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Vue Fes Japan 2025 参加レポート!

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はじめに

先日、VueFesJapan2025に参加してきました。
zaicoのwebフロントエンドは主にVueを利用していることもあり、とても楽しみにしていたイベントでした。
その名の通り “Fes” のようなお祭り感にあふれていて、とても刺激的で楽しかったです。

本レポートでは、特に印象に残った発表を中心に振り返っていきます。

Vue Fes Japanとは

2018年から開催されている日本最大級のVue.jsカンファレンスです。
Vue.js作者のEvan Youさんはじめ、多くの著名開発者が登壇し、Vue.js周辺の最新情報や実施ノウハウなどを共有します。
内容はVue.jsにとどまらず、Viteを始めとしたJavaScriptエコシステムや、フロントエンドの未来についてなど幅広いトピックを扱うイベントでした。
海外の参加者も多く、すべての発表に 日英両方への同時字幕翻訳が付いていたのが印象的でした。

オープニング

https://www.youtube.com/watch?v=EEtb0-fdMaE
かっこいい!

印象に残ったセッション

VueはAIに弱い?そんなの都市伝説です

発表の入り口はVueとAIにまつわるお話でしたが、メインはフレームワークを超えたフロントエンドのAI活用についての発表でした。
UI/ロジックの実装からPRレビューに至るまで全体の約60%をAIが実装しているとのことで、
それを実現するノウハウが具体的に紹介されていました。

  • UI 実装
    • コンポーネントを細かく分割して生成する
  • ロジック実装
    • 暗黙ルールは禁止。責務ごとに明確なレイヤー分割を提示する
  • PR レビュー
    • 曖昧な依頼はNG。Diff から依存グラフを算出し、影響範囲を提示した状態でレビュー依頼

UI 実装は小さく分割するほど精度が上がるという話には、深くうなずきました。
また、Figma MCP だけでなく自社のデザインシステム MCP も繋いで、デザイン再現性の高いコンポーネント実装を AI に任せられるよう基盤を整えているという話が印象的でした。こうした地道な基盤づくりこそが効率性を生む強みとなっており、「AI が働きやすい環境(ドキュメントやシステム)を人間が継続的にアップデートし続けること」が、これからの開発に求められる姿なのだと感じました。
AI時代の生産性向上は、こうした基盤への投資が支えているのだと改めて気付かされる発表でした。

生成AI時代のWebアプリケーションアクセシビリティ改善

https://yamanoku.net/vuefes-japan-2025/slide/#/1
AIを活用したアクセシビリティ改善に関する発表でした。

「AI はアクセシブルなコードを書けるのか?」という検証では、「アクセシビリティに関する指示をなにもしていないLLM」が一番アクセシビリティに配慮したコードを出力したそうです。過度に指示を与えることで逆効果となり、仕様と衝突しまうことがあるとのことでした。(面白い!)

その上で、よりアクセシビリティ品質を高めるための方法として紹介されていたのが FeedA11y というアプローチです。通常のコードを生成させて、その後にアクセシビリティ観点のレビューと修正を繰り返す、というフローが現時点で最も効果的だと説明されていました。
アクセシビリティツリーの観点での検証も重要で、playwrightMCP ならツリーが確認できるが、Chrome DevTools は対応していないという知見も紹介されていました。
さらに、ガードレールの整備も大事で

といった基盤を整えておくことで、より効果的にアクセシビリティ改善できるとのことでした。
個人的にアクセシビリティ改善に関する知見があまりなかったこともあり、とても学びとなる内容でした。
アクセシビリティはどうしても準備や運用コストから後回しにされがちな領域ですが、AI のサポートによって取り組みやすさが大きく変わる未来が見えた気がしました。
アクセシビリティは、より多くの人にサービスの価値を届けるための方法であり、AI との組み合わせはその推進力として強力な武器になりそうだと感じました。

Storybook駆動開発

Storybook を中心に据えたUI開発フローについての発表でした。
手戻り・認識ズレ・品質低下といった課題に対して、Storybookを先に実装するというアプローチをとっているとのことでした。
まず Story を作ることで UI の定義が明確になり、props ファーストでインターフェースが固まっていくため、コンポーネントの責務も自然と整理されていきます。
また、Story がそのままテストケースとして機能するため、実装漏れや認識の食い違いが自然と防がれ、開発完了の基準がはっきりした点が特に効果的だと話されていました。
実装前の段階で共通認識ができるため、「とりあえずUI完成」という状態がなくなったという話でした。
一方で、Story作成に開発時間の約 1/4 を割いており、実装前にストーリーを書く負荷が無視できないという課題も残っているとのことでした。
設計に時間をかけることは理想だと思いつつ、日々の開発事情を踏まえると、実現には相応の努力が必要になるというのも確かで、チーム内での知見整備や改善策も併せて紹介されており、推進する方々の意志とエネルギーを感じました。

フロントエンドの未来を語る

Vue.js、React、Svelteのコアメンバーのパネルディスカッションでした。
テーマは主に、AI を活用したフロントエンド開発の未来。
楽しみにしてたのですが、同時翻訳される字幕を全部は追いきれず、完全には理解できたとは言えず、自分の英語力の無さを呪いました…。

理解できた範囲で面白かったのは、次のようなポイントでした。

  • AI時代はアプリ数が増え続け、クオリティこそが価値になってくる
  • 「基礎理解」が開発者のより重要な差別化ポイント
  • 特定技術そのものよりも、「学び続けるスキル」が長期的に大切

特に「学び続けるスキル」が大切だという話は刺さりました。
元々フロントエンドはトレンドの移り変わりが速い世界ですが、AIの登場でさらにスピードが加速しそうで、だからこそ興味を持ち、学び続ける姿勢がスキルとして求められるのだと感じました。

おわりに

会場ではVueユーザーのみなさんがとても温かく、交流も含めてたくさん刺激をもらいました。
セッション以外も工夫が凝らされていて、スポンサーブースだけでなく縁日をモチーフにした輪投げなど楽しい企画もあって、まさに"フェス"でした。
Vue Fes Japan 2025の運営チームの皆さん、本当にありがとうございました!
また来年も参加したいと思います!

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