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ベンチャーの情シスも悪くないよ?

2022/07/28に公開

この記事は長年SIerなどの開発会社でエンジニアをやっていた筆者が初めて事業会社(不動産業)の情シス兼エンジニアとして活動をしてみてやってきたことをまとめたものです。

情シスといってもやることは多岐にわたり、単なるITお守りにはとどまらず、事業の深い部分まで関わり様々な経験ができたため、紹介したいと思います。

情シスになったきっかけ

最初は商談相手だった

そもそもの私が事業会社の情シスになったきっかけは、商談相手だった現職の事業責任者からのスカウトでした。
商談中も、現状、一切のシステム化ができていない会社の状況に危機感を覚えて、地域内のベンダーや開発会社に声をかけており、そのうちの一社が私の前職でした。

当時、CRMや社内システムの構築を考えており、Salesforceの導入を前提に導入できる業者を選定しておりました。
ただ、打ち合わせで話を聞くうちに、会社の規模ややりたいこと、どのくらいのスピード感で進めたいかなどを確認していくうちに、これはSalesforceをそのまま入れるよりも、自前での開発が必要なのではと考えていました。

唐突のスカウト

当時は、会社の方針もSalesforceの導入費とサポートをもらう形で商談を進めようとしていました。ただ、自分の中では、本当に導入すべき仕組ではないよな~とモヤモヤしておりました。
そんな折、別口のエンジニアスカウトから1通のスカウトメールが

もろバレてる~ってなりましたけど、これは、自分が思っていること、この企業で必要な仕組みを、1から、初めてのエンジニアとして構築できるのでは?と思い転職しました。

転職した直後

まずは便利屋から

現職への入社直後は社内で初めてのエンジニアということで、社長・役員・社員全員が、どういった生物なのかわからない状況でした。
社内システムの構築を行うという目的があったものの、一人でやりきるには時間がかかるので、それまで何も結果を出せないと何のためにいるの?って感じになりますし、ちょっとずつでもいると便利な便利屋さんとしての存在価値をまずは示していこうかなと思い活動を開始しました。

入社初日~1週間

よくあるPCの不具合とか操作サポートを行いつつも、社内の50台近いPCがすべてHDD搭載モデルだったため、業務中の作業一つとってもモッサリしており、社員からの不満が噴出していました。

そこで、さっそく社内稟議を通して、全員分のSSDを購入、全台交換しました。
結果、残業時間が減って1週間ほどで購入代金がペイできました。
嘘みたいな話ですが、実際にそんな状況でした。

そんな感じで便利屋としては認識してもらえました。

入社1カ月で

社内システム構築範囲とスケジュール、手段等を決めて開発をスタートしました。

開発人員は私一人ということもあり、スクラッチ開発は向かないと判断しました。
外注に出してベンダーコントロールに徹するというのも選択肢としてありましたが、せっかく事業会社にいて、事業の内容を理解した上で仕組を作れるのだし自分でやりきる方向に舵を切りました。
もちろん、費用的なものと、実用的な仕組みを作るうえでも内製化はその当時ベターな選択だったと思っています。

開発

ノーコード・ローコードで

とはいえ、自分ひとりで開発するには効率よくモックを作りながら要件を確認しつつシステム構築を進める必要があったため、今回はノーコード・ローコードツールであるkintoneを採用しました。
人数やカスタマイズの自由度等比較し一番自社にフィットするのではないか、またスピード感が出せるのではということで採用しました。

https://kintone.cybozu.co.jp/

ちなみに、自分で開発に利用するのは初めてでしたが、基本的な操作はGUI操作でサクサク作れますし、カスタマイズはJavascriptベースでできるので、とっつきやすいというのも使っていて良さそうでした。

業務の把握をしながら、開発とリリース

kintoneを採用したことで画面のモックはサクサクと作れ、業務の各担当者を巻き込みつつシステムのイメージを固めながら開発を進めていきました。
正味開発期間は3か月ほどでした。

