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業務未経験から半年でKubestronaut達成(KCNA/KCSA/CKA/CKAD/CKS全冠)勉強法まとめ
2025/10/3にkubernetesの主要資格(KCNA, KCSA, CKA, CKAD, CKS)全冠のkubestronautを達成したので、学習の流れや所感を整理しました。
少しでも他の方に参考になれば幸いです。
概要
- kodekloudに登録して効率よく勉強することで、kubernetes業務未経験者が約半年で(勉強期間は4ヶ月弱)kubestronautを取れたので、その道のりを紹介する。
- kubestronautsを初めから目指すなら、CKA→CKS→その他の順番はおすすめ。
- 未経験からkubestronaut達成には、CKA合格で7合目、CKS合格で9合目の感覚。
- CKA,CKSはとても勉強になる資格だった。
- 試験料はとても高い。バンドル購入やセール活用で10万円レベルの節約が可能
受験前の知識レベル
- 仕事では全く触れておらず、プライベートで興味を持って2024年11月に初めてkubernetesに触れました。EKSやベアメタルサーバーで認証付きアプリケーションの自動デプロイができるクラスターなどを組んでいました(参考記事)。ただ、断片的な実装知識で基礎知識はほぼありませんでした。
- AWS SAP, GCP CPA(クラウドアーキテクトの資格), Lpic level-2(linuxの中級資格)などは取得していたので、親和性の高い基礎知識はあリました。
参考記事
勉強時間
以下の通りです。勉強時間はCKA以外はトラッキングしたので多分正確です。
CKSまで取ってしまえば、ほとんど勉強せず他の試験に合格できます。(ただし無勉は多分厳しいです。CKADの8時間はちょっとやりすぎた感ありで後述します。)
資格 | 学習開始日 | 結果 | 勉強時間 | 合格点 | 取得スコア |
---|---|---|---|---|---|
CKA | 3/18 | 5/19 不合格 6/13 合格 |
約80時間 (体感のためぶれあり) |
66% | 58%→69% |
CKS | 9/6 | 9/20 合格 | 32時間 | 67% | 77% |
CKAD | 9/21 | 9/29 合格 | 8時間 | 66% | 85% |
KCSA | 9/30 | 10/2 合格 | 2時間 | 75% | 88% |
KCNA | 9/30 | 10/3 合格 | 3時間 | 75% | 80% |
受験順の経緯
🟢 CKA
kubernetesに興味があったので最初に挑戦。後から振り返ると一番の難所でした。
🟡 CKS
CKAを合格し、これさえ合格すればkubestranoutを取れると考えて(他の上位互換に近い資格)挑戦。突破できれば後はウイニングランです。
🔵 CKAD, KCSA, KCNA
CKSを合格したらほぼ取れるとわかっていたので、kubestronautのために取得。無勉強は厳しいかもですが、それぞれ少し対策して合格しました。
合格までの道のり
🟢 CKA
- KodeKloud教材で1ヶ月強学習(動画視聴、Labハンズオン)
- KodeKloudのMockExamを解けるまで1ヶ月弱実施(試験演習)
- 試験付属のkiller.sh演習の1つを前々日に実施(再受験1回無料のため、1回不合格前提で1つは残しておいた)。解けなかった問題は解説を熟読。
- 受験。不合格。
- 不合格時に解けなかった部分(なんとなくで覚えておく)を強化。kodekloud教材再学習や生成AIとの質疑応答。
- もう1つのkiller.sh演習を実施。解けなかった問題は解説を熟読。
- 受験。合格。
🟡 CKS
- KodeKloud教材で学習(動画視聴、Labハンズオン)
- KodeKloudのMockExamを解けるまで1ヶ月弱実施(試験演習)
- 試験付属のkiller.sh演習を実施。解けなかった問題は解説を熟読。
- 受験。合格。
🔵 CKAD
- 生成AIでCKA, CKSを合格した上での勉強するべき差分を調査。だいたい以下だったので、当該部分をkodekloudの講座で勉強
- コンテナビルド手法(docker buildなど)
- API管理について(alpha, betaの意味など)
- Blud/Green、Canary deploy
- cron jobs, job
- KodeKloudのMockExamを4つくらい解く(この時点でだいたい受かると気づく。解けなかったのはCRD絡みとendpointslice絡みくらいだった。)
- 試験付属のkiller.sh演習を解く。だいたい解けた。
- 受験。合格
🔵 KCSA
- KodeKloudのMockExamを実施(試験演習)
- 正答率が悪かったcompliance and security frameworksの部分を復習(MIDRE ATT&CKやSTRIDE, HIPPAAなどのコンプライアンス)
- 以下の問題を何問か解いておく。https://github.com/thiago4go/kubernetes-security-kcsa-mock?tab=readme-ov-file
