中高生向けプログラミング体験イベントの舞台裏
はじめに
こんにちは、@wirohaです。ZOZOのDeveloper Engagementブロックで、技術広報やエンジニアの社内外のコミュニケーション支援を担当しています。
12月15日(日)に、ZOZOにて「Girls Meet STEM〜ITのお仕事を体験しよう〜」を開催しました。これはSTEM(理系)のジェンダーギャップ解消を目指す山田進太郎D&I財団の企画するイベントで、中高生女子向けにプログラミング体験や座談会などを提供する取り組みです。11の企業・団体・機関が参画しており、ZOZOもそのうちのひとつです。
当日の様子は、昨日ZOZO TECH BLOGで開催レポートを公開しました。本エントリは開催までに行った準備について紹介します。珍しい企画で手探りで進めていったため、準備の情報が他の方の参考になれば幸いです。
イベント概要
最終的に決定し実施した内容は次のとおりです。
日程:12/15(日)13:00-16:00
会場:西千葉本社
定員:20名
コンテンツ:
- Swift Playgroundsを使ったプログラミング体験会
- 社員との座談会(パネルトーク&質問会)
- オフィスツアー
準備期間
9月上旬:参画の打診をいただく
10月上旬:関係者で打ち合わせ、お話を聞く
11月5日(火):プレスリリース、募集ページオープン
12月1日(日):募集締切
12月15日(日):開催当日
打ち合わせをして企画の説明を伺ったのが10月上旬で、すぐ参画を決めて準備に取りかかりました。9月がカンファレンスの繁忙期だったのもあり、予定を合わせられず準備期間がやや短くなりました。
最初に検討したこと
最初に検討したのは次の事項です。
- 会場
- 運営メンバー
- 日程
- 当日のコンテンツ・タイムスケジュール
- 予算
これらはどれも依存関係があります。「当日のコンテンツにオフィスツアーを入れたいので、会場は西千葉の本社にする」「運営メンバーを決めてから全員の予定が合う日程にする」などです。しかし細部まで詰めてから他を調整すると準備が間に合わないため、仮案を作りながらさまざまな依頼を進めました。
運営メンバーは自チームの他、プログラミング体験会&トークセッションでのメンターとなるエンジニア、デザイン・新卒採用・CSR・開発支援・広報・フォトと多様なチームから構成されることになりました。中高生女子向けイベントのためメンターは女性を探すことになり、対象者が限られる中で協力が得られたのはありがたかったです。
この辺りの大枠が決まると、実施できそうな現実感が出てきます。
タスク管理表の作成
大枠が決まったら細かいタスクを洗い出し、Googleスプレッドシートで管理しました。「事前構築済みの表から作成」という機能を使ってみました。
条件付き書式で完了したタスク・遅延しているタスクを色分けしたり、簡単なガントチャートを作ったりもして、便利に使えました。
具体的な準備内容
タスクを洗い出したら各準備を並行して進めていきます。
PCの確保
PCを1日だけ20台借りられないかと、PC管理などを行う部署に相談しました。社内にそれほどの余剰はなかったためレンタルすることになり、レンタルの場合も在庫に限りがあるため早く動いた方が良いとのことでした。人数の確定を待ってからの発注では間に合わないのが難しい点です。他の参画企業ではPCは各自持ち込みというパターンもありました。
デザイン
パンフレット・名札・掲示物などのデザインを社内のデザイン部門に依頼しました。技術カンファレンスの協賛のときもパネルやノベルティなどを制作してくれる、頼もしい存在です。掲載内容を検討するにあたって過去の似たイベントでの制作物を教えてもらえたり、とても参考になりました。
デザイン要素をどこまで凝るかは各社自由だと思います。物理的なものの準備は発注のリードタイムが発生するので、早めに準備する必要があります。
プログラミング体験会の教材の決定
教材は用意いただいたものもあったのですが、検討の結果、Appleの提供する学習アプリ「Swift Playgrounds」を使ってみる方向になりました。使用に関しては念のためAppleの方に確認し、快諾いただけました。
Swift Playgroundsを選んだのは、私がiOSDC Japan 2024のパンフレット原稿で寄稿した際に調査し[1]、学習教材としての魅力を感じていたのが大きな理由です。予想外のところで役に立ち、さまざまな技術領域に挑戦しておいて良かったと思いました。教材への知識があることから、必然的に講師役は私になりました。
広報・告知
プレスリリースを出すことになり、広報の方にがっつり入ってもらいました。プレスリリースを出すような仕事に関わるのは珍しいので、嬉しいものですね。
参加者募集ページへの掲載情報の検討もします。過去回の写真があればイメージがつきやすく申込も来やすそうなので、今回の実施当日にはしっかり写真を撮ろうと思いました。
会場下見、動線設計
Developer Engagementブロックのイベントは紀尾井町のイベントスペース「LODGE」で開催することが多く、西千葉本社での開催実績がありません。本社のうち何階のどこを使うのか、座席の配置や資料の投影方法、マイク・スピーカーなどの機材が足りるのか、受付動線などを考えていきました。開催日が休日であるのも珍しく、通常の社内ルールからは外れる点もありました。
