4.1. アジェンダ
アジェンダは、トレーニング概要
Day1 【守】AIと共に既存システムを理解する
Day2 【破】AIと共にシステムを進化させる
Day3 【離】機械学習とシステムへの組み込み
でした。3 Daysかけて、それぞれ約2時間取り組みました。トレーニング概要
はDay1の最初に講義しました。
4.2. トレーニング概要
これまでの経験と、AIと協調することで、よりスキルを身に付けたり広げられたりするチャンスと説明しました。
AI駆動開発の段階と、本トレーニングのスコープについて説明しました。
これまでと比べてより短期間にスキルアップできる環境にあると説明しました。
AIを使って、コードベースに対して質問しながら処理内容を把握したり、なぜこのような処理になっているか聞く事によってスキルアップに繋がると説明しました。
トレーニングの対象者について説明しました。
トレーニングのゴール、いくつかあるのですがそれぞれ説明しました。
このトレーニングはGitHub Copilotを使うのですが、経験が浅いメンバーとしては環境構築もひと手間かかるものです。ファカルティも立てて進めました。
3 Daysの中でそれぞれどのようなカリキュラムになるのか説明しました。
Day1では教材となるシステム「AI-OCR点検管理システム」題材にAIと一緒に仕様を理解して、バグ修正することを説明しました。「AI-OCR点検管理システム」はGitHubのリポジトリで公開しています。
Day2ではDay1で把握したシステムの知識を踏まえて、追加機能のアイディアを考えてAIと一緒に機能追加することを説明しました。
Day3ではシステムに機械学習の機能を追加することを学習する説明をしました。
技術スタックはTypeScript、特にReactをフロントにしたものになっています。
教材の実行アーキテクチャはこんなかんじで、マイクロサービスを意識した構成になっています。
教材の開発アーキテクチャはこんなかんじで、本トレーニングでは具体的にどのようなツールを使うのか説明しました。
トレーニングは、実践形式且つAIとピアワークしながら学びました。また、躓く場面はファカルティがフォローしました。
事前準備についても説明しました。(この投影資料はDay1で説明していますが、事前配布して一読するようにも伝えていました。)
受講後の展望についても説明しました。特に、AI駆動開発ができるようになった時の懸念がセキュリティへの考慮できちんとセキュリティについてもキャッチアップしようと説明しました。おすすめの書籍は、体系的に学ぶ 安全なWebアプリケーションの作り方 第2版 脆弱性が生まれる原理と対策の実践です!
4.3. Day1 【守】AIと共に既存システムを理解する
「AI-OCR点検管理システム」はGitHubのリポジトリで公開しています。まずは、リポジトリのREADME.MD
を元に開発環境を構築していきます。
ファカルティから既存の障害を説明してもらい、AIと障害対応をしていきます。
障害対応したらPull Requestしていきます。
「AI-OCR点検管理システム」を題材にTypeScriptの仕組みを学習します。
また、今回フロントエンドがReactということで、SPAの仕組みを学習していきます。
AI駆動開発で重要となるマークダウン
JSON
YAML
Git
の入門記事を紹介しました。
4.4. Day2 【破】AIと共にシステムを進化させる
Day1の知見をもとに、Day2では「AI-OCR点検管理システム」の追加機能のアイディアを考えて、AIと機能追加していきます。
「AI-OCR点検管理システム」はマイクロサービスを意識した作りになっています。これを実現するためにPodmanを使ったコンテナを活用しています。この辺の仕組みやフローを説明しました。
4.5. Day3: 【離】機械学習とシステムへの組み込み
Day3は「AI-OCR点検管理システム」に機械学習の機能を追加します。GitHubのリポジトリには、アヤメ(Iris)のパターン予測機能が既に具備されており、参考にしながら構築していきます。
そもそも機械学習において、どのように学習させて機能として使うか説明しました。
アヤメ以外の機械学習の例を説明しました。
5. おわりに
弊社で開催したAI駆動開発で学ぶTypeScript開発トレーニング
をご紹介しました!皆様の参考になれば幸いです!
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