- 受験。合格
🔵 KCNA
- KodeKloudのMockExamを実施(試験演習)
- 正答率が悪かったCloudNative組織の部分をkodekloudのmock examを解いて復習
- 受験。合格
各試験所感
🟢 CKA
- CKSがダントツで難しいとの評判でしたが、個人的には「素人レベルからCKA」 >> 「CKAからCKS」でした。未経験からkubestronautsを目指すなら、ここを合格すると7合目くらいまで来ている気がします。
- 試験が実技式で、trouble shootingも出てくるので、暗記でなく原理の理解が重要です。そういった意味では本質的なことを多く学べました(後述)。
- 動画で知識体系を頭に入れて、Labハンズオンでそれを確認してずれてたら修正して(疑問は生成AIと壁打ち)、試験演習で試験に向けた手癖をつけるみたいな感じでした。
🟡 CKS
- CKAの知識を前提にしているkubernetes関連最難関の資格で、これを合格すれば後はほぼウイニングランです。
- CKA同様に実技式で、後述の通り学べることが多かったです。
- CKAと勉強方針は同じでした。AWS関連やLPIC取得で培った知識が役に立ったのか、比較的すんなり演習で合格ラインに辿り着きました。
🔵 CKAD, KCSA, KCNA
- CKADは念のため追加勉強しましたが、難易度は多分CKAより低く、CKS取った人ならすぐ受験しても取れそうです。試験中トラブルに見舞われてコピペが使えなくなりましたが、それでもある程度余裕を持って合格できました。
- KCSAはコンプライアンスやSTRIDE関連の知識を補強する必要がありそうです。最初のMockExamでスコア67と合格点の75を下回ったので、その周りを補強して合格しました。日本語で受けられると思ってて結局英語だったのは焦った。。。
- KCNAはCKSを取得した前提でも、なんというかブレが大きい感じです。問題文も短く、選択肢も大体おかしなこと言っているものが多いので、「断定できないけど普通に考えたらこうだよな。。。」という感じで半分くらいの問題を回答しました。結果は結構すれすれだったのでひやっとしました。
学べたこと
🟢 CKA
- とにかく体系的にkubernetesクラスターの基本の仕組みを学べました。例えば主要コンポーネント(kube-apiserver, kube-controller-manager, etc...)などがどう連携しているかを勉強できたのは非常に面白かったです。
- Ingress, Serviceなども通じて、containerネットワークの知識も上がリます。
🟡 CKS
- さまざまなセキュリティに関するサードパーティツールの使い方や、kubernetesのsecurityContextの設定、ネットワークや権限の適切な設定方法を学べます。
- 脆弱性自体は今まで対応してきましたが、具体的なスキャン方法や原理を学べたのは良かったです。SBOMについての基礎勉強もできます。
- securityContext関係がわかりやすく学べました。どのようにpodそのものを設定するか、またclusterやnamespaceレベルでの設定はどのようなものがあるかも面白かったです。
- セキュリティを通じて、コンテナ技術への理解度が上がった気がします。例えばruntimeclassにおけるkataやgvisor指定などでカーネルの仮想化技術を学んだり(地味にeBPFとか面白そう)、コンテナとcluster自体がどこまでdefaultでマウントや権限共有されるのかなどを学べました。
🔵 CKAD, KCSA, KCNA
- おまけに近いですが、KCSAでコンプライアンスや業界スタンダード周りの基礎知識, KCNAでCNCFの活動について少し勉強できました。
利用教材
- kodekloudに登録しました。年間契約だと$180です。月額だと$35/月でだいぶ年間契約と差があります。PROなど上位グレードもありますが、資格勉強だけならSTANDARDで全く問題ないと思います。https://kodekloud.com/
- 高いですが資格試験自体が高いので、効率よく合格できるなら多少の出費もやむなしと考えました。
kubernetesの資格系は大体あるので、kubestronaut、Golden kubestronaut目指すとかの人はこれの年間契約はお勧めします。(ただし2025/10/3時点、KCA, OTCA, CAPAはコースが無いです) - 良いところは動画教材の質が高いことです。音声は英語しかないのですが、字幕で日本語出してくれるのと、動画が結構凝ってるのですんなり頭に入ってきました。
- 実際にkubernetesクラスターのターミナルに入った形で演習ができるようになっているのも良かったです。MockExamという実際の試験をイメージした試験演習も自分の現在地判定に助かりました。(これらも英語しかないので注意です。)
資格受験にあたっての購買戦略
- kubestronautsを絶対取るという強い意志があるなら、kubestronautの試験セットbundleを安い時に買うのが良いかもしれません。$1,645と超高額ですが、セールをやっていて、おそらく一番安いのは11月下旬のcyber mondayで50%くらい下がるようです。20~30%くらいのクーポンコードは結構な頻度で出るので、生成AIのエージェントモードやresearchモードなどでしっかり調べて買いましょう。
