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クラウドの育成施策のリーダーをどのように選ぶか

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アクセンチュア株式会社テクノロジーコンサルティング本部金融サービスグループ アソシエイト・ディレクターの青柳雅之です。

私は金融サービスグループのクラウドに関するプラクティスのリードとして、クラウド人材の育成にも関わっています。これまでは自分が主体的に行ってきた部分もあるのですが、今期は何人かのリーダーを作り、メンバーに施策をリードしてもらうことになりました。

ハンズオンに重点を置く

これまで、カスケード式トレーニングと言う口頭試問形式のトレーニングを実施してきました。これは1週間に週2かい、1回30分の口頭試問をするというものです。事前にクラウドベンダーが出している公開ドキュメントを予習してもらい、口頭試問を行います。予習は通勤時間を使って読める分量にしており2か月間行います。生徒が次のトレーニングの講師を行うのでカスケード式と名付けています。こちらは数百名の参加があり一定の成果を得ることが出来ました。ただし、これでは不十分で、実装力を身に着ける必要がありました。そこで我々は、Google Cloudが提供する、Google Cloud Skill Boost for PartnersというGoogleのパートナー向けのハンズオンの学習環境を使用することにしました。
カスケードのようにドキュメントを読むのは、参加者間で使える時間、現在の知識力の差が多く出てしまいます。しかし、ハンズオンは決められた手順をなぞるだけなので時間さえあれば誰でもできるのです。これが特に初心者の参加者のモチベーション維持につながります。

リーダーの人選

普通に考えると、すでに十分なスキルのある人を選びがちです。ただし、教えることやトレーニングを続けるということは、それはまた別のスキルです。いろいろ考えた末に、次のような考えに至りました。

・自分もこれから学ぶのであれば、次に学ぶ人に分かりやすく伝えられるのではないか。
・クラウドを知らなくても、別の分野の仕事で評価されている人であればコミットメントをもって続けてもらえるのではないか。
・もしも0から始めて人を教えることが出来る人が生まれたら、既存の組織のメンバーのスキルによらず、人材を量産できるのではないか。そして、それが成功したら一部のスキルの高い人に育成を依存しなくてもよいのではないか。

そこで私は、社会人歴が一定年数以上あるコンサル業務のマネージャーでITエンジニアの経験がない(ただし、ITの企画系で一定の知識はある)文系出身、つまり学生時代もITを学んでいない、仕事の評価の高い女性マネージャーをハンズオンのリーダーにしました。性別では選んでいないのですが、たまたま女性だったというだけです。その他、書いていないことも含め、人選の基準をまとめると次のようになります。ここが重要ですが、現時点のITスキルは基準には入っていません。

・別の分野であっても仕事の評価が高い。
・継続して行う責任感がある。仕事が忙しいからできませんという言い訳はしない。
※これは、プロジェクトに直接関係ない事務作業や組織ワークをやっているかどうかで判断できます。
・ファシリテーション、PMOの能力がある。

ハンズオンと進め方

まず、リーダーの方に事前に私が指定したハンズオンをすべて行うように依頼をしました。毎週行うので、その前の週には次週の分の予習をやっておくようにということです。これをきちんとやってくれる人をリーダーに選んでいました。

ハンズオンは1時間です。もくもく会形式でSkills Boostから選んだ1つのハンズオンを皆で行いますが、リーダーが説明しながらハンズオンを行います。同時にメンバーも手を動かします。質問がメンバーから出たらリーダーや答えられる人がその場で答えます。

ハンズオンの状況は動画を取っています。これは参加できない方が後で見て参考にするためです。

##Skills Boostで選んだハンズオン
今回の参加者は基盤系のメンバーが多く、プログラミングを生業にしてきた人は少ないです。そこで、初心者でも入りやすいPythonを使ったGeminiを呼ぶ出すプログラミングや、Vertx AI Studioを使ったハンズオンを中心に選んでいます。最終的にはCloud Runのアプリ開発まで行く予定です。ここにあるリストのハンズオンをやっているわけですが、この後にGoogle Cloudのネットワークやセキュリティのハンズオンが控えています。

ハンズオンの状況

参加者もそれなりにおり、毎週実施しています。リーダーの方もメンバーに説明が出来るレベルになっています。Skills Boostのチャレンジラボは、その前段のハンズオンを実施していると完成までこぎつけられるものですが、当初、リーダーは無理だと思ったそうです。しかし、前段のハンズオンをやってみたら、チャレンジラボは簡単だったということでした。

そして、その姿を見た別のメンバーも、今度は自分がリーダーをやりたいという希望を持っており、このハンズオンの輪が広がりそうな勢いです。

Accenture Japan (有志)

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