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音響学入門:指向感度特性

2025/02/07に公開

スピーカーの指向性感度特性を徹底解説

スピーカーの指向性は、再生音がどの方向に強く放射されるかを示す重要な特性です。本記事では、指向性感度特性の基本概念、指向性の発生条件、さらにその評価方法である「累積2π指向周波数特性」について解説します。


指向性感度特性とは

定義

スピーカーの指向性感度特性とは、音波が特定の方向にどの程度強く放射されるかを示す特性です。これはスピーカーの再生周波数と振動板のサイズによって大きく影響を受けます。


振動板径と指向性の発生

ピストン振動域から分割振動域への移行

振動板がピストン振動域から分割振動域に移行する周波数では、指向性が顕著に現れます。この現象は次のような条件で発生します:

  1. 周波数の波長:

    • 再生する音波の波長λ\lambdaが振動板の径よりも短くなる場合に指向性が発生します。
  2. 指向性の発生条件:

    • この現象は、無次元量KaKa(指向性パラメータ)が 1 を超えた点から顕著になります。

指向性パラメータKaKa

指向性の発生を示す指向性パラメータKaKaは次式で表されます:

Ka=2πaλKa = 2\pi \frac{a}{\lambda}

  • Ka=1Ka = 1: 指向性が生じ始める境界点。
  • Ka>1Ka > 1: 振動板の径が波長に対して相対的に大きくなり、指向性が明確になる。


クロスオーバー周波数の設定

指向性劣化を考慮した設定

スピーカーシステムでは、振動板の特性を考慮してクロスオーバー周波数が設定されます。この設定は、指向性の劣化が顕著になり始めるKa=3Ka = 3を目安としています。

  • Ka=3Ka = 3: 振動板の特性が分割振動域に移行し始め、指向性の劣化が目立つポイント。
  • クロスオーバー周波数の設定は、スピーカー全体のバランスを保つために重要です。

指向周波数特性

指向周波数特性とは

スピーカーの指向周波数特性は、周波数レスポンスに指向性の影響を重ね合わせた特性です。この特性を測定することで、スピーカーが異なる方向でどのような音響特性を示すかを評価できます。

測定方法

  1. 角度を変えて測定:

    • スピーカー正面の基準軸を中心に、異なる角度(例: 0°, 30°, 60°, 90°など)で音圧レベルを測定します。
  2. 重ね書き表示:

    • 測定された各角度での周波数レスポンスを一つのグラフ上に重ね合わせます。
  3. 累積2π指向周波数特性:

    • スピーカーが半球(2πsr)の空間に放射する音圧レベルを総合的に評価したもの。
    • 指向性を定量的に評価するために重要な指標です。

まとめ

スピーカーの指向性は、再生周波数や振動板の特性によって大きく影響を受けます。以下のポイントを押さえておきましょう:

  1. 指向性の発生条件:

    • 指向性は、指向性パラメータKaKaが 1 を超えると発生し始めます。
    • Ka=3Ka = 3はクロスオーバー周波数設定の目安となります。
  2. 指向周波数特性:

    • 周波数レスポンスに指向性の影響を重ねた特性で、異なる角度での音圧レベルを評価します。
    • 「累積2π指向周波数特性」はスピーカーの総合的な指向性評価に用いられます。
  3. 設計への応用:

    • 振動板のサイズや形状、クロスオーバー周波数の設計は、指向性と音響特性を最適化する上で重要です。

Discussion

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