失敗ゼロを目指す!複数モデルで作り込むGammaスライド必勝法
Gammaはテキストプロンプトから高品質なプレゼンテーションスライドを生成できるAIツールです。私が実際に登壇用スライドを作成した経験をもとに、効果的な活用方法をご紹介します。
スライド生成のゴールデンルール
Gammaを使う際に最も重要なのは、スライド生成前のテキストプロンプトの精度を高めることです。なぜなら:
- 一度生成したスライドの編集は思いのほか手間がかかる
- フルスライド生成には課金が必要になる場合が多い
- 自分でデザインするよりAIの自動化機能を活かすほうが効率的
当初は「ざっくりとしたスライドを生成してからGammaで細かく編集しよう」と考えていましたが、実際はプロンプトの段階で細部まで指定するほうが良い結果につながりました。
効果的なプロンプト作成のコツ
Gammaでスライドを作る際のプロンプトの基本形は以下の通りです。
以下の要件に基づき、プレゼンテーション資料の内容を作成してください:
題名:[プレゼンのタイトル]
目的:[このプレゼンの目的 - 情報提供/説得/教育など]
対象者:[誰に向けたプレゼンか - 技術者/経営者/一般聴衆など]
発表時間:[予定されている発表時間]
スタイル:[フォーマル/カジュアル/教育的など]
特記事項:
- [特別に含めたい内容や強調したいポイント]
- [参照すべき特定の情報源]
- [避けるべき内容やトピック]
各スライドには以下を含めてください:
- スライドのタイトル
- 主な内容やポイント(箇条書き推奨)
- 必要に応じて図表の説明
出力形式:スライド番号と内容を明確に区分けしてください。
「詳細モード」を選ぶ
生成時に「概要モード」を選択すると、せっかく丁寧に作成した構成が大幅に省略されてしまいます。おすすめは「詳細モード」です。詳細モードでは具体的な情報や出典も明記してくれ、完成度の高いスライドが生成されます。
具体的なプロンプトの例
私が実際に使用したプロンプトを紹介します。
以下の要件に基づき、20分のプレゼンテーション資料の詳細内容を作成してください:
題名:女性エンジニアのための生成AI活用術〜インクルーシブな未来へのアクションプラン〜
目的:女性エンジニアに生成AIの活用方法を紹介し、実践的なアクションプランを提供する
対象者:女性エンジニア、DE&I担当者、テック業界関係者
発表時間:20分(質疑応答除く)
スライド数:15-20枚程度
スタイル:インスピレーショナルかつ実用的、データと具体例を交えた説得力のある内容
特記事項:
- 以下の構成要素を必ず含めること:
1. 生成AIの基礎と最新トレンド
2. 女性エンジニアが直面する現状とチャレンジ
3. 生成AIがもたらす新たな可能性
4. 具体的なアクションプラン7選
- 各統計データには出典を明記すること
- 技術的な内容は初心者にも理解できる平易な表現で説明すること
- 「普段使いの習慣化」を強調するメッセージを織り込むこと
各スライドには以下を含めてください:
- 明確で簡潔なタイトル
- 3-5つの主要ポイント(箇条書き)
- 視覚的要素の提案(図表、イメージなど)
- 発表時の補足説明や注意点
出力形式:
スライド番号、タイトル、内容を明確に区分けし、各スライドの発表目安時間も記載してください。
複数のAIモデルによるスライド生成比較
同じプロンプトを使って、複数のAIモデルでスライド原稿を生成し比較しました。この比較検証は、どのモデルがGamma用の原稿生成に最適かを見極めるために実施しました。
Claude 3.7 Sonnet
Claude 3.7は非常に詳細なスライド構成を生成しました。特徴としては:
- 発表時間を各スライドごとに細かく指定(30秒〜3分単位)
- 視覚的要素の提案が具体的で実用的
- 統計データの出典を明記
- 全体的にバランスの取れた内容構成
- 自己紹介からまとめまで、プレゼンテーションの流れを自然に構成
ChatGPT-4o + Deep Research
このモデルでは:
- 調査機能を活用した信頼性の高い統計データの提供
- 各スライドのタイトルが簡潔で魅力的
- 箇条書きポイントが具体的で説明的
- 引用元のリンクが豊富に含まれる
- 全体的に論理的で説得力のある構成
ChatGPT-o1 + Deep Research
このモデルの特徴:
- マークダウン形式の整理された出力
- スライド枚数を指定通り20枚前後に調整
- 各項目を詳細に掘り下げた説明
- ターゲットオーディエンスに合わせた専門性の調整
- 視覚化提案が各スライドに含まれる
比較結果
3つのモデルを比較した結果、Claude 3.7製の構成を採択しました。
理由は:
- プレゼンテーションの時間配分が明確で実用的
- 視覚的要素の提案が具体的でイメージしやすい
- 内容の論理展開が自然で聴衆を飽きさせない工夫がある
- 統計データと出典のバランスが良い
実際にClaudeで出力された構成↓
どういった画像を生成するべきかも言語化されているためGammaでのアイキャッチ生成も内容と噛み合います
女性エンジニアのための生成AI活用術〜インクルーシブな未来へのアクションプラン〜
