Zenn
🔈

音響学入門:吊り下げ形スピーカーシステムとバリインテンスホーン(VITホーン)

2025/03/19に公開

吊り下げ形スピーカーシステムとバリインテンスホーン(VITホーン)の構造

大型の音響設備では、スピーカーシステムを吊り下げる方式 が広く採用されています。特に、コンサートホールやスタジアム、劇場などの大規模な音響環境 では、適切なスピーカー配置と指向性のコントロールが不可欠です。

本記事では、吊り下げ形スピーカーシステムの設計と、バリインテンス(VIT)ホーンの仕組み、フライング形式、ホーンスピーカーの基本構造 について解説します。


1. 吊り下げ形スピーカーシステムとは?

(1) 吊り下げ方式の概要

吊り下げ形スピーカーシステムは、天井やトラス構造にスピーカーを吊るして設置する方式 です。

  • 大型スピーカーの床置きによる視覚的な障害を回避できる。
  • 広いエリアに均一な音圧を提供しやすい。
  • 反射音のコントロールがしやすく、明瞭度の向上が期待できる。

特に、屋外PAシステムや劇場・ホール音響 では、スピーカーの指向性と拡散パターンを適切に調整するために吊り下げ方式が利用されます。


2. バリインテンスホーン(VITホーン)とは?

(1) バリインテンスホーンの基本構造

バリインテンスホーン(Variable Intensity Technology, VITホーン)は、音の指向性を動的に調整可能な特殊なホーンスピーカー です。

  • 一般的なホーンスピーカーは固定指向性 であり、設置角度や音の拡散範囲を後から変更することが困難です。
  • VITホーンは音の放射パターンを変更可能な機構を持つため、会場の音響条件に応じて最適な音響拡散を実現できます。

(2) VITホーンのメリット

  1. 音の拡散角度を可変にできる

    • 会場の形状やリスナーの配置に応じて、音の広がりを調整可能。
  2. 遠距離と近距離の音圧レベルを最適化

    • 遠くのリスナーには音圧を集中 し、近くのリスナーには適度に分散 することで均一な音場を実現。
  3. ラインアレイシステムと併用可能

    • 他のホーン型スピーカーと組み合わせて、より効果的な音響システムを構築できる。

3. フライング形式のスピーカー設置

(1) フライング形式とは?

フライング(Flying) とは、スピーカーシステムを専用のリギング機構で吊り下げる方式 です。

  • 一般的に、ラインアレイ型のスピーカーシステム で採用される。
  • スピーカーの指向性と拡散角を最適に配置 し、音圧の均一性を確保する。

(2) フライング方式の利点

  1. リスナーエリア全体に均一な音を届ける

    • 地面から一定の高さに設置することで、音の拡散範囲を最適化。
  2. 床反射による音質の劣化を防ぐ

    • 地面に置いたスピーカーは、床反射によって低音が過剰になることがあるが、フライング形式ではその影響を低減 できる。
  3. 視覚的・スペース的なメリット

    • ステージ上の視認性を向上させ、観客の視界を確保 できる。

4. スピーカーシステムの概略構造

(1) フロントローディングホーンシステム

  • ホーンスピーカーの一種で、ドライバーユニットをホーンの後部に配置し、前方に音を放射する構造
  • エネルギーの効率を向上 し、音の指向性を制御しやすい。

(2) コーナー型ホーンスピーカー

  • スピーカーのホーン開口部付近に高音を拡散する局面(カーブ)を設けた構造
  • 高音域のエネルギーを強調する設計 で、特定の方向へ効率的に音を伝達可能。

(3) ホーンドライバーの活用

  • ホーンドライバー を組み合わせることで、特定の帯域(特に高音域)を増強できる。
  • PAシステムや映画館などの大規模音響環境 でよく利用される。

5. まとめ

本記事では、吊り下げ形スピーカーシステムの設計、バリインテンスホーン(VITホーン)の特性、フライング方式の利点、ホーンスピーカーの基本構造 について解説しました。

重要なポイント

  1. 吊り下げ形スピーカー

    • 大型の音響システムで利用され、広範囲に均一な音圧を提供可能。
  2. バリインテンスホーン(VITホーン)

    • 可変指向性を持つ特殊なホーンスピーカー で、音の拡散範囲を動的に変更できる。
  3. フライング形式

    • スピーカーをリギングして吊り下げる方式 で、音響特性を最適化。
  4. ホーンスピーカーの構造

    • フロントローディングホーンやコーナー型ホーン を利用して、効率的に音を拡散。

これらの技術を適切に活用することで、スピーカーシステムの音響性能を向上させ、最適な音場を実現することが可能 となります。

Discussion

ログインするとコメントできます