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音響学入門:吊り下げ形スピーカーシステムとバリインテンスホーン(VITホーン)
吊り下げ形スピーカーシステムとバリインテンスホーン(VITホーン)の構造
大型の音響設備では、スピーカーシステムを吊り下げる方式 が広く採用されています。特に、コンサートホールやスタジアム、劇場などの大規模な音響環境 では、適切なスピーカー配置と指向性のコントロールが不可欠です。
本記事では、吊り下げ形スピーカーシステムの設計と、バリインテンス(VIT)ホーンの仕組み、フライング形式、ホーンスピーカーの基本構造 について解説します。
1. 吊り下げ形スピーカーシステムとは?
(1) 吊り下げ方式の概要
吊り下げ形スピーカーシステムは、天井やトラス構造にスピーカーを吊るして設置する方式 です。
- 大型スピーカーの床置きによる視覚的な障害を回避できる。
- 広いエリアに均一な音圧を提供しやすい。
- 反射音のコントロールがしやすく、明瞭度の向上が期待できる。
特に、屋外PAシステムや劇場・ホール音響 では、スピーカーの指向性と拡散パターンを適切に調整するために吊り下げ方式が利用されます。
2. バリインテンスホーン(VITホーン)とは?
(1) バリインテンスホーンの基本構造
バリインテンスホーン(Variable Intensity Technology, VITホーン)は、音の指向性を動的に調整可能な特殊なホーンスピーカー です。
- 一般的なホーンスピーカーは固定指向性 であり、設置角度や音の拡散範囲を後から変更することが困難です。
- VITホーンは音の放射パターンを変更可能な機構を持つため、会場の音響条件に応じて最適な音響拡散を実現できます。
(2) VITホーンのメリット
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音の拡散角度を可変にできる
- 会場の形状やリスナーの配置に応じて、音の広がりを調整可能。
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遠距離と近距離の音圧レベルを最適化
- 遠くのリスナーには音圧を集中 し、近くのリスナーには適度に分散 することで均一な音場を実現。
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ラインアレイシステムと併用可能
- 他のホーン型スピーカーと組み合わせて、より効果的な音響システムを構築できる。
3. フライング形式のスピーカー設置
(1) フライング形式とは?
フライング(Flying) とは、スピーカーシステムを専用のリギング機構で吊り下げる方式 です。
- 一般的に、ラインアレイ型のスピーカーシステム で採用される。
- スピーカーの指向性と拡散角を最適に配置 し、音圧の均一性を確保する。
(2) フライング方式の利点
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リスナーエリア全体に均一な音を届ける
- 地面から一定の高さに設置することで、音の拡散範囲を最適化。
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床反射による音質の劣化を防ぐ
- 地面に置いたスピーカーは、床反射によって低音が過剰になることがあるが、フライング形式ではその影響を低減 できる。
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視覚的・スペース的なメリット
- ステージ上の視認性を向上させ、観客の視界を確保 できる。
4. スピーカーシステムの概略構造
(1) フロントローディングホーンシステム
- ホーンスピーカーの一種で、ドライバーユニットをホーンの後部に配置し、前方に音を放射する構造。
- エネルギーの効率を向上 し、音の指向性を制御しやすい。
(2) コーナー型ホーンスピーカー
- スピーカーのホーン開口部付近に高音を拡散する局面(カーブ)を設けた構造。
- 高音域のエネルギーを強調する設計 で、特定の方向へ効率的に音を伝達可能。
(3) ホーンドライバーの活用
- ホーンドライバー を組み合わせることで、特定の帯域(特に高音域)を増強できる。
- PAシステムや映画館などの大規模音響環境 でよく利用される。
5. まとめ
本記事では、吊り下げ形スピーカーシステムの設計、バリインテンスホーン(VITホーン)の特性、フライング方式の利点、ホーンスピーカーの基本構造 について解説しました。
重要なポイント
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吊り下げ形スピーカー
- 大型の音響システムで利用され、広範囲に均一な音圧を提供可能。
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バリインテンスホーン(VITホーン)
- 可変指向性を持つ特殊なホーンスピーカー で、音の拡散範囲を動的に変更できる。
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フライング形式
- スピーカーをリギングして吊り下げる方式 で、音響特性を最適化。
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ホーンスピーカーの構造
- フロントローディングホーンやコーナー型ホーン を利用して、効率的に音を拡散。
これらの技術を適切に活用することで、スピーカーシステムの音響性能を向上させ、最適な音場を実現することが可能 となります。
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