技術コミュニティ参加のすすめ【Microsoft Developer Day 登壇内容まとめ】
この記事の目的
- 技術コミュニティに興味を持つ人が増えてほしい
- 技術コミュニティ参加の一歩を踏み出すきっかけになればうれしい
- Microsoft MVPに興味を持つ人も増えたらうれしい
はじめに
2024年11月6日に開催されたMicrosoft主催の開発者向け対面イベント「Microsoft Developer Day」にて、「技術コミュニティ参加のすすめ」というテーマで登壇いたしました。
Microsoft MVPを受賞したことでこのようなMicrosoft主催イベントでの登壇機会をいただけたので、「MVPになった」という実感が湧き非常に光栄でした。
登壇者4人のXをアジェンダ順に載せておきます。
Maki(筆者), hikariさん, オリビアさん, まーやさん
今回は JAZUG for Women というイベントの運営メンバー3人(全員2024年にMicrosoft MVP受賞🎉)に登壇のお声がけをいただきました。残念ながらhikariさんは当日体調不良のため欠席となり、パネラー2人・ファシリテーター1人という形になりましたが、話す内容やテーマ決めはパネラー3人で行なったものです。
いつかどこかで、hikariさん・オリビアさんと3人で登壇するチャンスがあることを願っています。
この記事は当日のパネルディスカッションの進行順序に沿って、時間の都合で話せなかったことも含めて私の視点からまとめたものです。
当日のアジェンダ
- JAZUG & Microsoft MVP の紹介
- コミュニティ参加のきっかけ
- コミュニティに参加して変わったこと
- コミュニティを楽しむためにやったこと
1. JAZUG & Microsoft MVP の紹介
今回のパネラーが全員JAZUGの運営 & Microsoft MVP ということで、まずはそれぞれの紹介を行いました。
JAZUG とは
JAZUG(Japan Azure User Group) は、Microsoft Azureを学び、楽しみ、活かす、日本のユーザーグループです。
"ちょっと興味がある=ゆるふわな方" から "実ビジネスで使うんだよね"な方まで大歓迎!というゆるふわコミュニティです。
JAZUGで2024年現在定期的に開催されているイベントの種類は記事末尾のおまけにまとめていますので、ご興味がある方はご覧ください。
Microsoft MVP とは
Microsoft MVP (Most Valuable Professional) は、Microsoftの製品や技術に関する知識を持ち、コミュニティに貢献している人に与えられる称号です。
Microsoft MVPには、Azure、Microsoft 365、Power Platform、Windows、.NET、AIなど、様々な技術領域のエキスパートがいます。
ちょまどさんのページがとてもわかりやすいです(イベントでも勝手に宣伝しました)。↓
Microsoft MVP について | Microsoft MVP 制度についてのまとめ
Microsoft MVP になると、下の画像のようなクリスタルトロフィーが贈られます。「2024」と書かれたリングは受賞年を示しています。
毎年審査があり、受賞を重ねるごとに一つリングが増えていきます。リングが上まで到達して置き場所がなくなっているベテラン勢もいるので、目指したいものです…。
2. コミュニティ参加のきっかけ
一番のきっかけは、当時の会社で 尊敬していた先輩が勧めてくれたことです。
わからないことを聞くとほぼ知っているかヒントを返してくれる知識量と経験があり、その上最新情報のキャッチアップも欠かさないような方で憧れの先輩でした。
どうすればそんな風になれるのかと思い、 おすすめの勉強方法を聞いた時に技術コミュニティを勧められました。 (その先輩はもともとTECH PLAY 女子部のオーガナイザーもされていてコミュニティに詳しい方でした)
「最新の情報を知れるよ」「社外のエンジニアと交流するといい刺激がもらえるよ」 という話を聞き、一人で勉強することにつらさを感じていたり他の会社のエンジニアに興味があったりしたので参加することを決意しました。
3. コミュニティに参加して変わったこと
コミュニティに参加して変わったことはたくさんありますが、特に大きな変化は以下の二つです。
- 技術のキャッチアップが楽しくなった
- 輪が広がった
