CursorのCustom Mode完全ガイド:AI Agentを自分専用にカスタマイズする方法
はじめに
Cursorを使っていて、「もっと自分の作業スタイルに合わせてAI Agentをカスタマイズできたら...」と思ったことはありませんか?
いつのまにかCursorには Custom Mode(カスタムモード) という機能が追加されていました。この機能を使えば、AIアシスタントの振る舞いを自分の開発スタイルやタスクに完璧に合わせることができるかもしれません。
本記事では、Custom Modeの基本的な使い方から、実践的な活用例まで詳しく解説します。
※ 25/06/25時点ではβ版となる機能です。
Custom Modeとは?
Custom Modeは、Cursorのβ機能として提供されている、AIアシスタントをカスタマイズできる機能です。通常のチャットモードとは異なり、以下のような要素を自由に設定できます:
- Name: 任意で設定できるモード名
- Tools: 必要な機能だけを有効化して自由に組み合わせる
- Custom Instructions: AI Agentの振る舞いを詳細にコントロールするシステムプロンプト
Custom Modeの有効化
まずは機能を有効にしましょう:
- Cursorの設定を開く(
Cmd/Ctrl + ,
) -
Features
→Chat
→Custom modes
を選択 - トグルをONにする
基本的な作成方法
Custom Modeの作成は簡単です:
- チャット画面でモードメニューを開く
- 「Add custom mode」をクリック
- 以下の項目を設定:
設定項目の詳細
チャット欄からAgent > Add Custom Mode > 設定項目を入力
Name
モードを識別しやすい名称(例:「Refactor」)
Keybinding
チャット内で素早くモードを切り替えるためのキー割り当て
Tools
Custom Modeの最も重要な部分は、使用するツールの選択です。各ツールには特定の役割があり、適切に組み合わせることで強力なモードを作成できます。以下各ツールの詳細。
🔍 Search:検索系ツール
ツール名 | 機能概要 | 主な用途 |
---|---|---|
Read File | ファイル内容の読み取り | 特定ファイルの詳細分析 |
List Directory | ディレクトリ構造の確認 | プロジェクト構造の把握 |
Codebase | セマンティック検索 | 大規模プロジェクトでの関連情報取得 |
Grep | キーワード・パターン検索 | 特定文字列を含むファイルの特定 |
Search Files | ファイル名のファジー検索 | ファイル場所が不明な場合の検索 |
Web | Web検索クエリ生成 | 最新技術情報・ドキュメント参照 |
Fetch Rules | プロジェクト固有ルール取得 | cursor rulesで定義された規約参照 |
✏️ Edit:編集系ツール
ツール名 | 機能概要 | 主な用途 |
---|---|---|
Edit & Reapply | ファイル編集の提案と自動適用 | リファクタリング・コード改善(Auto-apply Editsオプション対応) |
Delete File | ファイルの自律的削除 | 不要ファイルのクリーンアップ |
🖥️ Run:実行系ツール
ツール名 | 機能概要 | 主な用途 |
---|---|---|
Terminal | ターミナルコマンドの実行と監視 | ビルド・テスト・デプロイ(Auto-runオプション対応) |
🔌 MCP:拡張機能
ツール名 | 機能概要 | 主な用途 |
---|---|---|
MCP Servers | 連携済みMCPサーバーの選択 | Cursorに連携済みのMCPサーバー機能を利用(GitHub,Playwright等) |
Advanced Options
ツールの動作をさらに細かく制御できる高度なオプションです:
オプション名 | 機能概要 | 推奨使用場面 |
---|---|---|
Auto-apply Edits | 編集を手動確認なしで自動適用 | 信頼できるリファクタリングや定型的な修正作業 |
Auto-run | ターミナルコマンドの自動実行と編集の自動承認 | テストスイートの実行や変更の検証 |
Guardrails | 特定ツールの自動実行を制御する許可/拒否リスト設定 | 安全性を確保しながら自動化を進めたい場合 |
Auto-fix Errors | リンターのエラーや警告を自動的に解決 | コード品質を維持しながら開発速度を向上させたい時 |
Custom Instructions
AIの振る舞いを詳細にコントロールする指示文。以下の要素を含めると効果的:
- 具体的な目標と制約
- 優先順位
- 出力フォーマット
- 禁止事項
実践的なCustom Mode例
公式で紹介されているもの
まずはこれらをコピーして使ってみるのが良いかと思います:
モード名 | Tools | Custom Instructions | モード説明 |
---|---|---|---|
📚 Learn 学習モード |
All Search
|
Focus on explaining concepts thoroughly and ask clarifying questions before providing solutions | 詳細な説明と頻繁な確認質問を促し、自動的な編集やツールの実行を行わない |
🔧 Refactor リファクタリングモード |
Edit & Reapply |
