システムエンジニアは「傾聴」のソフトスキルを磨きなさい 〜仕事ができる人材への階段〜
おっす俺、システムエンジニア。
ここではエンジニアに必要なソフトスキル「傾聴」の話をするんだぜ。
君は確かにすごいエンジニアかもしれない。
「プログラミングの腕さえあれば良いのさ」と思って、軽く読み飛ばしたくなるだろう?
だけど「話を聞く」いうのはエンジニアの仕事でも、いや、エンジニアという仕事だからこそ、とても重要なスキルなんだ。
しかもこのスキルは、練習次第で伸ばすことが出来る。プログラミングの腕と同じだ。
さあ、やってみよう!
俺の歴史
‥と、その前にオレオレ話。
(冒頭に一人称を「俺」と書いてしまったので、以降も「俺」と書く)
現在、4人-6人ほど少人数チームで、社内向けのアジャイル開発をしている。
俺自身は、システムエンジニアとして働き始めてから、なんと2年ぐらいは、人の話を聞くことがどうにも苦手だった。2日じゃない、2年だ。
チームミーティングや会議中など、自分でも気づかぬうちに、すぐに意識が他の場所に飛んでしまっていた。
仕事において「人の話を聞く」というコツがどうにも分からなかった。
(プライベートでは「人の話を聞くのが上手だね」と言われることが多かったんだけど、仕事での「話を聞くスキル」は、どうやらまた別軸にあるようだった)
空中戦はお好き?
今のチームでは「スタンドアップミーティング」と呼ばれる「朝会」「夕会」を毎日おこなっている。
各メンバーが自分の状況を報告したり、実装について検討・相談を重ねたりする時間だ。
これはさながら空中戦みたいなものだ。
自分が話すことをキープしながら、一瞬一瞬に各メンバーが交わす会話を取りこぼさず、理解し、頭の中で組み立て、反応し、さらにその連鎖反応の中で最適解を見つけていく必要がある。
加えてこいつは、数学の授業のようで、連載ドラマのようで、一回を見逃すと、次からまた展開が分からなくなる。
これは僕には果てしなく難しい課題に思われた。
「逆に、他の人はどうして、そんなに話に集中していられるんだろう?」と不思議だった。
竜王の城
今思うと、それもおかしくはない。
そもそも「リアルタイム」「多人数」「時間制限あり」「連載形式」などなど、そもそも難易度の高い要素が勢揃いしているのだから。
だからたとえば君が同じような場所で課題を感じたとしても、おかしくはない。
これを逆に考えてみよう。
もしこのようなリアルタイムミーティングで、他のメンバーと対等に話せるようになれば、それは君がチームメンバーとして一人前になった証拠だと言えるかもしれない。
目指すべき最難関、最初のワールドのボス、近くて遠い竜王城みたいなものだ。
(でもゲームなら楽しい。ドラクエを嫌いなエンジニアはいない‥はず)
傾聴とは?
話をよく聞くこと。それに尽きる。
継承とは別物だが、継承したって良い。
class YourEars < GreateListening; end
傾聴を身につけるメリット
仕事が出来るようになる
これに尽きる。
他の人とのコミュニケーションが難しければ、そもそも仕事というものは進められない。
「人の話を聞く」「理解する」というのはプログラミング力以前の、大いなる仕事の基礎能力であり、ベースだ。
自信が持てるようになる
他の人の話が理解できないと、焦る。
他の人の話が理解できれば、安心できる。
っていうシンプルな話。
誰だって、人から「こいつ何も分かってねーな」とは思われたくない。
だけど基本的に話に付いていけてなかったり、理解ができていないと、取り繕ったり、黙ってしまったり、有効な意見が言えなかったりと、すべてが空転してしまう。(そう、そいつが昔の俺だ)
だから傾聴のスキルは「心理的安全性」ってやつを自分で作るための一助になるはずだ。
人のためより、自分のため。
人間関係が良くなる (かもしれない)
副次的効果なので、これをメインに狙ってはいけない。
ただ、話に耳を傾けられて嫌な人はいない。
逆に「こいつ、話聞いてねーな」感は、自分が隠せているつもりでも、人にはダイレクトに伝わってしまうものだと思う。
「人の話を聞く姿勢」を持つだけでも、他の人から見た印象は相当良い方向に変わるのではないかと思う。
さらに、もし人間関係が良くなれば、自分自身も働きやすくなって、エンジニアの仕事がなおさら楽しくなる。
情けは人のためならず。
具体的なトレーニング (やってみよう)
話を聞く
「話を聞くこと」が「話を聞くトレーニング」になる。
禅問答か?
