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Manus 1.5のすごい自律性・作業完遂性・自己完結性

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突然ですが、ブラウザで使えてきれいな縦書きプレビューができてウェブ公開もできる、個人で認証して記事管理もできる、そんなオンラインエディターがほしいなと思って、先日アップデートされて1.5になったManusに何気なく依頼してみたら、次のようなアプリを一発でつくってくれました。認証機能もDBも具備されていて、かなりしっかりしたアプリです。ちょっとまだ不自然なところはありますが。

↓縦書きオンラインエディター「MONO」のプロトタイプ。Manus 1.5作成。
https://tategaki-lrbdzafc.manus.space


▲利用画面。縦書きプレビューでルビや傍点もふれる。文字数カウンタもある。保存もできてウェブ公開もできる。SNSへのシェアボタンもついている。SaaSでここまでできるのは現時点でManusだけではないだろうか。

Manusは旧バージョンより汎用AIエージェントとして優れた自律性と作業完遂能力を持っていましたが、今回のアップデートによって最後の一押しをクリアした感があります。2025年10月にリリースされたManus 1.5は、その「自己完結性」において一つの到達点を示したと言えるでしょう。作業完了後、成果物はManusの環境にデプロイされるので、作ったものに自分のもの感が出ないところにやや隔靴掻痒感がありますが、まあ資源一式もダウンロードできるのでそれは求めすぎというものでしょう。

本記事では、このManus 1.5のアーキテクチャ、主要機能、そして実用性について、公式情報やサードパーティのレビューを基に、技術的な観点から詳細に解説します。
※なお、本記事そのものもManus 1.5によって自動生成されています。

Introducing Manus 1.5
▲Manus 1.5 公式紹介動画

主要機能①:ワンプロンプトによるフルスタックWebアプリ構築

Manus 1.5の最も注目すべき機能の一つが、自然言語のプロンプトから、バックエンド、データベース、ユーザー認証機能を含むフルスタックのWebアプリケーションを自律的に構築・デプロイする能力です。

これは、単にフロントエンドのコードを生成する従来のAIツールとは一線を画します。ユーザーがアプリケーションの要件を記述するだけで、Manusは以下の要素を含む、実際に動作するアプリケーションを生成します。

機能 説明
フルスタックスキャフォールディング フロントエンドだけでなく、サーバーサイドのロジックやAPIエンドポイントを含む完全なインフラを生成。
ユーザー認証 ログイン、サインアップ、セッション管理といった基本的な認証システムを標準で組み込み。
統合データベース ユーザーデータやアプリケーションの状態を永続化するためのデータベーススキーマを設計・構築。
ビジュアル編集 生成されたアプリのライブプレビュー上で、特定の要素を指し示し「このボタンの色を変更して」といった自然言語での修正が可能。
カスタムドメイン 生成したアプリケーションに独自のドメインを接続し、公開する機能。

出典: Manus 1.5 公式リリースブログ [1] [2] を基に作成

開発プロセスは、以下のステップで進行します。

  1. 要件定義: ユーザーのプロンプトを解釈し、必要な機能、データモデル、技術仕様を設計します。
  2. コード生成: 設計に基づき、フロントエンド、バックエンド、データベースのコードを生成します。
  3. デプロイ: 生成したアプリケーションをサンドボックス環境にデプロイします。
  4. 自動テスト: 統合ブラウザを起動し、基本的なユーザー操作をシミュレートして、動作検証とデバッグを自律的に行います [1][2]。

この一連のサイクルにより、アイデアの着想から動作するプロトタイプの完成までを数分から数十分で完了させることが可能となり、アジャイル開発におけるイテレーション速度を大幅に向上させます。

より詳細な構築プロセスについては、公式のチュートリアルが参考になります。

📖 公式チュートリアル: Build Full-Stack Websites in Minutes — No Coding Required

主要機能②:Wide Researchによる並列調査

リサーチ業務においても、Manus 1.5は 「Wide Research」 という強力な機能を提供します。これは、一つの調査テーマに対し、複数のサブエージェントを並列で起動させ、網羅的な情報収集と分析を高速に実行するものです [4]。

例えば、「主要なクラウドサービス5社の最新AI関連サービス、料金体系、市場シェアを比較調査する」といったタスクが与えられた場合、Manusは各社を担当するサブエージェントを同時に起動します。各サブエージェントは、独立した環境で公式ドキュメント、ニュースリリース、アナリストレポートなどを調査し、主エージェントがその結果をリアルタイムで集約・構造化します。

観点 従来の手動調査 Manus Wide Research
アプローチ 人間が一つずつ直列的に調査 複数のAIエージェントが並列で分担
処理時間 数時間〜数日 規模に関わらず数分〜数十分
網羅性 調査範囲が属人化しやすい 複数の情報源を機械的に網羅
出力形式 メモやリンクの断片的な集積 構造化されたレポートや比較表

この並列処理アプローチにより、従来は多大な時間と労力を要した市場調査や競合分析といったタスクを、大幅に効率化することが可能です。アウトプットには、情報の引用元が明記されるため、ファクトチェックも容易に行えます [3]。

