Googleやfreeeを見てきた私がフルリモートZAICOにかける思い
この記事は 2025 ZAICO アドベントカレンダー の10日目の記事です!
エモめです。
こんにちは、株式会社ZAICO で「Dev顧問」というちょっと聞き慣れない仕事をしている関口です。
皆さんは「顧問」と聞くと、たまに会社に顔を出して、高所から経営陣にアドバイスをする…そんなイメージを持たれるかもしれません。私も正直見た目や年齢的にはそんな感じですが、実際の仕事はもっと泥臭く、もっと現場に近いところにあります。
今回は、ZAICO のアドベントカレンダーの場をお借りして、この「Dev顧問」という謎めいた役割の実態と、私がそこで何を目指しているのかについてお話ししたいと思います。書いてみたらどうしてもエモくなってしまったので、いろいろ諦めてそのままの形でお届けします。
ちなみに文章書くのは好きなんですが最近どうもモチベーション迷子なもので、もし読んで面白かったら最後に♡押してもらえたら次に繋がってありがたいです。そういえばfreee辞めたとき退職エントリーも書いてないから仕事で書くのもう5年以上ぶりとかです。がんばります。
フルリモート組織の「隙間」を埋め、つなぐ役割
まず、ZAICO という会社について少し説明させてください。ZAICO は在庫管理アプリケーションを作っている会社で、メンバーは総勢70名ほど。そのうちエンジニアは20名ほど在籍しています。この会社の最大の特徴は「フルリモート」であること。コロナ禍でどうこうではなく、創業時から生粋のフルリモートスタートアップで、固定オフィスは今のところありません。北は北海道から南は沖縄まで、メンバーが全国各地に点在しています。
そんな環境下で、Dev顧問である私が何をしているか。 一言で言えば、「エンジニア組織の潤滑油であり、熱源探知機」 です。つまり火元に油持っていっちゃう、危ない人です。
具体的には全エンジニアと日々 1on1 をするのがメイン。
「面白いこと思いついた?」「今、何に悩んでいる?」「どんなチャレンジをしている?」「いまのモチベーションは?」「最近、誰とよく話している?」「会社の気になるところはある?」「元気がない人はいない?」
これらをヒアリングしながら、エンジニア一人ひとりのコンディションや思考を解像度高く把握するよう努めています。そして、孤立しがちなリモート環境で人と人をつなげたり、そこから見えてきた組織課題に対する次の施策を VPoE や CEO と壁打ちしながら意思決定の補助するのが私の役割です。
フルリモートの課題としてよく言われるのが「暗黙知の圧倒的な共有不足」ですが、これは長年やってきた ZAICO でも確実に課題としてあり、なぜやるのか、だれがどう思っているのか、全体的な空気感がどうなっているのかなど、回線越しの限られた時間だけだとそういった思いや熱量を感じ取る機会が圧倒的に不足してしまいます。
だからこそ、この役割には一定の意義があると思って取り組んでいるわけです。
ちなみにもう一つフルリモートで陥りがちな「困っても聞けない」という問題は、それこそ AI の進化によって大分解決されやすくなったと思っていて、エンジニアリングにせよデザインにせよ、応用からでも解像度高く習得しやすくなったのはいい時代だなと思っていたりはします。

エンジニアマネージャー集めて勉強会企画してみたりもします
Google と freee で見てきた「理想」と「葛藤」、そして「熱狂」
「Dev顧問というからには、さぞかし凄腕のエンジニアなのだろう」と思う方もいるかもしれません。
実は、私はエンジニアではありません。コードを書くことはできませんし、アーキテクチャの良し悪しを技術的な側面から断定することもできません。
私のバックグラウンドは、Google や freee で携わってきたUXデザインやコミュニケーション設計、組織開発です。そもそも私は社会に出る前から「人の体験設計」に興味があったようで、それに基づいた組織づくりこそが、私が人生折り返し地点でたどり着いた一つの専門分野だと思っています。
ではなぜエンジニア経験のない私が開発組織の顧問をやっているのか。 それは、「完全に人とZAICOにフォーカスしているからこそわかり合える世界観があり、純粋に理想だけを語り合える」 からです。
Google では、世界トップクラスのエンジニアたちが「いかに楽しみながら、ユーザーのために技術を使っているか」を目の当たりにしました。その後 freee では、組織が20名から500名へと急拡大する中で、新しい領域にも躊躇なく踏み込んでいき自分の壁をガンガン壊していく多くのエンジニアや、現場カルチャーが変様していく過程での、多くのメンバーの葛藤をつぶさに見てきました。
freee で学び、今も自ら大事にしている考え方のひとつに「理想ドリブン」があります。今ある手札でできることを考えるのではなく、理想は何かを起点として手札の使い方を徹底的に考えぬく、そこにハックがうまれ、思いも寄らない形で理想にたどり着く。
それが連鎖反応を起こし、いつしか熱狂になり、人生において強烈なインパクトをもたらす。そんな体験を、ZAICO のメンバーや他の多くのスタートアップに関わるエンジニアの皆さんにはしてもらいたいと、結構純粋に願っています。

freeeの象徴であるつばめの中でも絶滅危惧種の「クロハリオ」を
忘年会の動画のためだけにアフリカまで行って謎に撮影成功したりもする(筆者撮影)
技術組織の中にいながら、技術以外の視点で徹底的にひとりひとりと向き合う。それが「異物」ではなく「刺激」となり、組織を活性化させる。それが私の介在価値なのかもしれません。
組織づくりに「王道」はない
当たり前のことなんですが!
Google のやり方をそのまま持ってきても、freee の成功体験をそのまま当てはめても、今の ZAICO やあなたがいる組織では機能しないでしょう。
私が最も伝えたいことは、「試行錯誤を続けていき、それを全員が理解している状態を守り抜く」ということです。
「こうすればうまくいく」という教科書通りのメソッドは存在しません。重要なのは、「今そこにいるメンバー」と「現在のビジネスのモメンタム」をあわせてしっかりと分析し、そこから最適であろう形を常に模索し続けることです。それには、一人ひとりのメンバーとしっかりと向き合い、誰がどれくらいの熱量で仕事をしているか、何に悩みを抱えているか、挑戦し成長していけるか、をつぶさに捉える役割や仕組みが必要だと思います。
ZAICO には ZAICO の良さがあり、今のフェーズには今のフェーズの課題があります。フルリモートという環境だからこそできる連携もあれば、逆に希薄になりがちな部分もある。それらを直視し、既存の枠組みにとらわれず、今のメンバーにとって程よくテンションがかかり、かつパフォーマンスが出る形を泥臭く作り上げていく。それがDev顧問としての私の挑戦です。

今年のハッカソンは熱海で海が丸見えの最高の会場でした。こういうとき私の暇っぷりがすごい
最後に:すべてのエンジニアが「ここで働けてよかった」と思えるように
私の願いはシンプルです。
全エンジニアが幸せに働きながら、しっかりとベンチャー企業の成長とその製品の進化を支えることに「自己効力感」を感じられるチームを作ること。
自らを成長させ、プロダクトが進化し、ビジネスが成長していく。その中心に自分たちがいるという実感。 そして、いつか振り返ったときに 「いろいろ大変だったけどZAICOで働けてよかった」 と心から思ってもらえる組織にすること。
これからも、メンバー一人ひとりの声に耳を傾けながら、ZAICO という船が力強く進んでいけるよう、エンジニア組織の側面から全力を尽くしていきたいと思います。
次回の担当はtomotaka_1618さんです。ぜひお楽しみに。
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