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インフラエンジニアの教科書を読んで感じた自分の足りないところ

2021/01/11に公開

概要

一言でまとめると、読書感想文です。
昨年からOBトークやMatcherといったOB訪問アプリに登録して、IT業界に興味ある学生さんに私の知っている範囲でのIT業界のことやITエンジニアの仕事内容についてお話しています。
学生さんの中にはインターンや独学でプログラミングを学習されているかたが多く、開発について知っている人は多かったのですが、インフラ側を知っている人はあまりいませんでした。なので、インフラ業務に従事している私の仕事内容を話すのですが、はじめてインフラというものを知ったかたも多く、説明に苦労しました。
なるべくわかりやすく説明するように心掛けていますが、そもそも私自身インフラエンジニアのことについて体系だって学んだわけでなく自身の体験ベースでしか話せていないことに気が付きました。
しっかりとインフラエンジニアのことについて知ろうと思い、インフラエンジニアの教科書を読んで改めてインフラエンジニアの事について調べてみました。
https://www.c-r.com/book/detail/935

読んでいく中で私自身が知らなかったことや経験していないこと、スキルとしてまだまだ足りていないことがわかりましたので、こうして文字に起こして読んだ感想としてまとめようと思います。

インフラエンジニアの教科書とは?

LINEの創業メンバーである佐野裕氏が自分の部署に新しく配属された新入社員に読んでほしいという観点で纏めた本で第二巻まで発売されています。(2はこちら↓)
https://www.c-r.com/book/detail/1079
インフラエンジニアの仕事内容から、サーバー、ネットワークなどインフラ用語の解説、自身がLINE創業時から在籍していたことから急成長期のインフラ対応の経験談などインフラ初学者向けに書かれた内容です。
私自身は前職のころから基本的にインフラ関係の仕事しかしていませんでしたが、ちゃんと体系だってインフラの業務を経験してきたとは言い難く、知らないことも多くあったので読んでいて勉強になることも多々ありました。
全11章から構成される本書ですが、読んでいて自分がまだ経験していない、知らなかったことを中心にまとめていきたいと思います。

インフラエンジニアの仕事について

最初のチャプターではインフラエンジニアの仕事として大まかに3つの内容について紹介しています。

  • インフラ設計
  • インフラ構築
  • インフラ運用

前職でインフラ基盤の運用を経験してきましたが、インフラの設計と構築は現職で一部の機能部分に関して任せてもらったこともあり一応一通り経験できたことになります。
とは言えインフラ設計に関しましてはある程度ツールが選択肢が用意されていて、すでに工程として実施することが決まっていたので自身の手で目的や予算見積もり書などを作成してきたわけではないので自分としてはまだまだなところがあると感じています。

ITインフラ機器やデータセンターなどの選定

現職ではAWS上でプロダクトが動いており、AWS上のインフラ基盤の構築やサービス運用を行なっておりますが、かつてのインフラエンジニアはITインフラ機器の選定や導入を決めるのもインフラ設計のお仕事の1つでした。
基本的に機器はお店で買うのではなく、直接ベンダーから申し込んで購入するのですが、ITインフラ機器は高額で一度購入すると5~10年はその機器を使い続けることになるので、慎重に選定する必要があります。
選定するうえでのポイントとしては以下のことが大事と記載されていました。

  • 導入目的
  • 機器コスト
  • サポート対応の有無
  • ベンダーの信頼性

またコラムとして成長期の売買についての注釈があり、それによると成長期の企業ではコストよりも拡大するサービスのスピードを止めないことを優先することが大事だということが書かれており、そうした場合は多少コストが高くついたとしてももっとも早く機器を調達できるベンダーを優先したほうが良いそうです。
この辺はパブリッククラウドでも一時的なアクセス増加対応のため暫定的にサーバースペックを上げたり、台数を増やすことに通じる部分もあるように感じました。

