情シス本執筆のススメ(執筆の流れ・挫折への対処編)
本記事は「corp-engr 情シスSlack(コーポレートエンジニア x 情シス)#1 」の12/11枠として投稿します。
どんな記事なのか
本記事は法人の情報システム部門(情シス)に所属しているIT担当者のうち、自分の知見をまとまった形で共有したいと考える皆様に向けて書きました。法人によっては情シスが存在せず、総務部門などの中で個人としてITを担当している方もいらっしゃるかと思いますが、そのような方にもお読み頂きたいと思います。
本記事を書こうと思ったのは、自分がこれまで執筆してきた情シス本と呼ばれるジャンルの技術同人誌の執筆者がまだまだ少なく、書いてみようかなと思う方が増えることでこの界隈のアウトプットが増えれば良いなと考えたためです。
本記事は以下の2つの記事のうちの後者の記事です。
- 情シス本執筆のススメ(執筆メリット・ゆきさんインタビュー編)
- 情シス本執筆のススメ(執筆の流れ編)
前者の記事は以下の通り公開済みです。
技術書執筆の標準的な流れやポイントについては以下の技術書典の公式動画シリーズが詳しいです。
YouTubeのvideoIDが不正です
基本的な技術書の執筆ノウハウについては上記の動画に譲るとして、
本記事では自分の経験から具体的な流れや挫折への対処を記載していきます。
執筆の流れ
以下では執筆の流れを見ていきます。オンライン販売のみの場合を取り上げます。
これは私が物理本を出したことが無いためです。
(技術書典の場合)申込みをする
技術書典のようにサークル(本を出す側)の出展申し込みが必要なイベントの場合は、早めの段階でサークル出展申込期限があるので確認して申し込みましょう。
オンライン開催の場合は出展できるサークル数の制限もなく、私も毎回ほぼ内容が固まっていない状態でアイディアレベルで申込をしていますが落ちたことはありません。
ちょうど現在技術書典12のサークル参加申し込み期間中で、明日の23時59分まですので是非申し込んでみてください!
ネタを探す
そもそもネタが無ければ始まりません。ネタの探し方には以下の2つがあります。
- 自分がこれまでに業務で身に着けたノウハウや知識をネタにする
- 身につけたいと思っていた新しいノウハウや知識をネタにする
私は情シスではなかったのに情シス本を書こうとしていたので、後者のパターンでした。
ただ、実際に情シス本を執筆する方には前者の方が多く、経験を元にしているために技術的な検証が
最小限で済むというメリットもあるので、初めて書く方におすすめです。
自分のノウハウが役に立つかわからないと思うかもしれませんが、あなたの業務で役に立っている内容であれば
必ず役に立つ人がいるはずです。
目次を書く
技術書執筆において、目次を書いたら9割は完成しているという言葉があります。
実際に自分で書いていても、目次を作らずに頭から文章を書いてると、全体の構成が把握できない状態で書くことになるので「この内容を書くのはここでいいのか?」と気になって止まってしまう事が多くあります。
目次を作ることで何をどういう順番で書くかがある程度整理できて筆が進みやすくなります。
私はGoogle ドキュメントで執筆していますが、目次作成の際は本文に目次だけをバーッと書いて見出し機能を使って目次を自動作成しています。
この方法を取ると、何か参考にしたい記事やアイディアが思いついたときに見出しの部分にメモをしておいて、執筆の際に思い出せるのでおすすめです。
もちろん、最初に作った目次は後からどんどん変更して問題ありません。
書き始める
情シス本の場合は一人で書くことが多いと思うので、まずはWordやGoogle ドキュメントで書いてPDFでアップロードするのが良いかと思います。
技術書典の場合は、紙の本の注文数が分かってから印刷をかけることで大量に紙の本が余らないようにする「後から印刷」という仕組みもあるので、紙の本も出したいという方はそちらをご参照ください。
文章を書き始めると言い回しなどで直したいことが色々と出てきてしまうかもしれません。ただ、オススメなのは勢いに乗せて書ききってしまって、後で直していくことです。
書く作業と直す作業は頭の使い方が違うので、スイッチングコストがかかってしまうため、どちらかに集中したほうがよいという考えです。
この記事についても、一旦目次を作って書ききってから見直しをしています。
(可能なら)レビューしてもらう
私は書くのがギリギリになってしまいレビューを申し込むのに恐縮してしまうのですが、もし可能ならある程度進んだ段階で知り合いにレビューをしてもらうのも良いでしょう。
レビューを依頼する際は、どのような観点でレビューをしてほしいのか伝えると依頼される側もフィードバックがしやすいでしょう。観点としては以下のようなものが考えられます。
- 想定する読者(情シス)の方にレビューを依頼し、興味を引く内容かフィードバックをもらう
- 特定の技術に関して詳しい方に、その技術について書いた部分に間違いが無いかチェックしてもらう
