iPhoneのボイスメモをAirDropでMacに送り、Whisperで自動文字起こしするバッチ処理
はじめに
iPhoneの「ボイスメモ」アプリで録音した音声(.m4aファイル)をAirDropでMacに転送し、OpenAIが公開している音声認識ツール「Whisper」を使って自動で文字起こしする方法を紹介します。
本記事では、WhisperをMacに導入する手順、最小限のバッチファイル(.command)の作成方法を解説します。
必要な環境
以下の環境が整っていることが前提です:
- Mac(M1/M2/Intel問わず)
- Pythonの実行環境(WhisperはPythonベースのツールです)
- iPhone(iOSのボイスメモアプリで録音しAirDropが使える)
- ターミナルの基本操作ができる
PythonとWhisperのインストール方法(初回のみ)
WhisperはPythonライブラリとして提供されているため、まずPythonとその依存パッケージを導入する必要があります。
Homebrewのインストール(未導入の場合)
Whisperの実行にはffmpegが必要であり、これはHomebrewからインストールするのが簡単です。
- ターミナルを開き、以下のコマンドを実行:
/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"
- Apple Silicon のMacの場合、次のコマンドでbrewのパスを通します:
echo 'eval "$(/opt/homebrew/bin/brew shellenv)"' >> ~/.zprofile
eval "$(/opt/homebrew/bin/brew shellenv)"
Intel Macの場合は自動でパスが通ります。
Python環境の構築(Miniconda推奨)
Python環境が未構築の場合は、Minicondaを使うのが簡単で安全です。
- Minicondaをダウンロードし、
.pkg
ファイルをインストール - ターミナルで以下のように仮想環境を作成:
conda create -n whisper-env python=3.10 -y
conda activate whisper-env
Whisperとffmpegのインストール
仮想環境をアクティベートした状態で以下を実行:
pip install -U openai-whisper
brew install ffmpeg
Whisperコマンドの確認
Whisperがインストールされているか確認するには、ターミナルで次のように入力します:
which whisper
例:
/usr/local/bin/whisper
このパスは後ほど.command
ファイル内で使います。
.command
ファイル
単一ファイルを処理する最小構成のAirDropで転送された .m4a
ファイルが1つだけあり、それを自動で文字起こししたい場合は、以下のような.command
ファイルを作成して実行できます。
#!/bin/bash
cd "$(dirname "$0")"
whisper "voicememo.m4a" --model medium
この.command
ファイルとvoicememo.m4a
を同じフォルダに置き、ダブルクリックすればWhisperが実行され、文字起こし結果(.txtファイル)が生成されます。
実行権限の付与
初回のみ、ターミナルで次のコマンドを実行して実行権限を付けておきましょう:
chmod +x whisper_voicememo.command
処理の流れまとめ
ステップ | 内容 |
---|---|
🎤 録音 | iPhoneのボイスメモで.m4aを録音 |
📲 転送 | AirDropでMacに送信(例: ~/Downloads/AirDrop) |
🖱 実行 | Macで.command をダブルクリック |
🧠 処理 | Whisperが文字起こしを実行 |
📄 出力 | 指定フォルダに.txtが保存される |
おわりに
この方法を使えば、iPhoneで録音した音声をすぐにMacで文字起こしでき、日常的な記録、取材、会議メモなどにも活用できます。
特に.command
ファイルによる自動化は、Pythonのコードを書くことなく簡単に導入できる点が大きな魅力です。
より高度な自動化やGUI化を目指す場合は、osascript(AppleScript)やAutomatorと組み合わせることで、さらに幅広い用途に応用可能です。
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