いや、それが答えだ。
たとえば歩くことが歩くトレーニングになるように、走ることが走るトレーニングになるように、筋肉を動かすことが筋力トレーニングになるように、話を聞くことが話を聞くトレーニングになるのだ。
「あ、いま意識が飛んでいたな」と気付くたびに「人の話を聞くスタイル」に戻ってこよう。
このトレーニングは、体とは違って意識に関することなので、コツは要るかも知れないが、だんだんと意識の中の「フォーム」のようなものが見えてくるかもしれない。
これを何度でも、何千回でも気長に繰り返す。基礎トレーニングだ。
視覚情報・聴覚情報を変えてみる
個人的によくやるのが、話を聞きながら「目を閉じる」ということ。
特に、理解が難しい話の時は目を閉じながら話を聞くことが多い。
視覚情報というのは意外と人の気を散らすものだ。
俺も「人の顔を見たほうが、雰囲気もわかって理解も進むんじゃないだろうか」と思ったりしたことがあったけど、その逆だった。
「人の話を理解する」ということは「聴覚情報」と深く結びついている感じがした。
人間には視覚優位タイプと聴覚優位タイプがいるという話もある。
視覚情報、聴覚情報を物理的にコントロールして、そのDiffを試してみても良いかもしれない。
ちなみに俺が目を閉じて話を聞く時は、「こいつ眠ってやがる!」と周りから思われないように「ちゃんと聞いてる感」は出しているつもりだ。気持ち25%ぐらい、首振り=うなづきを多くしたり。
自己アウトプットする
テキスト化したり、図に描いてみたりする。
(理解は鮮魚‥新鮮なうちにどうぞ!)
「分かっていないということ自体」が「分かった」ところから、すべての理解は始まる。無知の知。ソクラテス。
アウトプットした内容を、他の人に見せてチェックしてもらえるようならなお良い。
さらにそれをWikifyしたりしたら、後のチーム、後のプロジェクトにも役立つものになるかもしれない。
何より「将来の自分」のために投資にもなる。いずれ過去の自分にマックスで感謝する時がくるだろう。
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メモを取る是非
話を聞きながら、あまり詳細なメモを取ると、そもそもの「話を聞くという行為」がおろそかになってしまうかもしれない。
仮にメモを取るにしても「気になるキーワードをメモる」ぐらいの軽いものに抑えておいた方が良いだろう。
もちろんメモが「役立っている実感」があるなら、続ければ良い。
あなたの理解力、傾聴力に応じても、メモの必要度は変わってくるはずだ。
もしメモをとるなら、個人的には、スマホやデジタル端末よりは、アナログのメモ帳などの方がおすすめだ。
一瞬のタイムラグがない分、機敏に扱うことが出来る。
ところでトレーニングの最終目標は、メモなしでも理解がちゃんとできて、しばらくは思い出すことも出来る状態。少なくとも短期メモリには書き込まれている状態を目指す。
まずは補助輪をつけるところから始めても良いが、それに頼りきりではいけない。
人と話す
人と話すのは最強。
理解を確かめる手段にもなるし、
自分ひとりで考えるよりも圧倒的に情報量が違うし、「あっ」という間違いにも気づきやすくなる。
- 分からないことは質問する
- 分かっていることでも理解を確かめる
周りの環境さえ許せば、どんどん人と話をしてみよう。
余談—質問のしかた
ちなみに質問の基本だが、相手がYES/NOで答えられるぐらいが良いと思う。
たとえば「Aってなんですか?」と聞くより「AのBってCっていうことだと思うんですけど、合ってますか?」と、自分の考えを80%ぐらい作ってから質問したほうが良い。
- 理解が間違っている場合は、どんな間違いをしたを最初から伝えられる。
- 理解が合っているのであれば、相手はうなずくだけなので、1秒で事は終わる。
分からなくても聞き続ける
- 分からないから意識が他に飛ぶ
- 分からないけど、分からないことを意識しながら、話を聞く
この二つではまるで違う。
前者は経験値が増えない。
後者は経験値が増える。
言葉を頭の中に通過させるだけでも、海で言えば「浅瀬」に浸かっていることになる。
ただ分からない話を集中して聴くのはエネルギーも必要されることなので、後述の「呼吸」のメソッドなどもあわせて活用されたし。
オフトレーニング
もし実戦トレーニングで足りないようなら、オフでのトレーニングをしてみても良いかもしれない。
自分は試したことはないのでフラッシュアイディアレベルだが、思いついたものを書いておく。
例:
- ラジオやネットラジオを聞きながら、傾聴してみる。
- 自分が「半分親しみのある分野」「だけど半分分からない分野」を選ぶなど、難易度調整をしてみる。
- 難易度調整は傾聴に限らず、トレーニングというトレーニングの基本。
ヘルパー
呼吸
ところで人の話を聞くのにはけっこうなエネルギーが要る。
誰だろうと、途中で意識がそれてもおかしくはない。少しも意識が飛ばない人はいない。程度の差があるだけだ。
そんなときは自分の呼吸に注意を向けて、息を整えてみるテクニックがある。
逆説的に聞こえるかも知れないが「自分に戻る」ほど、人の話も聞こえてくるようになるだろう。
体調管理
基本。よく眠ること。
コンディションが良い時は人の話も入ってきやすい。
逆に「人の話がすっと入ってきているかどうか」を、自分のコンディションのバロメータにすることも出来る。
「なんか、人の話が聞きづらいな」と思ったら、体調管理にも目を向けてみてはいかがだろうか。
マインドフルネスのトレーニング
話の聞き方はスキルだ。本を読んでも知識しか身につかない。
しかもこのソフトスキルは、文字情報で表現しにくい分野の極致といえる。
なので「話の聞き方」どうこうの情報を集めるよりかは、マインドフルネスのトレーニングなんかをしてみると良いと思う。
改めてお伝えしたいが、ソフトスキルにおいて重要なのは「具体的トレーニング」だ。
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公開日時
2018-08-09
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