🐕

ハイスキルなクラウドエンジニアが中途採用の応募で回避すべきCCOEやクラウド専門組織の特徴

2025/02/02に公開

アクセンチュア株式会社テクノロジーコンサルティング本部金融サービスグループ アソシエイト・ディレクターの青柳雅之です。私は金融サービスグループのクラウドに関するプラクティスのリードとして、クラウド人材の育成にも関わっています。

中途採用の応募で考えること

クラウドに限らず、COEなるロールがある組織の場合、その分野の知見がその組織に少ないことを意味します。新しい分野はまず少人数で知見を貯めて組織に展開するケースが多いのですが、そのためのCOEです。以前、人材紹介会社から、他社のCOEのロールはどうですか?という打診がよく来ていましたが、私はそのようなロールは徹底して避けてきました。苦労して得た知見を、将来が約束されていない中途採用の段階で他者に無償に提供していいものだろうか、また、待遇がよかったとしても、自らの知見を吐き出し続けるだけになり将来的には知識が移転したら自分はその組織に必要なくなるのではないか、と考えていたのです。

中途採用だとこれまでのキャリアを即戦力としてそれなりに高く売るわけですからどういうロールがいいか?ということです。この考えは、なぜクラウドを専門とする私が現在、金融サービスグループにいるのか?と言うところにつながります。 転職後(異動後でも)に、転職先においても専門知識を持つ自分がその分野のリーダーになれるか? 自分がさらに挑戦をできるか?と言う点がポイントです。 これを満たせるという観点で、私は現在の部署に所属しています。

なお、このブログにおけるCCOEはSME (特定領域の専門家)と言い換えても通じると思います。

CCOEアサインを回避すべき組織の要件

ここで、あなたがクラウドに関するハイスキルを持っており、そのスキルを活かして転職もしくは異動をしようとする場合、どういう組織を回避すべきかを述べてみます。

あなたが中途社員ではあるが、スキルが転職後(異動後)の組織内で一番高い

すでにCCOEやクラウド専門部署があるとします。自分は転職後におそらくもっとも部署内でスキルが高いのではないかと想像できるとします。その場合、それなりのポジション、例えばその組織のリーダークラスかそれにちかいところで入れればよいですが、1スタッフとして入ると、自分よりスキルの低い上長を支えることになってしまいます。さらに、すでに組織の昇進順位がかなり強く決まっている場合は注意が必要です。どういう組織かは事前にあらゆる人的ネットワークを使って調べましょう。

上位マネジメントが自分以外のメンバーに実績を積ませたいと思っている

新卒が多く、雇用期間の長い会社にありがちですが、新しい分野のリーダーを長年その組織で成果を上げてきた人に委ねることが多いです。組織にとっては良いことですが、他社から来てこれからのし上がろうという人間にはあまりメリットはありません。また、生え抜きを重視するようなリーダーだと、あなたの知見を彼らのサポートに使われてしまいます。これで何が起こるかですが、既存の同僚があなたのスキルとサポートで成果で昇進をしていくのを見ることになるでしょう。そしてあなたはその貢献度に比べて低い評価しか得られません。やや高い評価かもしれませんが。 そもそも組織がそれを志向しているので、あなたに成果を出されては困るのです。

現在の部署では育成は適切なリーダーを選任し仕組化をしているので私の負荷は高くありません。これは私がリーダーだから自分で仕組化を仕掛けられるわけです。これができないリーダーは、社内外からスキルの高い、つまり、すでにどこかで育った人を何とか獲得して組織を回そうとします。それでは組織のスキルが全体的に上がっていくということはないです。新しい技術が出てきた場合に自分たちで対応できず、常に外からその知見者を持ってこようとします。

上司があなた自身のプロジェクト専念を嫌がる

これが組織運営をやるためであるとか、より大きな仕事を任せるためであればいいです。しかし、組織内のクラウドスキルが低すぎるため、あなたによる組織内の各プロジェクトへのサポートが全般的に必要な場合があります。この場合、各プロジェクトのリーダーはクラウドスキルが低く配下のメンバーも育成できません。上司である組織長があなたに各プロジェクトを技術面で下から支えるようにアサインするケースは最悪です。プロジェクトが軌道に乗った場合、手柄はプロジェクトのリーダーのものになるでしょう。それをきちんと評価してあなたを昇進させる上司であればいいですが、そうではない場合に、「上位マネジメントが自分以外のメンバーに実績を積ませたいと思っている」に見られる結果になります。

CCOEのアサインが長いとスキルが下がっていく

常に他人のイシュー機転でサポートを行わなければならない、すでに自分が知っている事柄を社内の同僚をサポートしながら教えなくてはならない。日中の多くはこれに時間が使われ、さらに膨大なサポートをあなたが要求された場合は自己学習の時間もありません。これが長く続くとあなたのスキルは時間がたつにつれて低下していきます。できれば新しい技術を扱うプロジェクトのリーダーになって、自分のプロジェクトのために、自分のスキル向上のために自分の時間を割くのがベストです。

まとめ

ハイスキルなクラウドエンジニアが中途採用の応募で回避すべきCCOEやクラウド専門組織の特徴を記載しました。転職時にどこの組織に移ろうか迷う人もいるかもしれませんが、まずは自分にメリットがあるかどうかを軸に考えるとよいです。それがあっての組織への貢献であり、逆ではありません。それがキャリア戦略というものです。

Accenture Japan (有志)

Discussion