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【論文紹介】: 面接トレーニングエージェントによるアサーティブフィードバックの影響分析

2024/10/04に公開

こんにちは。ZENKIGENデータサイエンスチームの廣田です。所属チームでXアカウントを運用しており、AIに関する情報を発信していますのでご興味あれば覗いてみてください。

概要

論文内で行われたこと

実験内容

  • 面接練習場面において、CG[2]エージェントを相手に、実験参加者である学生が自己PRなどを話す。
  • 実験参加者が話している時の、姿勢や足組みなどの非言語的な指摘箇所をエージェントが指摘し、実験参加者がどのように感じたかをアンケートにより評価する。

実験条件

  • エージェントは、アサーティブフィードバックを行う[3](以後AFと呼ぶ)と、統制条件(以後CFと呼ぶ)の2つの条件で実験を行う。
  • 実験参加者は事前アンケートにより、失敗学習傾向[4]が低・中・高の3つのグループに分けられる。

結果(一部抜粋)

アサーティブフィードバックに(AF)より、失敗学習傾向が低い群に、エージェントからの攻撃性が低下する

失敗学習傾向が低い群において、AF条件の方が攻撃性評価が有意に低いことが示されました。


エージェント条件・失敗学習傾向条件ごとの攻撃性。論文より引用。AF=アサーティブフィードバック、CF=統制条件

失敗学習傾向が高い群には、エージェントへの親近感が向上する

失敗学習傾向が高い群において、AF条件の方が親近感評価が有意に高いことが示されました。


エージェント条件・失敗学習傾向条件ごとの親近感。論文より引用。AF=アサーティブフィードバック、CF=統制条件

個人的な面白ポイント(攻撃性の低下)

論文中の図から読み取ると、失敗学習傾向が低い群におけるAF条件による攻撃性の低下は、統計的に有意という報告があるものの、度合いは0.5よりも小さく、その効果はさほど大きいとは言えないかもしれません。それでも、失敗や指摘を自分の学びへと昇華することが苦手な人に対して、エージェントによるアサーティブコミュニケーションによって、攻撃性を緩和できるかもしれないという示唆があることは、とても興味深いです。

また、そもそも失敗学習傾向の高低に関わらず、攻撃性の評価は低めの値でした。実験設定に依るところが大きいですが、人ではなくエージェントがフィードバックすることによって、攻撃性を抑えることができるかもしれません。フィードバックする人の雰囲気や声のトーンなど、統制が難しいですが、人によるフィードバックとエージェントによるフィードバックの違いを考えると、興味深いです。

お知らせ

少しでも弊社にご興味を持っていただけた方は、お気軽にご連絡頂けますと幸いです。まずはカジュアルにお話を、という形でも、副業を検討したいという形でも歓迎しています。

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脚注
  1. 相手の立場や意見を尊重しつつ、自分の意見や感情を伝えるコミュニケーション方法のことです。 ↩︎

  2. コンピュータグラフィックス ↩︎

  3. 表情、ジェスチャ、言語的な伝え方によってアサーティブフィードバックを行います。 ↩︎

  4. 「自分に対する批判は、自分の役に立つことがあるので、価値のあることだと思う」のような質問に回答することにより、指摘や失敗から学ぼうとする意識の強さを測ります。 ↩︎

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