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コンピュータ・サイエンスの学習に、放送大学エキスパートが役立つかもしれない話

2020/12/27に公開

記事の趣旨

放送大学エキスパート(履修認証制度)についてつらつらと説明しつつ、最後に以下のようなことを述べています。

  • 「学部レベルのコンピュータ・サイエンスを学びたい」という場合に、放送大学エキスパートの計算機科学基礎プランがある種の道しるべになるかもしれない
  • しかしながら、学ぶことが目的であれば、実際に入学して認証を取得することは不要
  • とはいえ、学習モチベーションを維持する観点では、放送大学に入学するのはそこまで悪くない選択肢だと思う

はじめに

どうも、新卒3年目で、普段はSIerで色々ゴリゴリ書いております。
文系学部卒でIT業界に就職したわけですが、「せっかくなら体系だった知識をインプットしつつ仕事をしたい」と思い、放送大学教養学部情報コースに通っています。
そんな中で、放送大学が展開する履修認証制度「放送大学エキスパート」の1つである計算機科学基礎プランの認証を取得したため、そのことを書いていきたいと思います。

放送大学とは?

テレビでチャンネル回しているとたまに引っかかるアレです。
色々と誤解されたり[1]していますが、 正規の大学です。ちゃんと学位が貰えます。修士課程や博士課程も存在します。
学部は教養学部のみ、その中で6つのコース[2]に分かれており、私は情報コースに通っています。

放送大学エキスパートとは?

言ってしまえば、プチ学位です。
この辺は放送大学の説明が丁寧なのでそのまま引用します。

履修証明制度とは
学士などの学位とは異なる、社会人などを対象とした新しい履修・学習の証明が「履修証明」です。2007年度の学校教育法改正によって誕生した制度で、大学などが、一定のまとまりのある学習プログラム(履修証明プログラム)を開設し、修了者に対して、法に基づく履修証明書を交付できるようになっています。プログラムの内容は、大学によってさまざまです。

放送大学エキスパートとは
放送大学が2006年度から実施している制度です。上記の履修証明制度に対応しており、さまざまなプランを設けています。

科目群履修認証制度「放送大学エキスパート」 - 放送大学

現在、30ほどのプラン(≒専攻)が存在します。
プランに関連する講義を受講し、20単位以上取得することで認証を受けることができます。
私は、コンピュータ・サイエンス(以下、CS)関連の講義を計23単位取得し、「計算機科学基礎プラン」の認証を取得しました。
放送大学の学部は、どのコースも共通で「教養学士」の学位しか貰えず、なにを専攻したのか分かりにくいため、それを補完する意図があるのかなと個人的には思っています。
ちなみに、IT関連のプランとしては、他にデータサイエンスプランがあったりします。

どんな講義を受けて認証取得した?

私は以下の12講義(23単位)を受けて認証を取得しました。
取得条件ギリギリを目指すのであれば20単位で良いので、2講義分はオマケです。

  • 計算の科学と手引き(必修)
  • コンピュータの動作と管理(必修)
  • コンピュータとソフトウェア(必修)
  • デジタル情報と符号の理論(選択必修)
  • データ構造とプログラミング(選択必修)
  • 情報学へのとびら
  • 身近なネットワークサービス
  • 記号論理学
  • 自然言語処理
  • C言語基礎演習
  • データベース
  • デジタル情報の処理と認識

どれも名前の通りの内容なので、講義についての個別の説明は割愛です。
どの教科も試験は簡単でしたが、教科書の内容が充実していてやりがいがありました。
基本情報/応用情報に毛が生えたぐらいの内容を想定していたので、意外とヘビーだったなぁという印象です。

認証取得にどれくらいのコストがかかった?

期間については、私は2018年の第2学期(10月~)に放送大学へ入学し、2020年の第1学期(4月~)に認証取得条件を満たしたので、計4学期・2年間かかった計算です。
金銭的なところでいくと、大学への入学量24,000円+授業料110,000円(1単位5,500円 * 20単位)[3]計134,000円かかりました。
これを高いと見るか安いと見るかは、完全に人それぞれですね...私は半分くらい趣味のつもりで大学に通っているので、そこまで負担には感じませんでした。
比較対象として適切かは分かりませんが、プログラミングスクールは数十万かかるみたいな話を聞くので、それと比較すれば良心的と言えるでしょうか。

取得してみて実際どうか?

記事の本題です。

知ったからすぐ効果が出る類の知識ではないので、今の時点でとうこうはあまり言えませんが、CSの基礎的な部分を知ることができたので良かったかなと感じています。
資格としては無名なので、その方面の効果は期待できないのかなというのが個人的な印象です。あくまで勉強のためのマイルストーンと思って私は利用しました。

とはいえ、いざ一通り終わらせてみると、「実際に認証を取得しなくても、同じ勉強は出来たよな」と感じます。

放送大学の教科書は市販されていますし、図書館にも置いてあったりします。
講義はテレビ・ラジオで放送されているので、入学しなくても視聴出来ます^4

こんな感じなので、「学部レベルのCSを学びたい」という方には結構便利かもしれません。
「体系だった勉強をしよう!」と思った場合、どこから手を付けようか割と悩むと思います。
そんな時に、計算機科学基礎プランの必修科目・選択必修科目をザッと眺めてみて、興味のある科目の教科書を入手して勉強してみると良かったりするのかな、と思いました。
近年、海外大含め、オンラインサービスで受講できる大学講義は多数存在するため、その辺との選択になると思います。

しかし、私個人としては、勉強のモチベーション維持という意味で実際に入学して良かったです。

半年に一度試験はやってきますし、単位を落とせば落とすだけ学費は膨らみます。否が応でもやる気が出ます。
そして、たまにキャンパスを訪れると、色んな年代の方々が熱心に勉強している姿が見えます。「自分も頑張らなきゃなぁ」とか思ったりします。
結局、今の世の中、質の良い教材はいくらでも転がっているので、どのようにモチベーションを維持して勉強するかの方が大事という話もあります。この点で、私にとって良い作用を
したように思います。

「もう一度大学入って勉強してみるのも良いかもな」[4]と思った方は、是非、放送大学を検討してみてください。

あとは、そもそも、「IT業界で食っていくのに、どれだけCSが分かってりゃ良いんだ?」という深遠な議論もありますが、この記事では触れません...(まぁこんな回りくどい勉強している時点で、私がどう考えているかは丸分かりですが...)。

今後について

とりあえず、エキスパート取得はメインの目標では無いので、卒業へ向けてゆるゆると学生生活を続けていきます。折角入学した人生2度目の大学なので、卒業研究等々それっぽいこともやっていきたい次第です。
ではでは。

脚注
  1. 有名なエピソードはこれ。 自称某有名大学教授が放送大学を馬鹿にし、学長に訂正される - togetter ↩︎

  2. 現在は「生活と福祉」「心理と教育」「社会と産業」「人間と文化」「情報」「自然と環境」の6コースです。 6つのコース - 放送大学 ↩︎

  3. 放送大学の授業料は完全に従量制です。受講した単位数分、授業料が発生します。学費(授業料、入学料) - 放送大学 ↩︎

  4. 教養学士しか貰えないので、「CS学位貰って経歴に箔つけよう」みたいなことは出来ないです。あしからず。 ↩︎

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