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数値処理のアルゴリズム

2024/09/06に公開

予備知識

配列値比較計算

配列について簡単な理解を得るならば、現実世界ではコインロッカーが近しい存在です。
横に5つ、縦に5つの保管場所を持つコインロッカーなのだとしたら、配列で言うところの5行5列という意味合いになります。
また、これは数学で言う行列の表現方法と同じです。
配列はアルゴリズムを理解するにあたっての基本的な知識になります。
配列という単語は、配列で選択中の要素か、すべての要素を指しています。
なぜ、そのような曖昧な表現になるかと言えば、配列の種類によって要素の最大個数が確定していない場合があるからです。
要素の最大個数のことを最大要素数と呼びます。

  • 単語のつながりで使用例を見ると
    「『配列』の『要素』に『値』を代入する」となります。
    ※値とは数値や文字列のことです。
  • コインロッカーに言い換えるなら
    「『コインロッカー』の『保管場所』に『物』を入れる」となります。

各単語の意味をつながりで覚えると記憶しやすいです。

このアルゴリズムで出来ること

配列の要素に値を代入しながら同時に要素比較を行う過程を視覚的に理解する

動作順序

①表の個数1の行かつ最右端L列の配列要素を選択している状態とする
②2桁の乱数を生成し選択している要素に代入する
③現在列の配列要素のうち数値が代入された要素すべての[合計,平均,最大,最小]を求める
④選択要素の行をひとつ下へ列をひとつ左へ移動する
⑤選択要素が配列の要素であれば②へ戻る
配列値比較計算
表のように、配列要素の数え方を個数で表現するほか、添え字でも表現可能です。
「添え字」とはプログラミングで用いられる表現で、要素1個目が添え字0となります。
もし、混同してややこしい場合には以下の方法で対応します。

  • 添え字0の要素を飛ばす
  • 配列の仕様を変更し添え字1からの開始として指定する

計算対象選別

判定 計算対象 関係 数値
データの比較回数 = 0
データの交換回数 = 0
関数の呼び出し回数 = 1

変数定義

変数にする対象 変数 説明
配列 a[9] 最大要素数が10個の配列
合計 sum
平均 ave
最大 max
最小 min

一般化

計算量としては動作順序にあるような処理を行う関数を1回呼び出すことに等しいので
T(n)=1
漸近計算量は O(1) である

時刻差分

ここではデジタル時計の時刻表示をとりあげます。

このアルゴリズムで出来ること

00:00:00 の形式で指定された2つの時刻の差分を求める

動作順序

①2つの指定時刻をそれぞれ[時間,分,秒]に分ける
②2つの時刻の[時間の差,分の差,秒の差]を求める
③時間差を3600倍,分差を60倍する
④すべての差を合計すると[秒]の時刻差分が求まる
⑤時刻表示とするため、まずは差分を3600で割り、その商が[時間]部分になる
⑥つぎに、⑤で時刻差分を3600で割った余りの方をあらたに時刻差分とする
⑦さらに、この時刻差分を60で割った商が[分]部分になる
⑧最後に、この時刻差分を60で割った余りが[秒]部分になる
時刻差分の動作概要

計算対象選別

判定 計算対象 関係 数値
データの比較回数 = 0
データの交換回数 = 0
関数の呼び出し回数 = 1

変数定義

変数にする対象 変数 時間
1時間 h 1×h 60×h 60×60×h
1分間 m 1×m 60×m
1秒間 s 1×s
1つ目の時刻 a_1
2つ目の時刻 a_2
秒の時刻差分 S_t

一般化

1つ目の時刻の秒部分は s(a_1)00:00:00 の形式で下2桁にあたる部分であり
それをふまえて1つ目の時刻全体を秒であらわすと

a_1=[60×60×h(a_1)]+[60×m(a_1)]+[1×s(a_1)]
共通因数でくくると
a_1=60\{[60×h(a_1)]+m(a_1)\}+s(a_1)
同様に2つ目の時刻を秒であらわすと
a_2=60\{[60×h(a_2)]+m(a_2)\}+s(a_2)
a_2>a_1 のとき S_t=a_2-a_1 なので
S_t=60\{⟮60×[h(a_2)-h(a_1)]⟯+[m(a_2)-m(a_1)]\}+[s(a_2)-s(a_1)]
ここまでで秒の時刻差分が求まり
これは 00:00:00 の形式で言うと以下のようになる
{\frac {S_t} {3600}\ 時間\ \frac {S_t\%3600} {60}\ 分\ (S_t\%3600)\%60\ 秒}
この式は計算量を指し示しておらず時刻差分を求めるための文字式でしかない

別途で計算量を表現するならば上記のように

  • 秒の時刻差分 S_t を求める
  • 求めた時刻差分を時刻表示にして出力する

この2つの処理が可能な関数を呼び出すことになる
※ここで関数の引数は2つの時刻 a_1a_2 である

よって計算量としては関数を1回呼び出すことに等しいので
T(n)=1
漸近計算量は O(1) である

最大公約数

数学的な「最大公約数を求める」と結果的には同じ意味合いである[ユークリッドの互除法]をとりあげます。

このアルゴリズムで出来ること

ユークリッドの互除法で最大公約数を求める流れを視覚的に理解する

動作順序

①最大公約数を求めたい2つの数値のうち、大きい数値を割られる側、小さい数値を割る側として割り算する
②あらたに小さい数値を割られる側、①の余りを割る側として割り算する
③あらたに①の余りを割られる側、②の余りを割る側として割り算する
④ここまでの計算過程のなかで余りが0になった時点での割る数が最大公約数となる
※③の余りが0にならない場合には③同様に(2順序前の余り)から(1順序前の余り)を割った余りが0になるまで同じ処理を繰り返す
ユークリッドの互除法の例
この表では例として、1以外に最大公約数がある2つの数値を5組選出して記載しました。

計算対象選別

判定 計算対象 関係 数値
データの比較回数 = 0
データの交換回数 = 0
関数の呼び出し回数 = 1

変数定義

変数にする対象 変数
1つ目の数値 a
2つ目の数値 b
割り算の結果 c

一般化

計算量としては動作順序にあるような処理を行う関数を1回呼び出すことに等しいので
T(n)=1
漸近計算量は O(1) である

Discussion