技術のキャッチアップが楽しくなった
私は元々文系で、大学では社会学をやっていました。
プログラミング(ほぼ)未経験でベンチャーの新卒バックエンドエンジニアになり、そこではじめてC#を書くようになりました。
1人しかいなかった同期は学生時代からばりばりコードを書いていて、息抜きにコードを書くタイプの人です。
私はというと、作ったものが動くので仕事としては楽しかったのですが、あくまで「仕事のための道具」としか思えず休日に息抜きにコードを書く同期のようにはなれないと思い焦っていました。
休日に勉強をするのも、 「仕事道具の勉強という仕事」にしか思えずストレスでした。
同期のように楽しめればエンジニアとして強いし、仕事自体ももっと楽しくなって人生も楽しくなる。どうすれば楽しめるのかな。同期は学生時代の勉強の延長で楽しんでいそうだ。
私も社会学の勉強なら楽しめるのに。学生時代に情報系を学んでいない時点でもう、あのようにはなれないのでは…。
と日々考えていました。
しかし、コミュニティに参加したことでその考えが大きく変わりました。そもそもの 「技術の勉強」に対する捉え方 が変わったのです。
コミュニティでは 技術が好きな人たちが熱を持って楽しそうに「技術の話」をしていました。
もともとオタク気質な私はそれを見て、 「好きなアニメを語るときのあのエネルギーと楽しさと同じだ!」 と感じました。
また、「人に勧められたアニメを見たくなる」のと同じで、 熱量を持って語られるとその技術に興味を持てる こともわかりました。
難しくて会話の内容がほぼ理解できないけれど、私もあの会話に混ざりたい、オタクトークしたい、布教し合いたい、と思いました。
であればやることは一つ、技術のキャッチアップです。
技術のキャッチアップをすればするほど人に語れるし、語られた内容を理解できるし、オタクトークが楽しめるようになります。
オタクトークが楽しいので、さらにまた技術のキャッチアップをしたくなります。素晴らしい循環の出来上がりです。
そうして「技術の勉強」は、ただの「仕事のため」ではなく 「趣味のコミュニティのため」 になりました。
輪が広がった
学んだことを登壇して話せばフィードバックがもらえ、顔も覚えてもらえて仲間が増えていきます。
前はイベントに参加しても知り合いもおらず、話したとしてもその場だけで終わることが多かったです。
しかし 今ではMicrosoft系のイベントに行けば誰かしら知り合いがいて、わいわいできています。
コミュニティにコミットする前では考えられなかったことです。
私は、 「現実で友達を作るのが苦手な人間はSNSでも友達を作れない。ソースは自分」 と数少ない友人に熱く語っていたくらいの人間です。
去年まで、Xのフォロワーも20人いないかったと思います。Xはソーシャルなやりとりをする場ではなく、完全に独り言をつぶやくだけの場所でした。
界隈で有名なエンジニアの方々が知り合いのエンジニアとXでやりとりしているのをみて、楽しそうでいいなと思いつつも、 「自分にはそんな関係を構築することはできないだろうな」と思っていました。
そんな人間がどのようにして輪を広げてコミュニティを楽しめるようになったのか、次の章で紹介します。
4. コミュニティを楽しむためにやったこと
私がコミュニティを楽しむためにやったことは以下の4つです。
- 現地参加
- イベントのハッシュタグをつけてポスト
- 登壇
- 運営
自然と楽しめるならそれで十分ですしうらやましい限りですが、私には 楽しむための努力 が必要でした。
技術コミュニティを楽しめれば技術の勉強が楽しくなるはず、技術コミュニティを何としても楽しみたい、 と考えた私は 「私にとってコミュニティで楽しそうに見えるのはどんな人か」 を分析しました。
その結果、 「顔が知られていて、知り合いと楽しそうに話している人」 になれると楽しめそうだとわかりました。
ではどうすれば「顔が知られた」状態になれるのか考えたときに、「登壇」「運営」「イベントのハッシュタグをつけてポスト」が思いつきました。
この3点はオリビアさんとも一致したので、イベントでは二人で分担してこの3点を話しました。ここでは大前提となる「現地参加」という要素も加えて私視点で紹介してきます。
現地参加
これが 大前提 となります(大前提すぎてイベントでいうのを忘れた)。
オンラインだと「知識を得るだけ」であまりモチベーションにつながりませんでしたし、コミュニティに参加している意識も持てませんでした。
しかし現地参加してみると、 登壇者や参加者の熱量を感じられてすごくモチベーションが上がりました。
