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Webサイト・スマホアプリ「ボケて bokete」のサービス設計 – ユーザーに「投稿時間」の制限を与えると、ユーザー行動はどう変わるか。
ボケて boketeとは
写真を元にボケるサービス。
boketeの歴史
もう10年間も運営しているらしい。
ボケて(bokete)
写真やテキストを投稿するオンラインサービス。写真とテキストで、いわゆる「ボケ」を表現する所が最大の特徴である。
2008年9月サービス開始。
ユーザーとは
俺だぜ。
自らは最大のサンプルなり。
今回はiPhoneアプリを例にする。
Webサービスとして始まったものだが、今はアプリも存在する。
ここでは iPhoneアプリを例にする。
ユーザーはボケの「お題」を元に、ボケを考える
ユーザーが1回のbokeを投稿をすると、五分待たされる
みんなみんなみんな叶えてくれるだって? 寝言は寝て言え。 - 2018年11月11日の人物のボケ[67612936] - ボケて(bokete)
その設計理由は?
たぶんスパム対策。ユーザー行動まで考慮されたものだとは思わない。
Web黎明期のサービスには、こうした単純な制限も多かったんじゃないだろうか。
だけど設計者が考慮していようといなかろうと、ユーザー行動は変わる。
次のボケを投稿したい時、ユーザーはどうするか
- 新しいボケの「お題」の一覧をチェックする
- 新しいボケを投稿しようとする
- 5分以内にボケが思いついても「5分間待ってください」と表示される
- 特に「下書き機能」や「あとで投稿する機能」などもないので、ただ待つか、boketeアプリの状態を保持したまま、スマホを閉じたり、別のアプリを使うことになる
ユーザーが時間管理を「求められる」。リアルライフへの影響度が高い。
- ユーザーは自分で「5分間」を管理する必要がある。
- このボケてアプリを使うために、リアルライフでもコストを支払う必要が出てくる。
- ボケを投稿して、マクドナルドのレジで「ホットミルクティー」を注文して、席に座って、またアプリを開いてボケを投稿する、というような。
休日を100円で楽しむマクドナルドでの過ごし方。 – Yuma Inaura @yumainaura ( 稲浦悠馬 ) – Medium
逆行のインセンシティブ
- ボケを一瞬で思いつくような、ボケ感度の高いユーザーほど、5分間の制限が厳しく感じられるようになる。
- ユーザーは5分間ボケを考えるのではなく、その5分間を使って別のことをしたり、別のアプリを開くようになる。
ジャンルとのマッチ感、時間とクオリティの比例度。
- お笑いは「ひらめき」が重要なジャンルかもしれない。
- 仮に5分間待たされたからといって、優れたボケが思いつくかというと、必ずしもそうとは限らない。
- 「お笑い」というジャンルと「時間制限」という仕組みは、ミスマッチなのかもしれない。
- これが仮に「お絵かき」というジャンルであれば、かなりのレベルで「かけた時間」とクオリティは比例する。
改善案が本当に寄与するかどうか
- もし、これがスパム対策だとするなら「常連ユーザーは制限を緩和する」などの対策が考えられる。
- ただし、この仕組を改善したとして、本当にコンテンツの質が高くなるかは、大規模に定量的、定質的なテストをしてみなければ分からない。
- 人生とサービスには「思ってみなかったようなこと」がつきものだ。
意図しない副次効果、棚からぼたもち。
- どうしてもボケをたくさん投稿したい、テンションの高いユーザーは「1日30分、一気にボケを集中投稿」とかではなくて、1日の中でコツコツコツコツとアプリを開くことになる。
- boketeは「他に代替えのないサービス」なので、ここでの競合は起きにくい。たとえ時間を待たされても、ユーザーは離脱しにくい。
- 結果的に、この「意図しない設計」は、ユーザーがマメにアプリを開くという、良い効果も生んでいるのではないだろうか。
- テンションの低いユーザーの離脱率は上がるかもしれないが、そもそも低テンションユーザーは「ボケのクリエイター側」に回らなくても問題ない。
投稿時間制限は、良いの?悪いの?
これは一概に悪いとは言えない。
設計者意図したものだろうと、そうでなかろうと、ユーザーに一見優しいようでも、厳しいようでも、ユーザー行動に影響を及ぼした「総合的な結果」を測るには、ある程度大規模なテストをしてみはくてはいけないだろう。
僕らに出来るのは予測。類推だ。
教訓
- 設計者の意図とは関わらず、ひとつの設計は必ず、ユーザー行動に影響を与える。
- 投稿時間制限というような、単に数字的、量的な設計であっても、ユーザーのアプリの使い方や、リアルライフに質的な影響を及ぼす。
- 良さそうなものが良いとは限らない。悪そうなものが悪いとは限らない。大規模なテストが難しい場合、僕らに出来るのは「質的な予測」だ。
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公開日時
2018-11-12
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