飲食物の検討
せっかくなので少しおしゃれなおやつを用意したいよねと話し、よく西千葉でイベントを行っている部署の方に相談して、近隣のお店のクッキーを手配してもらいました。ふわっとした相談からスッと汲んでもらえて本当に助かります。今回の企画でさまざまな部署の方に珍しい依頼をしましたがみんな快く対応してくれ、弊社はいい人が多いとよく言われているのはそのとおりだと感じます。
ノベルティの用意
当日渡すパンフレットやステッカーなどをきれいにを持ち帰れるように、クリアファイルを初出しで用意しました。他にも文具や手鏡、それらをまとめられる紙袋を用意しました。中高生が喜ぶノベルティは想像がつかず、普段自分が接する層の偏りを感じました。今後さまざまな属性の人ともっと交流して理解を深めたいものです。
運営マニュアルの作成
当日誰が何時に集まって何をするのか、詳細を詰めていきました。要検討事項が見つかるので決めていきます。PCのセットアップマニュアルも作成しました。設定に漏れがあると当日のトラブルの元ですし、レンタル期間も限られているので速やかに準備できるようにしました。
パネルトークの詳細検討
パネルトークはエンジニアイベントではよくあるコンテンツです。中高生がエンジニアに聞きたいことは何だろうと考えていきました。今年はボランティアスタッフとしてDroidKaigi Meetup for WomenやDroidKaigi 2024のパネルトーク企画でもパネル形式のイベントを企画・サポートしていたので考えやすかったです。
テーマよりも、トーク後の質問会コーナーの設計に悩みました。グループで分けて社員が各グループをまわる方式を採用したものの、会場の座席配置の都合で当初考えていた分割数では狭くなってしまうことがわかりました。グループを多くすれば1グループあたりの人数が減り、スペースに余裕も出て話しやすくなる一方、高頻度でローテーションすることになり落ち着かなくなってしまいます。いったん質問会の時間配分を増やし、3~5グループと仮決めしてあとは申込人数次第で柔軟に進めることにしました。
スライド作成
イベント開始から終了まで終始スライドを投影するので、会場説明に始まりアンケートまで資料にしていきます。一番ボリュームがあるのはプログラミング体験会です。個人的には結構好きで楽しい作業でした。60分の構成で、説明があった方が理解しやすい一方、なるべく手を動かす時間を取りたいのでリハーサルをしながら調整しました。作成は開催1ヶ月前〜1週間前頃に少しずつ進めました。レビューなどをしてもらう中でいろんな人に褒められました!
メンター陣で教材を予習
作成したスライドを元に、メンター陣で「Swift Playgroundsを触ってみる会」を行いました。予習することでメンターが教材に慣れるとともに、当日出てきそうな質問が見えてきました。メンター達が「かわいい!」「面白い!」と楽しんでいたので、参加者にもきっと楽しんでもらえるはず…!という気持ちがわいてきました。
物理的なものの手配
看板、ポップといった備品の手配や、デザインした名札・パンフレットの印刷などを進めていきます。手に取れる物が出来てくると、いよいよという気持ちになりますね!
レンタルPCのセットアップ
開催2週間前頃に、20台のPCの環境構築をしました。台数が多いと時間がかかる上、一部の端末でアプリがうまく動作しない問題が発生し、調査・修正に時間がかかりました。解決しなかった場合、PCの再手配が必要になる可能性があったため早めに準備したのは正解だったと思います。
他に想定外だったのは、全PCのユーザ名が同一だったことです。AirDropでファイルを送ろうにもどのPCかわからず手間取りました。もっと台数が多い場合や繰り返し発生する場合は自動化も考えた方が良いのかもしれません。
メディア対応
メディア取材の予定が入ったため、当日いつ誰がどのように対応するのか決めていきました。注目していただけて喜ばしいことです。
開催後のタスクの洗い出し
備品の返却や開催レポートの公開、アンケートの整理、経費精算など開催後に速やかに行った方が良いことがあるため事前にタスクを洗い出しておきました。
そして当日
12月はイベントが多く、Advent Calendarの執筆&レビューもある時期で慌ただしいので、本エントリは開催前に書きました。そのため当日準備の内容や振り返りは省略しています。無事にイベントが開催できていることを祈ります!
Girls Meet STEMはとても素敵な取り組みで、参画できて嬉しく思います。いろんな会社に広がるといいなと思っているので、本エントリを執筆しました。他に何か聞いてみたいことがあれば、@wirohaまでお声がけください。各社さまざまな企画をしているので、あくまで「ZOZOの場合はこうした」という内容ですがお話しできると思います。同様のイベントを企画する方の参考になれば幸いです。
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