最終チェックする
書き終わったら、一度最初から最後まで通しで読み通しましょう。これまでのところで直しなどは行っていると思いますが、改めて読むことで誤字に気づいたり、わかりにくい部分に気づけたりします。
可能であれば書き終えてから1日経ってから読み直すと、頭がリセットされていろいろなことに気づきやすくなります。
販売サイトにアップロードする
書き終えたら原稿をPDFにして販売サイトにアップロードしましょう。技術書典に出展している人は技術書典のホームページでアップロードすることができます。私は他のサイトでも販売して売上を伸ばしたいと考えたので、BOOTHというサイトにも出展しています。また、BOOTHは無料サンプルという形で無料で本の一部をアップロードすることもできるのでそういった面でもおすすめです。
価格については、他の本も参考にしつつ少し高めに設定するのもアリです。技術書典の購入者の傾向として、自分が興味のある書籍については特に価格は気にしないという傾向があるようなので、多少高めでも買う人は買うということです。
宣伝する
アップロードしたら宣伝をしましょう。もし自分でTwitterアカウントを持っている場合は、#技術書典 のハッシュタグをつけた上で販売開始したことをツイートするところから始めましょう。ハッシュタグを追っている人の目に触れやすくなります。
ツイートする際は①表紙②目次③本文の一部(本の内容が伝わるような図表があると良いです) の3枚の画像を上げるようにしましょう。もし目次が2ページになってしまう場合は③が目次の二枚目でも良いです。
なぜ3枚かというと、Twitterの仕様上画像を3枚上げると1枚目の表紙画像が縦長で表示されるので、表紙が見えやすいからです。また、表紙のタイトルの文字は大きめにしてTwitterでも見えやすくすることをおすすめします。
挫折への対処
以下では執筆を行うにあたっての挫折ポイントをまとめていきます。また、それぞれの挫折ポイントをどのように乗り越えていくかも合わせて記載します。
ネタが見つからない
ネタが見つからない場合は、自分の業務の中で困ったりしたことやそれをどのように解決したかを考えてみましょう。考えるだけでなく、テキストエディタに書き出したり紙に書き出したりするのがおすすめです。
書き出した内容を見つめることで、着想が得られてどんどん思い出すことができることがあります。
書き出した項目を眺めて、共通点がある項目が見つけられればそれらをまとめた内容の本にすればいいですし、特に思い入れのある内容があればそれを更に深堀りして本にすることもできます。
時間が足りない
執筆の時間が足りなくて、本を出すモチベーションが下がってしまう場合もあります。
そのような場合は、前編・後編に分けたり基礎編・実践編のように内容を分けて、細かく出すことにすれば良いでしょう。技術書典の場合は1年に2回開催されているので、今回前編しか出せなくても半年後に後編を出せれば良いという考えです。
需要が無いのではと思い悩む
書いている途中で、誰にも自分が書いている本の内容が求められていないのではと考えてしまうこともあります。しかし、技術書典は年々購入者が増えており、それは購入者の数だけ多種多様なニーズがあるということです。
なので、あなたの書く本は必ず誰かに刺さると考えて書きましょう。
別の方法として、情シス関連のイベントでLTが行えるイベントは定期的に多く開催されているので、本の内容を少し小出しにしたLTを行って参加者の反応を見るというのも良いです。
それで少しでも反応があれば、モチベーションを保つことができますし、本を出す前に反応を見ることができます。
宣伝OKなイベントであれば技術書典に出展することをアピールすることで宣伝にも繋がります。
技術的な裏付けが取れているか不安になる
逆説的ですが、技術的な裏付けを取るためには検証を行うしかありません。時間がかかってしまいますが、技術的な内容で不安なことがある場合はできる範囲で検証を行いましょう。
検証を行った際の画面のスクリーンショットを保存しておくことで、執筆の際に掲載して伝わりやすくできる効果もあります。
最後に
お読みいただきありがとうございました。
この記事をきっかけに情シス本を執筆してみようかなと思う人が少しでも増え、知見を共有する人が増えることが私やゆきさんの願うところです。
再掲になりますが現在技術書典12のサークル参加申し込み期限が明日の23時59分まですので是非申し込んでみてください!本の締切ではなく、出展申し込みです。
今回はオンライン開催ですし、サークルといっても私のように個人で参加している著者は多くいます。
申込みといっても、カッチリした内容ではなく「こんなことを書こうとしている」というアイディアレベルでも大丈夫だと思います。少しでも興味のある方は是非申し込んでみてください!
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