QAエンジニアがリードする、チームの垣根を超える!プロダクトを触る会で実現した一体感と品質向上
こんにちは。株式会社ZENKIGEN QAエンジニアの横田です。本記事では、チームとビジネスチームの認識ずれを解消するために実施している、「プロダクトを触る会」を紹介致します。
はじめに
私はZENKIGENでQAエンジニアとして、プロダクトの品質保証を担当しています。日々の業務の中で、開発チームとビジネスチームの間で、リリースされる機能に対する理解度に差があることに課題を感じていました。そこで、チーム間の認識ずれを解消し、より良いプロダクト開発に繋げたいと考え、2024年8月からリリース前の機能を事業部全体で「プロダクトを触る会」を開始しました。
本記事は、QAエンジニアで「テストケース作成やテスト実行だけでなく、チーム全体の品質向上に貢献したい」と考えている方を想定読者としています。QAの枠を超えてプロダクトの品質向上に貢献したいが、何から始めればいいかわからないという方にとって、次の一歩を踏み出すヒントとなれば幸いです。
本取り組み実施の背景
本取り組みを実施する背景には、以下の2つの課題がありました。
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リリース機能を把握出来ていない開発メンバーがいる
開発チーム内でも、関与していないメンバーはリリース機能を把握できておらず、「こんな機能がリリースされていたの?」という状況が発生していました。例えば、〇〇機能の開発を担当したAさんは、△△機能のリリースを知らなかったため、実装時にコンフリクトが発生し、手戻りが発生しました。 -
開発チーム以外のフィードバック機会が少ない
ビジネスチームやデザインチームは仕様をドキュメントで理解していても、実際に触る機会が少なく、リリース前にフィードバックをするのが難しい状況でした。ビジネスチームは、ドキュメントだけでは機能の具体的な使い勝手がイメージしづらく、フィードバックが遅れることがありました。
これらの課題を解決するために、「プロダクトを触る会」 を導入しました。
本取り組みのゴール
本取り組みのゴールは、開発チームとビジネスチームのメンバーが、リリース前の機能を深く理解し、より良いプロダクト開発に繋げることです。目標達成のために、達成後の状態を明確に定義し、各チームがこの取り組みから得られるメリットも明らかにしました。
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開発チーム全体での機能理解の促進
リリースされる機能について、開発に関わったメンバーだけでなく、チーム全体が仕様、動作を把握できる状態を目指します。 -
開発チーム以外のメンバーからのフィードバック機会の増加
早期段階でプロダクトに対するフィードバックを受けられる状態を作り、リリース前の改善点を発見し、手戻りを最小限に抑えることを目指します。 -
チーム間のコミュニケーションの活性化
異なるチームのメンバーが、プロダクトを一緒に触り、意見交換することで、チーム間のコミュニケーションを活性化させます。
プロダクトを触る会の進め方
準備
機能の選定
- リリース予定の機能から、対象を決定(基本は全機能対象だが、細かな修正は除外することも)
- 新規機能や大型改修など、影響範囲が大きい機能を優先的に選定する
会のスケジュール設定
- 実施タイミングはQAテスト期間(検証環境に機能が反映されるタイミング)
- 参加者は、開発チームは全員参加/ 開発チーム以外は1名以上参加する
アジェンダの作成
- 機能の説明
- フィードバック記載場所を明記
- フィードバックは、Notionのデータベースを使用
- 現象の画面キャプチャや手順等を記載してもらうように、テンプレート作成した
- 例:
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- 〇〇機能概要説明(開発エンジニア):15分
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- 質疑応答::5分
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- ハンズオンタイム:20分
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- フィードバック共有:20分
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実施
機能説明(前半)
- 開発エンジニアが対象機能を説明
- その場で質問を受け付け、即回答(難しい質問は後日対応)
ハンズオン(後半)
- 参加者が 検証環境で実際にプロダクトを触る
- フィードバックを記載
- バグ/質問/要望の3つのカテゴリで記載
- Notionのデータベースに直接登録
フィードバックの整理
- 参加者全員でフィードバックを読み合わせ
- その場で回答可能なものは、開発チームから回答を実施
- 読み合わせでは、以下の観点でフィードバックを確認する
- 機能の意図と実際の動作に乖離がないか
- ユーザーにとって使いやすいか
- ビジネス要件を満たしているか
効果と今後の課題
本取り組みを実施することによって、以下のような効果がありました。
- QAエンジニアがテスト以外の活動に対しても、プロダクト品質向上に繋がる活動を行っている事を認知してもらうきっかけとなった
- 毎回、10名以上の方に参加してもらえた
- リリース前にビジネス観点のフィードバックを毎回得ることができた(平均15個)
- リリース前機能に対して、状況を把握することで全体で大きな安心感を得ることが出来た
フィードバックリストの例
一方で、以下のような課題もありました。
- フィードバック対応に工数が掛かってしまい、予定のリリース日より遅れることがあった
これらの経験を通して、リリース前に確実にビジネスチームにプロダクトを触ってもらえるようになり、大きな安心感を得ることができました。今後は、参加者満足度アンケート等を実施し、これらのデータを基に、実施方式の最適化や、より効果的な改善策を検討していきます。
アンケート項目例:
- 会の内容の満足度及び課題
- 進め方の満足度
- 効果
今後の展望
今後は、他の企業やチームでの事例を参考にしながら、より効果的な実施方法を模索し、継続的に改善していきたいと思います。具体的には、開発の早い段階でリリースする内容の認識合わせをする機会を設けるなど、プロダクトを触る会をより効果的に活用できるよう検討を進めていきます。
お知らせ
弊社では、QAエンジニアを募集しています。品質改善に繋がる活動を一緒に実行してくれる方は、お気軽にご連絡ください!
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