この機能の実際の動作については、以下のデモンストレーション動画で確認できます。

【デモ】Manus 1.5による市場調査

その他の主要機能

Manus 1.5は、上記の他にも業務効率化に寄与する多様な機能を搭載しています。

  • プロ品質のスライド・資料生成: テーマを指示するだけで、関連情報を自動でリサーチし、構成、デザイン、引用元を含むプレゼンテーション資料を生成します。グラフや図解も自動で挿入され、手作業による資料作成の工数を大幅に削減します [3]。
  • Mail Manusによるメール起点自動化: 特定のメールアドレスにメールを転送またはCCに追加するだけで、その内容に基づきタスク(資料作成、情報調査、返信案作成など)を自動実行し、成果物を返信します。これにより、受信トレイを起点としたワークフローの自動化が可能になります [4]。
  • コラボレーションとライブラリ: 最大50人のチームメンバーと一つのセッションを共有し、共同でタスクを操作できます。また、生成された成果物はライブラリに一元管理され、チーム内での情報共有や再利用を促進します [1]。

参考:Manus 1.5のAction Engineとマルチエージェントアーキテクチャ

Manusを理解する上で核となるのが、「Action Engine(実行エンジン)」 という思想です [1]。これは、ユーザーが設定した目標(Goal)に対し、AIが自律的に計画を立案し、必要なツール(ブラウザ、シェル、ファイルシステム等)を駆使して、最終的な成果物を生成・実行することを目的としています。

この実行力を支えるのが、マルチエージェントアーキテクチャです。単一の汎用モデルに依存するのではなく、タスクに応じて最適化された複数の専門エージェントが、オーケストレーター(指揮者)の制御下で協調動作します。例えば、Webリサーチ、コード生成、データ分析といった各タスクを、それぞれの専門エージェントが分担して並列処理することで、複雑な要求にも高速かつ高品質に対応します [2]。

このアーキテクチャの刷新により、Manus 1.5は旧バージョンと比較して平均タスク完了速度が約4倍に向上し、タスクの品質も15% 向上したと報告されています [1]。

導入時の考慮点

Manus 1.5は強力なツールですが、導入にあたっては以下の点を考慮する必要があります。

  • プロセスの不透明性: マルチエージェントアーキテクチャは、その複雑さ故に、実行プロセスがユーザーから見て「ブラックボックス」化しやすい側面があります。予期せぬ結果が生じた際のデバッグが困難な場合があります [2]。
  • 外部サイトとの連携: 自動化されたブラウザ操作は、サイトによってはセキュリティ機能(CAPTCHAなど)によって制限されることがあります。その場合、ユーザーが手動で操作を引き継ぐ必要があります [4]。
  • 信頼性とサポート: 比較的新しいサービスであるため、エコシステムの成熟度やサポート体制は、より大規模なプラットフォームに及ばない可能性があります [2]。

一方で、セキュリティについては一定考慮がされており、以下のような説明がなされています。
https://x.com/Ashley_ManusAI/status/1981668261881418193
https://x.com/Ashley_ManusAI/status/1981668273835159593
https://x.com/Ashley_ManusAI/status/1981668289387581736
https://x.com/Ashley_ManusAI/status/1981668301433721103
https://x.com/Ashley_ManusAI/status/1981668317804068962

エンタープライズでの導入はまだまだ道半ばですが、すごいだけでなく安心して使える安全なサービスに向けて、日々改善がされている状況だと言えるでしょう。

まとめ

Manus 1.5は、マルチエージェントアーキテクチャを核とした「Action Engine」という思想に基づき、AIの「実行力」を大きく前進させたプラットフォームです。特に、ワンプロンプトでのフルスタックWebアプリ構築や、Wide Researchによる並列調査機能は、従来の手法を大きく変革するポテンシャルを秘めています。

もちろん、処理プロセスの不透明性などの課題も存在し、現時点では万能なツールとは言えません。しかし、その技術的な方向性は、AIが単なる情報提供者から、タスクを自律的に遂行する「パートナー」へと進化していく未来を明確に示しています。今後の技術開発において、Manus 1.5のようなAIエージェントが、私たちの開発・業務プロセスにどのように統合されていくのか、引き続き注目していく価値は大きいでしょう。


参考文献

[1] Manus. (2025, October 16). Introducing Manus 1.5. Manus Blog. https://manus.im/blog/manus-1.5-release
[2] Fenix. (n.d.). Manus 1.5 In-Depth Review: The AI Agent That Actually Builds. CrePal Content Center. https://crepal.ai/blog/agent/manus-1-5-in-depth-review-the-ai-agent-that-actually-builds/
[3] アブ AIライフハック. (2025, November 5). Manus 1.5でAIエージェントは何が進化した?すごい!使える自動リサーチ・サイト生成の実践例と活用法. note. https://note.com/abroader/n/nf62b35139364
[4] スカンクAIラボ. (2025, November 5). Webアプリ開発もリサーチもAIが完結! Manus 1.5の実践力を徹底解説. https://media.skunc-ai.com/article/manus-ai-agent-overview

Accenture Japan (有志)

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