- 自分はCKAを定価(日本代理店みたいなところから購入) → CKAからkubestronautsのbundleをautumnセールの30%offで購入としました。が、後から振り返ると結構損してしまったなと思います。
- 自分が上手く設定使えなかった可能性もありますが、日本代理店を通す意味はほとんどなかったです。なんか日本語で色々できるのかな〜と思ってましたが、試験官は英語しか話せなかったですし、試験はどのみち日英両言語選べました(試験中に切り替え可能)。公式から買ったCKAD, CKSも同じでした。なおKCSA, KCNAは試験で言語切り替えができず、英語受験でした。
- 以下のようにいろんなパターンがありますが、$1,000近い差が購入戦略によって出るのは恐ろしいですよね。。。
💰 費用比較シミュレーション
購入方法 | 割引率 | 合計金額 | 備考 |
---|---|---|---|
すべての試験を個別で購入 | 0% | $1,865 | 一番高い |
自分の購入パターン(後から公開) | 定価、約30%OFF | $1,319.5 | CKA単独購入 + autumnセールでbundle |
バンドル購入 (30%OFF想定) | 30%OFF | $1,151 | 割引セール時によくある水準 |
バンドル購入 (Cyber Monday、予想) | 50%OFF? | $822.5? | 多分これくらいになる最安パターン? |
受験にあたってのTips
⚠️ 本番環境は快適じゃないので注意
- 前述した通り、PSIセキュアブラウザという専用のブラウザを通じて、リモートデスクトップでハンズオン試験を受けるのですが、これらが本当にトラブルの元です。
- CKAの時に何回もチェックイン時点で落ちて受験時間をだいぶ過ぎての入室になりました。(それでも受験できたのは良かった。。。)
- 試験中の動作はとても重いです。CKS, CKADの時はそこまででしたが、CKAの時はスクロールも打鍵も2,3秒くらいのラグがある体感でドキュメントもまともに読めませんでした。練習通りのパフォーマンスは出せないと思った方が良いです。
- リモートデスクトップ環境はショートカットコマンドが普通と違います(shift+ctrl+cでコピー、shift+ctrl+vでペースト)。killer.shの環境はこれと同じなので、一度やっておいて慣れておくのを強く推奨します。
✅ 大きめモニター推奨
- 上記の通りレスポンスが悪いので、ドキュメントとターミナルは2窓できないと行き来にかなり時間をロスします。ノートPCの画面だとキツく感じました。実際、CKAの最初の不合格はノートPCで受けていて、この影響も大きいかもです。
- モニターは1枚しか使えませんが、外部モニター自体は問題ないので大きめモニター推奨です。ただし、リモートデスクトップの画面自体に大きさ制限があるようで、34インチのウルトラワイドモニターだと、画面を使い切るまでは拡張できませんでした。
🏠 自宅受験が十分可能
- 環境を整えるのに苦労している記事を多くみましたが、普通に自室で受験できました。本棚とかベッドとかそのままでも大丈夫だったので、机の周りさえしっかりと試験に不要なものを排除すれば大丈夫そうです。
🎫 1回の再受験無料のため、1度の不合格を計画に組み込んでも良い
- 5つとも1回は無料で再受験可能ですし、chatGPTに調べさせたら2回目で受かる人が結構多いということなので、1回目を模試感覚で受けてもよいかもしれません。自分はCKAの時はそうしました。CKSの時もそのつもりだったのですが、案外試験日までに十分な勉強ができました。
⌨️ 役に立ったコマンド
-
kubectl xx --help | grep kubectl
は限られたスペースでわかりやすくコマンド例を表示できるので重宝しました。その他いろいろな記事でおすすめのコマンドが紹介されていますが、自分が使ったのはこれくらいでした。
振り返りと今後の予定
- kubernetesは当然ながら時間をかけて素晴らしいエンジニアたちが作ってきた洗練されたプラットフォームなので、なるほどな〜の連続で飽きが来ずに勉強できました。
- 素人から始めるには、CKAは非常に良い資格勉強でした。というかKodeKloudの教材が良いかもしれません。kubernetesがなぜ動くのかをちょうど良い抽象度、基礎レベルで学ぶことができました。
- 今後Goldenを目指すか悩み中です。。。Istio, ArgoCD, Prometheusは興味あるんですが、それらを除いてさらに7つ必要とのことなので。。。ちょっと対象が多い+受験料が高いのでビジネスの匂いがして二の足踏んでいますが、cyber mondayあたりまでゆるゆる勉強してみて、行けそうならbundle買って挑戦してみようと思います。
5つの受験をまとめきれずに長文になってしまいました。。。
最後までお読みいただいた方々、ありがとうございます。
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