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Operator Filter Registryを搭載したNFTスマートコントラクトのOpensea上の挙動について

2023/02/20に公開

はじめに

2023年2月18日、Openseaは大きな変更を発表しました。

https://twitter.com/opensea/status/1626682043655507969?s=20

まだ概要を掴めていない方は、miin氏のこちらの記事を参照することをおすすめします。

https://note.com/miin_nft/n/n2addf288f278

特にクリエイター・フィー(二次流通におけるロイヤリティ)については、様々な議論を呼び、OpenSea vs Blurのような構図はNFTスペースでMemeになるほど話題になっています。

そのクリエイター・フィーの内容とは「オンチェーンでの施行のないすべてのコレクションについて、クリエイターの任意収益(最低0.5%)に移行する」という内容でした。

「オンチェーンでの施行」とはOpenseaが開発している「Operator Filter Registry(以下、「Operator Filter」とする)の搭載」を指しています。

NFTコレクションを運営する方々にとっては、大きな変更だったこともあり、一部困惑がありました。

NFTブルーチップを含む比較的古いコレクションは、スマートコントラクトをアップデートすることが困難なため、この対応に最も不利な状況にあるのではないかとCygaar氏は発言しています。
https://twitter.com/0xCygaar/status/1626690727328776192?s=20

さて、今回は視覚的にクリエイター・フィーについてどんな変更点があったのかを確認していきたいと思います。

具体的に、テストネット(Goerli)のOpensea上でOperator Filterを搭載した場合と搭載しなかった場合で何が違うのかを実際に試してみました。

前提知識

下記を前提に記述します。

  • テストネット(Goerli)に触れたことがある
  • Openseaに触れたことがある
  • Openseaでトレードしたことがある
  • Openseaでクリエイター収益を設定したことがある
  • operator-filter-registryを何となく知っている

実装

細かい実装方法については、Openseaのoperator-filter-registryに書いてありますので参照してください。

https://github.com/ProjectOpenSea/operator-filter-registry

Operator Filterを搭載しない場合

クリエイター側

クリエイター側のEdit collection>Creator earningsでクリエイター・フィーを設定する画面は下記のようになります。

Creator earnings will be optional for this collection on OpenSea
You can set suggested creator earnings but they will be optional for sellers. Learn more about how to enforce creator earnings.

Operator Filterを搭載しない場合でも、しっかりクリエイター・フィーを設定できるようになっていました

売り手側

売り手側のリストする画面はこのようになります。

Creator earnings are optional for this collection. You can give them between 0.50% to 5.00% of your sale

Creator earningsを上書きできるようになりました。最初はクリエイター側で設定したクリエイター・フィーが表示されますが、任意に0.5%まで下げることができます

もはや数値に意味がなくなってしまいました。クリエイター側はオフチェーン上で10%に設定してもいいかもしれませんね。

Operator Filterを搭載した場合

クリエイター側

クリエイター側のEdit collection>Creator earningsでクリエイター・フィーを設定する画面は下記のようになります。

Creator earnings will be enforced for this collection on OpenSea
Earn a percentage of the sale price every time one of your items is re-sold using OpenSea. Adding multiple addresses may increase gas fees for buyers.

ここで設定したクリエイター・フィーを全額貰えるようになりました。オンチェーンで強制することができているみたいですね。

売り手側

売り手側のリストする画面はこのようになります。

Creator earningsは売り手側で上書きできず、5%固定になりました

結論

この変更以前までは、Operator Filterを搭載していない場合、クリエイター・フィーすら設定することができませんでしたが、今回の変更でOperator Filterを搭載しない場合でもクリエイター・フィーの設定ができるようになりました

しかし、売り手側によって最低0.5%から最大クリエイター・フィーで設定した率まで任意に選択できてしまいます

これを回避したい場合、つまり、Opensea上で設定したクリエイター・フィーを全額受け取りたい場合は、Operator Filterを搭載する必要があります

以上が結論になります。

まとめ

Openseaが発表したツイートの説明を読むだけでは理解できない点が所々あったので、どういうことなのかをテストネット上で試してみました。ビジュアルで確認できるとスッと入ってきますね。

この方針については、今後も変更される可能性が非常に高いので、常にOpenseaの公式Twitterを見てください。

なお、今回記載した内容はBlurについては言及していません。Opensea上の挙動についてのみ見てきました。

実際に今後メインネット上でNFTのスマートコントラクトをデプロイする際は、Operator Filterの必要性をBlurやその他のNFTマーケットプレイスの方針と合わせて慎重に決定していくことが求められると思います。

いずれにせよ、これからNFTスペースが良い方向に前進していくことを願っています。

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