Focus solely on improving existing code structure without adding new functionality | 既存のコード構造の改善に専念し、新機能の追加や追加ファイルの読み込みを行わない |
📋 Plan 計画モード |
Codebase , Read file , Terminal
|
Create detailed implementation plans without making direct code changes. Write it to plan.md
|
コードを直接変更せずに、包括的な実装計画を生成し、アプローチをplan.md ファイルに明確に文書化 |
🔍 Research リサーチモード |
Codebase , Web , Read file , Search files
|
Gather comprehensive information from multiple sources before suggesting solutions | ソリューションを推奨する前に、Web検索やコードベース探索を含む様々なソースから広範な情報を収集 |
🚀 Yolo 全委任モード |
All tools with Auto-apply edits and Auto-run enabled |
Take initiative and make bold changes with minimal confirmation | 最小限のユーザー確認で積極的にすべての利用可能なツールを適用し、大胆な変更を行う |
🐛 Debug デバッグモード |
All Search , Terminal , Edit & Reapply
|
Thoroughly investigate issues by gathering extensive context before proposing targeted fixes | ソースファイルから広範なコンテキストを収集し、ターミナル出力を分析して、詳細で的を絞った修正を提案 |
コミュニティで紹介されているもの
Playbooks.comでは、コミュニティが作成した様々なCustom Modeが共有されています:
高度な活用テクニック
1. ワークフロー別モードの使い分け
開発フェーズに応じてモードを切り替えることで、開発体験をまた1つ上のステップであげられると予想しています:
余談1:Roo Codeとの比較
Custom Modeの作成は自体はRoo Codeでも出来ることに加え、上記のようなワークフロー及びモードの自動切替を自然言語で定義できます。しかも、つい先日Roo Codeの中にClaude Codeが統合されたことも踏まえるとどちらを選ぶかは難しい選択だなと思いますが、個人的には
- ワークフロー作成まで考えるとRoo Codeの学習コストが若干高い
- 作業のキリの良いところで人間がチェックしたいのでモードの切替は手動で良いかも
という観点からRoo Codeを使う優先度は少し下がったかなと思います。
2. チーム共有のためのモード標準化
25/06/25時点では未実装ですが、プロジェクトに.cursor/modes.json
ファイルを追加して、カスタムモードの作成と共有を容易にすることを検討中とのことです(Cursor公式より)。
"We're considering adding a .cursor/modes.json file to your project to make it easier to create and share custom modes."
これが実装されれば、チーム内で統一されたCustom Modeの共有が可能になり、以下のようなメリットが期待できると考えます:
- 一貫性の確保: チーム全体で同じモードを使用することで、コーディングスタイルを統一
- オンボーディングの簡素化: 新しいメンバーがプロジェクト固有のモードをすぐに利用可能
- バージョン管理: Gitでモード設定を管理し、変更履歴を追跡
- プロジェクト固有の最適化: 各プロジェクトの特性に合わせたモードの定義
ベストプラクティス
一旦は公式やコミュニティから紹介されているものをそのままコピーしたら良いと思いますが、万が一ゼロからカスタムしたい方は以下のことに留意してみてください:
1. シンプルに始める
最初は少ないツールと簡潔な指示から始めて、徐々に洗練させていきましょう。
2. 明確な目的を持つ
各モードには明確な目的を設定し、それに特化した設定にすることが重要です。
3. 定期的な見直し
使用していく中で気づいた改善点を反映し、モードを進化させていきましょう。
まとめ
Custom Modeは、Cursorを自分専用の最強開発環境に変える鍵となる機能かもしれません。日々の開発タスクに合わせてモードを作成・調整することで、AIアシスタントがより的確なサポートを提供してくれるようになってくれるといいなと思います。
ぜひ本記事で紹介した例を参考に、1つモードを作ってみることから始めてみてください。使っていくうちに、自分の開発スタイルに最適なモードが見つかるはずです。
余談2:Claude Codeとの使い分け
流行りのClaude Codeも auto-accept
と plan
という2モード切り替えが可能ですが、かなり大胆なモードでもあるので個人的にはAIに完全自走させたいときにより最適かなと改めて思いました。正直なところCursorはここ最近出番少なくなっていましたが、今回のβ版機能によりCursorを人間とAIが伴走していきながら開発していくためのプロダクトとして改めて位置づけ、更に活用していけたらと思っています。
参考リンク
Custom Modeを活用して、開発体験をぜひ向上させていってください!🚀
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