VPN利用時にWSLがネットワークに接続できなくなる問題を直す

VPN利用時にWSLがネットワークに接続できなくなる問題を直す

WSLにはVPNを利用するとネットワーク接続ができなくなる問題があります。
これを解決するためにwsl-vpnkitというものがあるのですが、セットアップ手順が複雑でしたのでここにまとめようかと思います。

ゲストOSのDNS設定

DNSサーバーの設定をするのでWSLの自動設定を切る必要があります。

[network]
generateResolvConf=false

設定を有効にするためにWSLを再起動します。

wsl --shutdown
wsl

次にresolv.confに必要な設定を入れます。
VPNは切断した状態で行います。

① ネームサーバーIP

Get-DnsClientServerAddress -AddressFamily IPv4 | Select-Object -ExpandProperty ServerAddresses

② 検索ドメイン

Get-DnsClientGlobalSetting | Select-Object -ExpandProperty SuffixSearchList

①と②の値をresolv.confに記述します。

nameserver ①
search ②

wsl-vpnkitのセットアップ

Setup as a standalone scriptにある通りに進めます。

ゲストOSへのwsl-vpnkitのインストール

sudo apt-get install iproute2 iptables iputils-ping dnsutils wget
mkdir wsl-vpnkit
cd wsl-vpnkit
wget https://github.com/sakai135/wsl-vpnkit/releases/download/v0.4.1/wsl-vpnkit.tar.gz
tar --strip-components=1 -xf wsl-vpnkit.tar.gz \
    app/wsl-vpnkit \
    app/wsl-gvproxy.exe \
    app/wsl-vm \
    app/wsl-vpnkit.service
rm wsl-vpnkit.tar.gz
cd ..
sudo mv wsl-vpnkit /opt/wsl-vpnkit
sudo chown -R root:root /opt/wsl-vpnkit

Systemdの設定

wsl-vpnkitをいちいち手動実行するのはめんどうなので自動起動するようにします。
もし自動起動が嫌な場合は次のコマンドで手動実行してください。

sudo VMEXEC_PATH=/opt/wsl-vpnkit/wsl-vm GVPROXY_PATH=/opt/wsl-vpnkit/wsl-gvproxy.exe /wsl-vpnkit

まず、WSLではデフォルトではsystemdが有効になっていないのでゲストOSの/etc/wsl.confで有効にします。

[boot]
systemd=true

serviceファイルを書き換えて設置します。
元になるファイルは先程インストールした中にあるwsl-vpnkit.serviceとなります。

書き換える箇所は[Service]の部分のsetup as a distroのブロックをコマントアウトし、setup as a standalone scriptのブロックをコメントインします。
そしてパスを適当なものに変更します。

変更後の全体像は次のようになります。

[Unit]
Description=wsl-vpnkit
After=network.target

[Service]
# for wsl-vpnkit setup as a distro
#ExecStart=/mnt/c/Windows/system32/wsl.exe -d wsl-vpnkit --cd /app wsl-vpnkit

# for wsl-vpnkit setup as a standalone script
ExecStart=/opt/wsl-vpnkit/wsl-vpnkit
Environment=VMEXEC_PATH=/opt/wsl-vpnkit/wsl-vm GVPROXY_PATH=/opt/wsl-vpnkit/wsl-gvproxy.exe

Restart=always
KillMode=mixed

[Install]
WantedBy=multi-user.target

ファイルを書き換えたらsystemdのディレクトリに配置します。

sudo mkdir -p /etc/systemd/system
sudo mv /opt/wsl-vpnkit/wsl-vpnkit.service /etc/systemd/system/

サービスを有効化します。

sudo systemctl enable wsl-vpnkit

WSLを再起動して設定を有効にします。

wsl --shutdown
wsl

statusにてエラーが出ていないかをチェックしてください。

systemctl status wsl-vpnkit

接続の確認

VPNを接続状態にしdigコマンドでgoogle.comや御自身のVPNで利用するシステムのドメインのIPが引けるか確かめてください。

wsl-vpnkitはVPN(ネットワーク)の接続切り替え時にプロキシーを繋ぎ直す形でネットワークを保つものなので、VPNに接続したままWSLを起動した場合はVPNを再接続してみてください。