データセンターは新卒のころに何回か行なったことがありました。機密情報を扱うデータを取り扱うための施設ですが、機密データなだけにどのデータセンターも入退場のセキュリティが厳しく、最小限の持ち込みしかできないように入口で荷物検査が行なわれたり入退場の時間を細かく記録されたりしました。
データセンターについて調べてみると、空調方式にも種類があり床下から冷気を発しフロア全体も冷やすものもあれば、サーバーの廃熱場所を決めて冷気で冷やす空間と廃熱が充満している空間を明確に分けてエネルギー効率を高めるためのものなどがありました。
データセンターを選ぶポイントですが、事業者のホームページ上からでは詳細な情報を得ることは難しく、知り合いや付き合いのあるベンダーからの紹介で情報を得ていくようです。とは言え、そういった付き合いのない場合は自力で選定するしかありませんが、その時のポイントとなるものをいくつか紹介されていました。

例示

  • サーバ設置台数
  • 防災レベル
  • 産廃処理
  • 費用
  • オペレーション対応

会社によってはデータセンターを使わず、自社内にサーバールームを用意して運用することについても紹介しています。
こちらも前職でお客さま先情報システムのサーバールームにお邪魔したことがあり、同じようにセキュリティが厳しくて何回も入るのが煩わしかった記憶があります。
今後自社でサーバールームを作るような機会が私に起こるかはわかりませんが、サーバールームを作るうえでのポイントは大事なのでまとめておこうと思います。

自社内のサーバールームポイント

  • フロア面積
  • 災害対策(地震、停電など)
  • セキュリティ対策
  • 電力容量

インフラ運用について

インフラの設計や構築などがある中でインフラ運用はわざわざ独立した章を用意して細かく説明されています。システム開発は保守運用がもっともコストがかかると聞いたことがあり、運用が大事だということを主張するために一個、章を用意して説明しているように思えます。
筆者の説明にもあるとおり、ITインフラ機器は使い続けていけば劣化などで故障し壊れるものです。
インフラ稼働している中で機器が故障したとしてもサービス停止することなく、障害対応する必要が出てくるようなケースがあります。
インフラエンジニアとしてサービスを止めることなく、障害対応ができるような冗長化されたインフラの構築、障害を素早く検知するための監視ソリューションの導入が大事とありましたので、ただ作るのではなく作った後のことも考慮して設計できるように学び続けたいと思います。(ちょうど先日オライリーで監視入門の本を読みましたが、あちらもモダンなモニタリングのデザインパターンが紹介されていましたので、興味あるかたはぜひご覧ください)

インフラエンジニアの成長

最後の章としてインフラエンジニアが身に着けるべきこと、小規模インフラと大規模インフラの違い、インフラエンジニアの育成についてまとめてありました。
今後もインフラ方面を伸ばしていくうえで大事だと思いましたので、私が感じたことを述べていきます。

ドキュメントを読み込む力をつける

インフラエンジニアにとってドキュメントを読み込む力があることは重要な資質です。

最初の一文に記載されたこの言葉ですが、私自身も強く賛成する内容だと感じました。
ドキュメントはそのベンダー独自の言い回しや専門用語も多く、読み解くのに苦労します。
OSSでもリファレンスを読み込んで調べることは結構あるのですが、ドキュメントやリファレンスは英語で書かれていることも多く、理解するのに普段よりもかなり気を遣います。
といっても最近でしたらDeepL翻訳などのおかげでだいぶ助かっているところもあります。
それでもバージョンが古いとそもそもドキュメントとの整合性が合わなかったりバグが含まれていたりすることもありますのでそこも含めてちゃんと読み込めるように理解力を上げていこうと思います。

所感

6年ちょっとエンジニアとしてやっていますが、6年やっている割にはしっかりとした技術が身についているか不安な点も多く、インフラエンジニアも経験したことしか知らないこともありましたので、このように書籍で体系だって学ぶことは私自身の知識の整理にも役立てましたし、今後ITエンジニアを志望する学生さんたちへの説明にも説得力が増すかなと考えています。
第2巻も早く読んで知識のインプットを行なっていきたいです。

LT資料

この記事を基にしたLTを行ないましたので資料を置いておきます。

参考文献

インフラエンジニアの教科書(C&R研究所出版)
 著:佐野裕
https://www.c-r.com/book/detail/935

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