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音響学入門:密閉型スピーカーのエンクロージャーと基準容積Vc
密閉型スピーカーのエンクロージャーと基準容積Vc
スピーカーのエンクロージャー設計において、密閉型(sealed enclosure) は、最もシンプルでありながら優れた音響特性を持つ方式の一つです。密閉型スピーカーでは、エンクロージャー内部の空気バネ(アコースティック・スプリング) が振動板の動作に影響を与え、低音域の挙動を決定します。
本記事では、密閉型スピーカーの動作原理、エンクロージャー内部の空気の影響、そして基準容積
1. 密閉型エンクロージャーの特性
(1) 密閉型の動作原理
密閉型スピーカーでは、振動板の背後の空間が完全に閉じられており、振動板の動作がエンクロージャー内の空気の圧縮・膨張に支配される 仕組みとなっています。
- 振動板が前後に動くと、エンクロージャー内部の空気が圧縮・膨張し、ばね(スティフネス)として機能 します。
-
エンクロージャーの空気のスティフネスが、スピーカーユニットの低域共振周波数
を押し上げる 効果を持つ。 - 空気の容積が大きいほどスティフネスの影響が減り、
の上昇が抑えられる。
の定義
(2) 基準容積 スピーカーの持つ本来の低域共振周波数
(3) 各パラメータの意味
記号 | 説明 |
---|---|
スピーカーの共振周波数 [Hz] | |
スピーカーの有効振動半径 [cm] | |
スピーカーの振動系の質量 [g] | |
スピーカーの振動系のQ |
この式から、スピーカーの有効振動半径
2. 密閉型エンクロージャーの設計と注意点
密閉型エンクロージャーを設計する際には、以下の点に注意する必要があります。
(1) 低域共振周波数の影響
- エンクロージャーの容積が小さすぎると、内部空気のスティフネスが大きくなり、共振周波数
が過度に上昇してしまいます。 - 一方、容積を大きく取りすぎると、スピーカーの制御が効かなくなり、低音の応答がダラダラとしたものになりやすい。
(2) エンクロージャー内の吸音材
- 吸音材を適切に配置することで、内部定在波を抑制し、より自然な低音を実現可能 。
- ただし、吸音材の使用量が過剰になると、内部の空気ばねの効果を弱め、低音の応答が悪化する可能性がある 。
(3) エンクロージャーの剛性
- 密閉型エンクロージャーでは内圧の変化が大きいため、箱の剛性を高める必要がある。
- MDF(中密度繊維板)や合板を用いることで、不要な振動を抑え、スムーズな低音を実現できる。
3. まとめ
密閉型スピーカーのエンクロージャーは、シンプルでありながらも、内部の空気スティフネスが低域共振周波数を押し上げる特性 を持っています。そのため、適切な設計を行わないと、意図しない音響特性の変化が生じる可能性があります。
✅ 密閉型エンクロージャーの特徴
- 内部の空気のスティフネスが共振周波数
を押し上げる 。 -
基準容積
を超えないように設計することで、スピーカー本来の低域特性を維持できる。
✅ 基準容積
-
有効振動半径
が大きいほど、エンクロージャー容積が大きく必要になる 。 -
共振周波数
が高いほど、小型エンクロージャーでも適応可能。
✅ 設計時の注意点
- エンクロージャーの容積を適切に設定し、低域特性のバランスを取る。
- 吸音材の使いすぎに注意し、自然な低音を保つ。
- 剛性の高い素材を使用し、不要な共鳴を防ぐ。
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