この3か月で、見込み顧客の獲得から契約締結までのCRMの大まかな仕組みを作りリリースしました。

不動産業のため、紙ものが種類多めというのもあり、今回は帳票をエクセルベースで作成できるツールを利用して開発期間を短縮しました。

ちなみに今回はOPPRO社のドキュトーンを利用しました。

https://www.opro.net/products/service/docutone/

リリース後

運用をしながら改修・開発を進めるにあたりノーコード・ローコードの強みを発揮、その後もう半年で社内のメイン業務の大半をシステム化が完了しました。

といってもざっくりとですが。

その他、並行して行ったこと

社内システムの開発や情シスの仕事以外にも様々なことを行いました。

  • ブログの運用を外注から社内運用に切り替え

    • ここには書けませんが相当安い金額で運用を出していたので、対応も遅く、雑なこともあって両社ともよいことないので、自社で運用するこに切り替えました。ほかにも問題があったためこの判断は良かったと思います。
  • 自社サイトや、自社のサービスサイトをWordpressからNuxt.jsベースのSSG化し、ホスティングもNetlifyにしました。

    • これにより、PageSpeed Insightsのスコアも上がり、リニューアルした甲斐がありました。アクセス数も伸び、サイトのリニューアルも自社のデザイナーと協力してスピーディーに変更でき、これも成功したと思います。
  • また自社サービスサイトとkintoneのシステム連携も図っていきました。シームレスに情報が流れていくので業務効率もよくなりました。

  • 自社物件のまとめサイト(物件ポータル)サイトの構築なども行いました。

  • 上記のような業務を進めるのにさすがにエンジニア一人ではとても回らないので、採用も担当し、2名の新しいエンジニアが入社してくれました。

入社前後

様々な仕組化を行い私の入社前後の様々なサービスや基盤、技術を使いシステムをくみ上げて運用に乗っけることができました。

入社前

  • GoogleSpreadSheet
  • Excel
  • Googleドライブ
  • Wordpress
  • LINE公式アカウント

こんなくらいしか利用しているサービスはありませんでした。
今思うとよくそれだけで回っていたなと。

入社後


インフラ

  • AWS
  • さくらのレンタルサーバー
  • さくらのクラウド
  • GoogleCloud

PaaSやSaaS

  • SendGrid
  • Heroku
  • Netlify
  • kintone
  • Chatwork

言語・フレームワーク

  • PHP
  • Laravel
  • Javascript
  • Node.js
  • Vue.js
  • Nuxt.js
  • Java
  • SpringBoot
  • GoogleAppScript

ミドルウェア

  • MySQL
  • Nginx
  • Redis
  • Meilisearch

その他

  • LINE MessagingAPI
  • LIFF
  • Docker

これを見るといろんなサービスや技術を組み合わせてやったものだと。

情シスをやってみて

事業会社の情シスをやってみて感じたことは、業務のすべてのプロセスに関わっていくことになるので、現場・経営層のすべてのレイヤーを経験できるので視野が広がるということです。

当然現場の業務改善は直接感謝される仕事なので、やりがいがありますが、それ以上に、会社のビジネスの仕組み自体を理解していくのは、自分で今後どう動くべきかの指針を立てるのにも役立ち、とてもワクワクする経験でした。
これは事業会社にいないとできないと思います。

あと、一人目の情シスは会社にもよると思いますが、割と自由に身動きが取れ、やりたいことを進められるかと思います。まぁ、現職がたまたまそういう人間関係を構築できて、進められたというのもあるかとは思いますが。

まとめに

というわけでこの1年半あまりに行ってきたことをつらつらと書いてみましたが、昔抱いていた情シスのイメージとは違う形で情シスに関われたのは大変良い経験でした。

世の中の事業会社が今後どんどんシステム内製化に舵を切り、エンジニアが活躍できる分野は増えるのだと思いますが、こういう面白い経験ができる会社が増えると情シス界隈も楽しくなるのではないかと思います。

ちなみに、この内容は2022年7月に長岡で開催しましたNDS #62で発表したLTを元に作成しました。

https://speakerdeck.com/yukyu2nd/bentiyafalseqing-sisumoe-kunaiyo

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