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組織で円滑に働くためのコミュニケーション

2023/07/10に公開

はじめに

この記事は、私がITエンジニアとして会社で働いてきた中での気づきをまとめたものとなります。まだまだ若輩の身なので学ぶべきことは多いですが、新社会人の頃と比べて円滑に働けるようになってきたと思います。なぜ、そのように思えるようになったのか、コミュニケーションに焦点を当てて振り返ってみました。

記載内容については、現時点での私の考えです。今後の経験を通して考えが変わることもあると思います。

円滑に働くために意識したいこと

1. 自己中心的にならない

なぜ大切か

組織で働くということは誰かと一緒に働くことになります。皆それぞれに都合や価値観があり、それらを調整することで一緒に仕事をしています。では、自分の都合や価値観を押し付けてしまうとどうなるでしょうか。押し付けられた相手は不本意に都合を調整する必要が発生しますし、不快にも思ってしまうかもしれません。そうなれば、相手の仕事の効率は低下します。また、協力的ではなくなってしまうかもしれません。結果として、仕事全体の効率は低下し、円滑に働けなくなってしまいます。

自己中心的であることを自覚するのは難しい

価値観の違いは衝突するまで気づかないことが多い。 全く同じ経験をしてきた人は存在せず、異なる経験をする中で正しいと思うことには差異があることがあります。例えば、ソースコード上に実装コメントを十分に書くのが良いとする人となるべく書かない方が良いとする人がいます。また、コンポーネントの分割粒度やメモ化の方針など、さまざまな場面で良しとするものが異なることはしばしばあります。

経験値不足による短慮。 誰でも経験を積むことで視野や仕事のスコープを広げていきます。経験が浅い故に、自分のことで精一杯になって周りが見えていないということがあります。

立場の違い。 立場が上の人の発言はより大きな影響力があります。立場が下の人が上の人に対して反論することはとても難しいことです。反論がないということは自分の発言が正しいと思い込みやすいです。

焦っていると自分の都合を優先してしまいやすい。 例えば、自分が行っている開発のリリース予定日が迫ってきている時に、コードレビューなどを優先的にやってもらうように一方的に頼み込んだことはありませんか。目の前のことに気を取られてしまうと、相手の都合に意識がいかないことがあります。

どうすれば良いか

相手の都合に最大限配慮する。 自分から相手に対して何らかのアクションを取る時は、相手の時間を使っているということを意識することが大切です。相手に都合を聞くことが単純明快です。例えば、ミーティングを主催する時には、参加者にミーティングの開催日時に不都合がないか聞くようにします。この時、開催日時が調整可能であることも予め伝えておくと良いです。これだけで、都合に配慮していることが伝わります。

ステークホルダー間で優先度を決めておく。 どうしても自分と相手の都合が噛み合わないこともあります。そんな時に優先度が決まっていれば、優先度に合わせて譲歩することができます。この優先度設定は当事者だけではなく、ステークホルダーを統括する立場の人がいる状況で行うと決めやすいです。

ルールを決めておく。 価値観の違いはルールを決めておくことである程度解決できます。どっちが正しいかで衝突する時はルールが決まっていないことが多いです。予めお互いに納得できるルールを決めておけば、ルールに沿った判断ができます。

2. 報連相は迅速かつ的確に行う

なぜ大切か

社会人のコミュニケーションとして必ずといってもいいほど挙がるのが「報連相」です。報告・連絡・相談のことです。これらの目的は情報の透明性を担保することです。情報の透明性を確保することは組織で働く上で非常に重要なことです。情報が適切に伝わっていないと正しい判断をすることができません。例えば、自分に何かトラブルが発生していても、周りの人はそれを認知できていないと助けることができません。情報の共有が遅れれば遅れるほど影響は大きくなっていきます。また、共有した情報が間違っていれば、情報を受け取った側は間違った判断をしてしまうかもしれません。

社会人にとって必須のスキルと言われるが実は難しい

報連相を「迅速かつ的確に」行える人は少ないのではないかと思います。情報を全てリアルタイムに一方的に共有すればいいというわけではありません。まず、共有すべき相手は誰であるか判断し、相手が知るべき情報を整理します。その上で、適切なタイミングを見極めて情報を共有します。無関係な人に共有しても適切な判断はしてもらえませんし、相手が知る必要のない情報まで共有していてはノイズになってしまいます。また、何でもすぐに相談するのではなく、まずは自己解決を試みることも大切です。

どうすれば良いか

報連相をただ行うのではなく、質の高い報連相を行うことを意識しましょう。目的・結論・理由・根拠・状況・補足など情報を分類してから伝えると良いです。伝える時は、目的や結論を最初に伝えると理解してもらいやすくなります。

