Macキーボードの記号を覚えられないので由来から根本的に理解する
Mac キーボードの記号が覚えられない!
Apple は視覚的に優れたデザインを提供しているため、ある程度直観的に操作できることが多いです。
ただ、Mac ユーザーのみなさんであればご理解いただけると思いますが、キーボードショートカットの表を見た時など、 ^ や ⌥ のような記号だけが書かれていて名前がない場合、「あれ、これって Shift だっけ? Ctrl だっけ?」と悩むことがありますよね。
スタイリッシュな記号ではあるんだけど、記号単体で見た時に悩む自分がいます。
これらの特殊なキーを 修飾キー と言います(Caps Lockはロックキーという分類ですが)。
キーの名前 | 記号 |
---|---|
Command | ⌘ |
Option | ⌥ |
Control | ^ |
Shift | ⇧ |
Caps Lock | ⇪ |
ふむふむ。。。
僕自身、 Command はなんとなく覚えていて間違えないですが、 Option, Shift, Control あたりはゴチャゴチャになってしまっています。
これどうにかならないかと思い、 Macキーボード記号の由来を調べる ことで、根本的に理解することにしました。
Macのキーボード記号の由来について
Macのキーボードには、他のキーボードとは異なる記号があります。それらが何を意味し、なぜそのようなデザインになったのかを探りましょう。
長いのでさきにまとめ
キーの名前 | 記号 | 由来を一言で |
---|---|---|
Command | ⌘ | スウェーデンの道路標識 |
Option | ⌥ | 回路のスイッチング |
Control | ^ | 制御(キャレット文字) |
Shift | ⇧ | タイプライターを物理的に「シフト」する |
Caps Lock | ⇪ | 常にタイプライターを物理的に「シフト」した状態 |
Command キー ⌘
スウェーデンの道路標識
Command キーは、Appleのキーボードでよく見かけるキーであり、多くのショートカットで使用されます。この記号は、スウェーデンなどスカンジナビア諸国のの道路標識から採用されたもので、 観光名所 を表すものだったようです。
城とか要塞をイメージしているのが通説とのことですが、確実な起源と言えるほどのものではないらしいです。
そもそも、この記号自体は西暦500年ごろから絵石などに描かれているとのことで、歴史が深いです。
この記号が実際にMacintoshに採用された経緯としては、どちらかいうと偶然目に留まって採用された、という感じのものなので、そういうものと受け止めましょう。
他の記号はもうちょっと由来がわかりやすいです。
参考HP:
- THE MEANING AND ORIGIN OF THE APPLE COMMAND KEY SYMBOL (⌘)
- Command_key(en.wikipedia.org)
- Looped square(en.wikipedia.org)
Option キー ⌥
回路のスイッチング
Option キーは、一部の特殊文字や、キーの2番目の機能を使用するためのキーです。
Option,Alt,⌥ 全部同じ (引用元)
Option キー ⌥ については、「明確にこれ!」という由来は定まってないようですが、 分岐 を表しているという説が有力のようです。
スイッチングによって別の回路に切り替わる回路を思い浮かべると覚えやすそうですね。
Alt, Option, ⌥ などと色々表現はありますが、結局のところ全部同じ意味です。
- Alt = Alternative = 代わりのもの
- Option = オプション(選択肢)
- ⌥
全部結局同じ意味で、Optionキーを押しながらあるキーを押すとそのキーの機能を「別のものに置き換える」ことができるわけです。
参考HP:
- Option_key(en.wikipedia.org)
- https://www.quora.com/What-is-the-origin-of-the-Macs-option-key-symbol-⌥
- https://discussions.apple.com/thread/1864469
- 'alt vs option': Is the 'option' key still used somewhere? Where exactly (geographically)?
Control キー ^
制御(キャレット文字)
Control キーは、多くのシステムコマンドで使用されるキーです。この記号は、"caret" という記号で、上向きの矢印を表します。これは 「制御」 することを象徴しています、が、特別深い意味はなさそうです。
Control キーを押した状態でアルファベットを押下すると、 ASCII制御文字を入力できます。
ASCIIキャレット記号(制御文字)一覧
キャレット表記は、キャレット(^)とそれに続く一文字で構成され、ASCIIにおける制御文字の表記です。[1]
「Ctrl+C」などはみなさんがプログラムを途中で終了する時に使うコマンドですが、 ^C = End of Text
を表し、メッセージ本文の終わりを区切るためのものです。それが転じて、プログラムを終了させる「ブレーク文字」として使われています。
制御文字は大体アルファベットに対応しているので眺めてみましょう。
制御文字 | ASCII | キャレット記号 | 説明 |
---|---|---|---|
NUL | 0 | ^@ | Null 文字 |
SOH | 1 | ^A | ヘッダ開始 |
STX | 2 | ^B | テキスト開始 |
ETX | 3 | ^C | テキスト終了 |
EOT | 4 | ^D | 伝送終了 |
ENQ | 5 | ^E | 照会 |
ACK | 6 | ^F | 受信確認 |
BEL | 7 | ^G | ベル(通知音) |
BS | 8 | ^H | バックスペース |
HT | 9 | ^I | 水平タブ |
LF | 10 | ^J | 改行 |
VT | 11 | ^K | 垂直タブ |
FF | 12 | ^L | フォームフィード(改頁) |
CR | 13 | ^M | キャリッジリターン(行頭復帰) |