スライド1: タイトルスライド (30秒)
タイトル: 女性エンジニアのための生成AI活用術〜インクルーシブな未来へのアクションプラン〜
内容:
発表者名
所属/役職
日付
視覚的要素:
背景に女性エンジニアとAIを表現するグラフィック(抽象的なネットワーク線や回路と人のシルエットの組み合わせ)
タイトルは大きく目立つフォントで中央に配置
補足説明:
自己紹介と簡単な挨拶
本日の講演の意義とゴールを簡潔に伝える
スライド2: 自己紹介 (1分)
タイトル: 自己紹介
内容:
経歴(技術バックグラウンド、キャリアパス)
生成AIとの関わり(いつから、どのように活用しているか)
本テーマに関心を持った理由・動機
視覚的要素:
プロフィール写真(任意)
キャリアの主要なマイルストーンをタイムライン形式で表示
使用している生成AIツールのアイコン
補足説明:
個人的なエピソードを交えると親近感が生まれる
AIに対する最初の印象と現在の考え方の変化を共有すると効果的
スライド3: アジェンダ (30秒)
タイトル: 本日のアジェンダ
内容:
生成AIの基礎と最新トレンド
女性エンジニアが直面する現状とチャレンジ
生成AIがもたらす新たな可能性
具体的なアクションプラン7選
視覚的要素:
各セクションを視覚的に区分したフローチャートまたは道のり図
現在地を示すインジケーター
補足説明:
・・・
ただし、ChatGPTモデルも信頼性の高いデータ引用とリンク提供の点では優れており、特にDeep Research機能を活用した事実確認は価値がありました。
DeepResearchによる正確性の担保
内容はClaudeを採択したものの、AIで生成したスライド内容の信憑性・正確性を別のモデルであるGPT、さらに深くまで調査してもらうためDeepResearch機能を活用してチェックしました。
AIクロスチェックの活用
Claude 3.7 Sonnetで生成したスライドデータを、ChatGPTのDeep Research機能を使って検証しました。このプロセスでは:
- スライドのキャプチャ画像をChatGPTにアップロード
- 統計データや引用情報の正確性を確認
- 最新の情報と照らし合わせて内容を評価
AIによるクロスチェックは、人間だけでは見落としがちな細かい不整合や古い統計データの発見に役立ちました。異なるAIモデルを組み合わせることで、一つのモデルの弱点を補完できることがわかりました。
専門的レビューの依頼
さらに、完成したスライドについては以下の観点からレビューを依頼しました:
- 情報の正当性、正確性: 引用データや統計の正確さ
- 内容の整合性、一貫性: 論理的な流れと矛盾がないか
- ターゲットオーディエンスへの適合性: 20分間の講演に対する情報量と専門性のバランス
- プレゼンテーションの流れ: 論理的な構成と展開
- 視覚的要素の効果: 理解を助ける図表の適切さ
- アクションプランの実用性: 聴衆が実際に取り組める具体的な内容か
このレビュープロセスにより、AIによる生成コンテンツの質が大幅に向上し、より信頼性の高いプレゼンテーション資料となりました。
Gammaの特徴と他ツールとの使い分け
Slidevとの比較
- Slidev: マークダウンで細かく編集できるので、スライドの構造を後から柔軟に変えたい場合に便利。特に開発者向けの技術プレゼンに適しています。
- Gamma: AIを駆使して全スライドをテキストから一気に生成するのが特徴です。視覚的に豊かなスライドを短時間で作成できるため、最初から詳細な内容を決めている場合に効果的です。
Gammaの特徴
メリット
- テキストプロンプトで全スライドを一気に高品質に生成
- 統合された画像生成AIを活用可能
- デザインの自動化で、短時間に美しいスライドが作成可能
デメリット
- AI感が強く、生成された画像が不自然に感じる場合もある
- 統計データに関して生成された画像が正確でないため注意が必要
- AIでページを追加しようとしてもBeta版機能で不安定な場合がある
- AI生成後にレイアウトを自分で調整するのは難しい
- 試行錯誤には課金が必要となる
まとめ
Gammaでプレゼンスライドを作成する際は、事前のプロンプト設計に時間をかけることが最も効率的です。構成、要素、トーンなどを細かく指定し、「詳細」モードで生成することで、編集の手間を大幅に削減できます。
一度生成したスライドのデザインを後から大幅に変更するのは難しいため、最初のプロンプトで方向性をしっかり固めておくことが成功の鍵です。また、生成されたコンテンツは別のAIツールでクロスチェックし、専門的な観点からのレビューを行うことで、より信頼性と効果の高いプレゼンテーションが完成します。
Gammaの強みはテキストから一気に完成度の高いスライドを生み出せる点にあるので、この特性を活かした使い方をすることをおすすめします。ただし、情報の正確性には常に注意を払い、必ず人間の目でも最終確認することを忘れないようにしましょう。
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