3. 施策の最初に参加者間で各人の責務を明確にしておく

なぜ大切か

責務が明確になっていないと、作業が重複してしまったり、本来自分の役割ではないはずの作業をやることになってしまうことがあります。他にも、自分も相手も作業内容に納得がいかない場合は作業の押し付け合いが発生することもあります。これらは円滑な仕事を妨げる要因となります。また、責務を明確にしておくことで、施策の中で何らかの不明点が発生した場合に誰に相談すればいいか明確になり、わからない人に相談してしまうなどの余計なコミュニケーションコストを減らすことができます。

専門領域が隣接する部分は責務が不明確になりやすい

UI のデザイン部分の実装。 エンジニアとデザイナーで隣接する領域です。デザイナーがコーディングスキルを持っている場合は、デザイン作成から実装までデザイナーが一貫して行うという選択肢が出てきます。

ログを収集するための設定。 データ分析を行う人には、収集済みのデータから分析を行う人と、データ収集自体も行う人がいます。前者であった場合、ログの収集を行うための設定を誰が担当するのか決める必要があります。ログの収集では Google Analytics / Google Tag Manager がメジャーなツールですが、これらのツールの設定を誰が担当するかは意外と議論になりやすいのではないでしょうか。

どうすれば良いか

施策を始める時に参加者で話し合って合意形成しておくことが大切です。施策の途中で責務が不明確なものが出てくると、それはお互いに予定していないタスクになるので揉めやすいです。合意形成するためには、参加者それぞれの専門領域・スキル・リソースなどを明確にして話し合うと決めやすいです。

4. 会議の司会を担当する時は結論を誘導しないようにする

なぜ大切か

司会という立場は会議で大きな発言力を持ちます。そのため、司会が特定の意見や考えに偏ってしまうと参加者は対等に議論することができなくなってしまいます。その結果、司会に支持されていない意見や考えを持っていた参加者は不満を抱えてしまうかもしれませんし、その不満が司会に向くこともあります。参加者が対等に議論することは参加者全員が納得のいく結論にたどり着くために大切であり、その後の仕事のモチベーションにも影響します。

なぜ結論を誘導してしまうのか

司会の役割は「参加者の意見を促し、結論を出すこと」である、というのが一般的な認識だと思います。大抵の会議では時間が決まっていますが、議論が盛り上がるほどさまざまな意見が出てくるため、司会は時間内に議論をまとめようとして焦ります。結果として、特定の意見で議論を強制的にまとめようとしてしまうのです。

どうすれば良いか

まずは、司会の立場が中立であることを意識することが大切です。司会は参加者が対等に議論できることに注力します。しかし、これだけだと議論がまとまらず、会議が時間に収まらなくなってしまうことも出てきます。そこで会議の事前準備がとても大切になります。その会議で議論すべきこととしないことを決めておきます。そうすることで論点がずれて議論が発散することを防ぎます。また、その会議で結論を出すことに固執せず、仕切り直すことも選択肢として持っておくと焦らずにすみます。

5. 感謝の気持ちは積極的に伝える

なぜ大切か

誰だって感謝されると嬉しいと思いますし、モチベーションも高まって気持ちよく働けると思います。また、感謝してくれた相手を嫌うことはなく、協力も得やすくなります。

当たり前だが意外とできていない

やってもらって当然と思ってしまう。 例えば、レビューをしてもらったり、会議の主催者がたたき台を用意してくれたり、といった時に感謝の気持ちを伝えることができていますでしょうか。それぞれが自分の仕事をしているだけに思えてしまうこともあるかもしれませんが、それぞれが自分の仕事をしっかりやってくれるということは、巡って自分も自分の仕事に集中できることにつながります。

感謝の気持ちを面と向かって伝えるのはちょっと恥ずかしいと思ってしまう。 心では感謝していても、相手に伝えられていないことってありますよね。

振り返り会で反省点ばかりを話題にしてしまう。 仕事での振り返りは何かを改善するために行われることが多いです。その結果、できなかったことに焦点が当たりがちです。「質問をした時に〇〇さんのレスポンスが早くてとても助かりました!」「〇〇さんが認識合わせを丁寧にしてくれたので手戻りが発生せず予定通りに作業を進めることができました!」といった感謝を伝えることで、継続すべき行動も明確になります。

どうすれば良いか

感謝の気持ちを伝えるハードルを下げる取り組みが大切です。例えば、Slack や GitHub ならスタンプを積極的に使ってみましょう。振り返りは KPT 形式にして Keep で感謝を伝えるような文化を作っていくなどです。

さいごに

仕事を円滑に行うためには技術力以外にもさまざまな能力が必要であると日々実感しています。社会人になったばかりの頃は自分の仕事をこなすことに意識が行きがちでしたが、組織の中で働いていることを徐々に自覚するようになり、一緒に働く人とのコミュニケーションが非常に重要なものであることを感じています。相手のことを考えて行動することで、巡り巡って自分が快適に働けるようになってきています。

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