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全体を見よう:目の前の成果にとらわれない思考法

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「目の前の成果」に集中しすぎていない?

たとえば「営業成績を上げろ」と言われたとき、どう動くか。とりあえず契約をとる。そのために多少の無理をする。クレームが来る。でも目標は達成した。
そんな経験、心当たりがある人もいるかもしれない。

数字は確かに大事。でも、それって「全体としてうまくいってる」のかな?
この問いに向き合うのが「全体最適」の視点。

全体最適ってどういうこと?

一言でいえば、「全体の幸福や成果を優先する思考法」。
部分的にうまくいっても、全体が壊れたら意味がない。だから、最初から“全体が良くなる道”を考えていく。

これは、部分最適とは違う視点。
たとえば開発チームが納期に間に合わせることだけを考えて、設計ミスを見逃す。結果、運用コストが倍増する。
「目先だけでなく、長いスパン・広い視野で考えよう」というのが全体最適。

よくある“部分最適”の落とし穴

  • 営業部だけがインセンティブ目当てで契約を急ぐ→サポート部が疲弊
  • 家族の一人だけが我慢することで成り立つ生活→長期的に崩れる
  • 目の前の勉強だけに集中→体調や人間関係を壊す

このように、「一部分の最適化」が全体の不調につながることは意外と多い。

◆ 因果関係の流れを図で考える

ここでは、こうした部分最適の流れを、因果関係としてフローチャートやProlog風の図で可視化する。
・どんな要素がつながっているか
・どこにフィードバックがかかっているか
・どの関係が好循環/悪循環を生むのか

そうした図を通して、「今どこを変えるべきか?」の判断が見えてくる。

フローチャート(悪循環モデル)

説明:目標達成がクレーム・疲弊・低下という“負の連鎖”にフィードバックしながらループしている構造。

疑似言語

目標 = 「営業成績を上げる」

if 目標が数値として設定されている:
    動き = 「契約をとる」優先
    方法 = 「多少の無理」含む

if 方法 == 無理:
    顧客状態 = 不満
    サポート状態 = 疲弊
    チーム全体 = パフォーマンス低下

if チーム全体 == 低下:
    本来の成果 = 減少

結果 = 「営業成績」だけは達成されたように見える

説明:if構造で因果を整理。「条件に従ってどんな流れが生じるか」をモデル化。

prolog

% 事実
目標(営業成績_向上).
手段(契約優先).
手段に伴う(契約優先, 無理をする).
無理をすると(クレーム).
クレームが来ると(サポート疲弊).
サポート疲弊が起きると(チームパフォーマンス低下).
チームパフォーマンス低下があると(全体成果の低下).

% ルール
成果見えるように(X) :- 目標(X), 手段(_), \+ 全体成果の低下.

説明:Prologでは 事実(Fact)とルール(Rule) で因果構造を記述。最後の成果見えるように(X)で、見かけの成果が得られる条件を定義。

「全体を見る力」はどう育てる?

じゃあ、どうやって“全体を見る”視点を持てばいいのか?
たとえば、こんなことから始められる。

  • ステークホルダーの視点で考える
     →自分だけでなく、同僚・顧客・上司・未来の自分の視点で見直す
  • フィードバック構造を意識する
     →自分の行動が、どこに影響を与え、何が返ってくるのか
  • 静的構造と動的因果の違いを理解する
     →組織の仕組みとその変化を、別々に見るようにする

挿入する図では、改善前後のモデルを比較する予定。
数字だけで見ていたものを、関係性でとらえ直す視点の転換がカギ。

prologで示すと以下のようになる。

% ルール:見かけの成果
見かけの成果(X) :-
    目標(X),
    手段(S),
    手段に伴う(S, _),
    \+ 全体成果の低下.

% ルール:本当に成果が上がる
本当の成果(X) :-
    目標(X),
    手段(S),
    手段に伴う(S, 効果),
    効果があると(良い影響),
    全体成果の向上があると(良い影響).

まとめ:視野を広げると、判断も変わる

全体最適の視点は、すぐに習得できるものではない。
でも、「今、全体で見たらどうなんだろう?」と問いかけるだけで、行動は変わりはじめる。

小さな視野では見えなかった「大きな無駄」や「無理」が見えてくる。
そしてそれに気づけたとき、より健全で持続可能な判断ができるようになる。

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