コロナが落ち着いてオフライン開催が増え始めた時期にようやく現地でコミュニティに参加でき、そこで初めて「コミュニティの楽しさ・メリット」を実感できました。
そもそも私がAzure楽しい!と思えるようになったのも、とあるMicrosoft MVPの方々と一緒にお仕事をしたときに、 目の前で熱量を持って楽しそうにAzureを語る姿 に感化されたからです。
騙されたと思って、ぜひ一度は現地参加してその熱量に触れてみてほしいです。
オフラインコミュニティイベント初参加の場合は、 懇親会つきのイベントがおすすめです。懇親会なしイベントに比べて話しかけるハードルが各段に下がります。
せっかく懇親しに参加したのに誰とも会話せず帰る、という悲しいことが起こりにくくなります。みんな懇親したくて懇親会にいるはずなのでガンガン話しかけましょう。
私は対面で話さないと人と仲良くなれない人間なので、現地参加で知り合った方とその後もXでつながることで知り合いが増えていきました。
イベントのハッシュタグをつけてポスト
一番お手軽に「コミュニティに参加している感」が出ますし、そこから交流が始まることもあります。
イベントのハッシュタグをつけてよく投稿している人に懇親の場で遭遇すると「あ、このアカウントの方!」となって話が弾みやすくなります。
登壇の勇気はまだ出ない、聞いているだけで十分、という方もぜひハッシュタグをつけて「わかりやすい!」「なるほど」など思ったことをポストしてみてください。
運営も登壇者もフィードバックとしてチェックしている ので、何としてもやってほしいものです。これも立派なコミュニティへのコントリビュート になります。
コミュニティイベントはみなさん業務外でリソースを割いて行われるものなので(私自身運営をやっていることもあってか)それを享受するだけなのを申し訳なく感じることがあります。
そのため運営していないコミュニティイベントでも、少しでも貢献できればという気持ちと感謝の気持ちでできるだけハッシュタグをつけてポストするようにしてます。
何かの形でコミュニティに貢献したい方はぜひハッシュタグをつけてポストから入ってください!
登壇
登壇をしている方々は、参加者の方に話しかけられていたり、コミュニティの一員として貢献している感があったりして楽しそうに見えました。
登壇する前までは、「登壇できるようなすごいことをやっていない」「登壇するほどのスキルがない」と思っていました。
登壇しているような人は何でも知っているだろうし、コミュニティに参加している人にとっては私の話なんて当たり前に知っていることなのだろうと思っていました。
しかし、JAZUGの運営の方々に 「誰かには刺さる」「その人の視点で経験した・学んだというのが貴重な情報」 などなど背中を押していただいてようやく登壇を決意できました。
「登壇したいです」というのはかなり覚悟がいることだったのですが、このままコミュニティに参加していても「聞くのが普通」になって登壇ハードルが上がってしまう、いっそ慣れていないうちに「話すのが普通」にした方が楽なのでは、と思ってJAZUG参加2回目で登壇させていただきました。
実際登壇してみると、自分が社内でやっていたことに対して色々なフィードバックをもらえ、 「ちゃんと社外でも意義のあることをやっていたんだ!」 と思えてモチベーションが上がりました。
今では 「全部を知っている人はいない」「やったことがない人にとっては新しい情報」 という意識で登壇できるようになりました。
登壇日を先に決めて勉強するという登壇駆動スタディをし始めるようにもなりました。おすすめです。
イベントでオリビアさんが仰っていて素敵!と思った言葉を流用させていただくと、登壇は 「自分はこれに興味があります!」という自己紹介 になります。
双方向のコミュニケーションが苦手な人でも、登壇は一方向なので意外といけることがあります(イベントでもうなずく方が多かった)。さらにその上、話しかけてもらいやすくなります。
自分から話しかけるのが苦手な人ほど登壇をお勧めします。
私も元々コミュニケーションは苦手な方なので、登壇していなかったらここまで多くの人と話せなかっただろうと思います。
「登壇して知らないことを質問されるのが怖い」という意見もよく聞きますが、もし聞かれたら 「わかりません」「やってみて教えてください」「誰か知ってますか」 で大丈夫です。仕事ではなくコミュニティ・仲間内ですので、お互いに与え合って高め合いながら楽しんでいきましょう!