SO | 14 | ^N | シフトアウト / X-On |
SI | 15 | ^O | シフトイン / X-Off |
DLE | 16 | ^P | データリンクエスケープ |
DC1 | 17 | ^Q | デバイス制御1 (通常 XON) |
DC2 | 18 | ^R | デバイス制御2 |
DC3 | 19 | ^S | デバイス制御3 (通常 XOFF) |
DC4 | 20 | ^T | デバイス制御4 |
NAK | 21 | ^U | 否定応答 |
SYN | 22 | ^V | 同期アイドル |
ETB | 23 | ^W | 伝送ブロック終了 |
CAN | 24 | ^X | キャンセル |
EM | 25 | ^Y | メディア終了 |
SUB | 26 | ^Z | 置換 |
ESC | 27 | ^[ | エスケープ |
FS | 28 | ^\ | ファイルセパレータ |
GS | 29 | ^] | グループセパレータ |
RS | 30 | ^^ | レコードセパレータ |
US | 31 | ^_ | ユニットセパレータ |
DEL | 127 | ^? | 削除 |
Mac で Backspace キーを使わず Ctrl+H で文字が消せますが、Ctrlを押下している時、キャレット(^)を入力した気持ちになるのが良さそうです。
EmacsやUnix系キーバインドは制御文字と似た挙動をしていて美しいですね(ちなみに私は vim 派です)。
Mac のキーボードショートカット(Apple) で制御文字との対応を見てみるのも面白そうです。
Ctrl(^)を押す時は、「これから制御するぞ〜」という気持ちを持ちましょう。
Shift キー ⇧
タイプライターを物理的に「シフト」する
Shift キーは、大文字や他の特殊文字を入力するためのキーです。この記号は、上向きの矢印で、キーの機能を「シフト」することを象徴しています。
由来を遡ると、1878年にタイプライターに導入されたシフトキー[2]が元になっているようです。
タイプライター初期(大文字と小文字が別のタイプバーとして作られています)
当時は、ある文字をタイプするとき、一つのタイプバーに対し一つの文字しか入力する仕組みがなく、入力できる文字の種類の数に制限がありました。より多くの文字(大文字小文字など)を入力するためにタイプバーの数そのものが増えてしまい、内部のメカニズムが複雑になってしまっていたようです。
この複雑さを解消するため、 E. Remington and Sons が導入したのが、シフトキーでした。タイプライターの機能として、シフトキーを押すことで活字装置全体が(方向はわかりませんが)動き、インクリボンに対するタイプバーの位置が物理的に移動(shift)しました。これにより、同じキーでも、シフトキーを押した状態であれば、大文字と小文字を打ち分けられるようになりました。
これは タイプライター初期の革新の一つ であり、タイプバーの数が半分であってもシフトキーを使うことで同じ文字数を表現することができるようになりました。
このRemington and Sons とシフトの原理に敬意を表すと、シフトキーを押すとキーボード全体が「ガコッ」とシフトして、キー入力がガラッと切り替わるイメージ がそれっぽいです。
ただ、現実問題としては、そんな原理を忘れて、 小文字(lower-case)を大文字(upper-case)にするから上向き矢印と理解すると覚えやすいです(元も子もない)。
参考HP:
Shift_key(en.wikipedia.org)
Caps Lock キー ⇪
常にタイプライターを物理的に「シフト」した状態
Caps Lock キーは、すべての文字を大文字で入力するためのキーです。正確には、修飾キーという分類ではなくロックキーという分類のようです。
このキーはトグルキー(二回押すと元の状態に戻る)です。
普通はアルファベットを入力すると、小文字で入力されますが、 Caps Lock でロックすると、シフトを押さなくても大文字になります。
明らかにマークの見た目(⇪)は、シフトキー(⇧)に似ています。
実は、 Caps Lock キーは、 タイプライター時代は、 Shift ロックキー でした。
前述のタイプライターのシフトキーの仕組みを読んでもらうとわかりますが、 シフトキーを押すと、タイプライターの一部が 物理的にシフトしているので、 操作に大きな力が必要 でした。
「2〜3回シフトキー押すとあかん、疲れるわ」ということで、Shiftロックキーが導入されました。
ただし、現代において、 Caps Lock キーは、
知らん間に押してしまい、アルファベットが大文字入力になってる原因
として結構嫌われてしまっているので、そもそも廃止しようとする動きもあるようです。
参考: Caps_Lock(en.wikipedia.org)
まとめ
さて、Mac の修飾キーと一部のロックキーについて記号の由来について紹介しました。
キーの名前 | 記号 | 由来を一言で |
---|---|---|
Command | ⌘ | スウェーデンの道路標識 |
Option | ⌥ | 回路のスイッチング |
Control | ^ | 制御(キャレット文字) |
Shift | ⇧ | タイプライターを物理的に「シフト」する |
Caps Lock | ⇪ | 常にタイプライターを物理的に「シフト」した状態 |
全部細かく理解できているわけではないですが、一定程度筋が通った覚えやすい由来を知ることができたので、これから(多分)忘れないでしょう。
Macのキーボードは、それぞれのキーの機能を視覚的に表現することで、ユーザーがより直感的に操作できるようにデザインされています。
これらの記号の由来を知ることで、より身近に感じることができますね!
ざわきん/zawakin (@zawawahoge) でツイッターやってます。
こんな感じの記事をちまちま書いていこうかなと思っています。
面白かったらいいね・シェアしてもらえると嬉しいです!
Discussion
要塞は小隊へ命令を出すところ。だから、命令(Command)に相当する記号を要塞記号とした。
ってところかな。
苦手なキー記号はOptionキーなのだなぁ。⌥文字を見てOptionだと直感出来ない。