運営
運営をやっている方々は、コミュニティが一つの居場所になっているように見えて楽しそうでした。
元々私は、 何も役割を持っていないコミュニティでは居場所感を得られず、「この場所にいらない人間」のように感じてフェードアウトしてしまうタイプでした。
大学のサークルでも、帰属意識を持てなかったカフェインの飲みサー(コーヒーサークル)は1、2年で抜けてしまいました。
一方、一人で立ち上げたサバゲーサークルは、「自分がやらなければ何も起きない」状態なので(力技で作り出した)居場所感がありましたし、参加者が楽しむ場をつくることへの喜びもありました。
私はコミュニティでAzureの勉強をし続けたかったのですが、普通に参加しているだけではコミュニティに所属している意識が薄く、同じようにフェードアウトしてしまうだろうと思っていました。
そこでJAZUG for Womenをきっかけに運営に参加させていただき、 コミュニティで役割を持つことで自分に縛りをかけて逃れられないようにしました。
結果としてJAZUGに「居場所感」を持つことができ、コミュニティに参加し続けられています。
イベント運営は大変な面もありますが、人が楽しむ場を作るのが好きなので個人的には非常に楽しいです。完全に趣味です。
他の方にもわかりやすいメリットとしては、「JAZUGで運営やってます」といえるので自己紹介が楽になりますし、「運営だからいろいろな人に話しかけて楽しんでもらわないと」「登壇者を探さないと」という気持ちになって イベントで人に声をかけるハードルが下がる というのもあります。
運営にまでならなくても帰属意識を感じられる方はそれで十分だと思いますが、私のように「イベント参加・登壇だけではコミュニティに所属している意識が薄い」と感じる方は運営に参加してみるのもお勧めです(仕事外でやることが割と増えるのでそれなりの熱量・覚悟が必要だと思いますが)。
オリビアさんがサード・プレイスの話をされていましたが、家庭や職場ではない第三の場所(サード・プレイス)に技術コミュニティを置いてみたい方には運営もおすすめです。
おわりに
Microsoft Developer Dayに登壇した後、自分自身も触発されて「もっと積極的にアウトプットしよう」という気持ちになりました。(その結果1か月でスライド被りなしの6登壇2記事というアウトプットも達成できました!)
パネルディスカッションを聞いてくださった方から「技術コミュニティに参加してみたいと思った」と直接フィードバックをいただけたのも熱かったです。
技術コミュニティに参加してかなり人生が変わった人間として、技術コミュニティ楽しいよ!というのをもっと広めていきたいです。「一緒に楽しいことしようぜ」というお誘いもお待ちしています。
技術コミュニティオタク仲間を増やしていきたいので、この記事で一人でも技術コミュニティに興味を持ってくれる人・より楽しめるようになる人が増えると嬉しいです。
一緒に登壇したオリビアさんも同じテーマで記事を書いているのでぜひご覧ください!
おまけ:JAZUG (Japan Azure User Group) イベント一覧
JAZUGで2024年現在定期的に(もしくは最近リブートして)開催されているイベント形式をまとめます。気になっていた方はいずれかにぜひ!
最近各地域コミュニティがリブートし始めていて熱いです。
定例イベント
Tokyo Jazug Night
- 開催頻度:月1回
- 形式:ハイブリッド(現地 + オンライン)
- 会場:Microsoft品川オフィス
- 時間帯:平日夜
JAZUG for Women
- 開催頻度:3ヶ月に1回
- 形式:ハイブリッド
- 現地参加:女性のみ
- オンライン視聴:どなたでも
- 会場:Microsoft品川オフィス
- 時間帯:平日夜(主に金曜日)
- 特徴:おやつの持ち寄って交流タイムあり。イベント後、任意参加の食事会
大規模イベント
Global Azure
- 開催頻度:年1回 (4月か5月くらい)
- 2025年は5/10(土)に開催予定!
- 形式:2トラック制 + 懇親会 ※品川の場合
- 会場:Microsoft品川オフィス、福岡など
- 時間帯:休日午後
- 特徴:世界のAzureコミュニティが決められた期間で一斉に開催するAzureコミュニティイベント
JAZUG周年イベント
- 開催頻度:年1回(9月か10月くらい)
- 形式:2トラック制 + 懇親会
- 会場:Microsoft品川オフィス
- 時間帯:休日午後
地域支部
JAZUG Fukuoka
- 2024/11/11再始動
- 形式:配信メイン
- 特徴:
- 福岡コミュニティによる運営
- 配信オンリーのため福岡以外の方も登壇可能
- セッション後に登壇者と運営の雑談タイム(ヒーローインタビュー?)あり
JAZUG四国(しこあず)
- 2025年再始動
- connpassグループページ:https://az-459.connpass.com/
- 2025/1/18にリブート:https://az-459.connpass.com/event/333091/
JAZUG Shizuoka
- 2025/2/15にリブート:https://jazug.connpass.com/event/336487/
その他の地域支部
- その他の支部情報はconnpassにて:https://jazug.connpass.com/
- 「新しく立ち上げたい!」「リブートさせたい!」という方はお気軽に運営までご連絡ください
その他突発イベント
- Microsoftプロダクトチームを招いた特別イベントが開催されたことも
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