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BrackeysGameJamの紹介

2023/03/05に公開

1. はじめに

BrackeysGameJamとは、Brackeysさんが主催されている海外のゲームジャムです。
https://itch.io/jam/brackeys-9

主催者のBrackeysさんはYouTubeにUnity動画をたくさんアップしていることでも有名ですね。
https://www.youtube.com/Brackeys

今回の2023.1で自分も初めて参加しました。
とても賑わっている素敵なイベントの割に日本人の参加が少なく、日本語の記事もほとんどなかったため、紹介記事を書くことで少しでも広まれば良いなあと思っています!

2. BrackeysGameJamの概要

BrackeysGameJamは1週間(遅刻投稿不可) の制作期間の中で、テーマに沿ったゲームを作るイベントです。
2023.1では750作品が投稿されましたが、多い時には1800作品ほど投稿されることもあるようです。

公序良俗に反するもの(NSFW)や攻撃的/差別的な内容を含むゲームは禁止というルールは当然ありますが、それ以外はかなり自由です。
ゲームエンジンやアセットの利用は(もちろんライセンスの範囲内で)自由ですし、チームでの参加も可能でむしろ推奨されています。
WebGL/Windows/Macのいずれかの形式で制作し、itch.io で公開します。

制作期間の後に2週間の評価期間があり、参加者同士でプレイして評価を行います。

3. 事前準備

制作期間が始まる前に、以下のことを行っておくと良さそうです。(制作期間中でも問題はないです)

itch.ioのアカウント登録

制作したゲームの公開や評価は itch.io 上で行います。
BrackeysGameJamの参加にはitch.ioアカウントを持っていることが必須なので、持っていない方は事前に登録しておきましょう。

公式Discordコミュニティへの参加

BrackeysGameJamのDiscordコミュニティがあります。ゲームジャムのトップページにリンクが記載されているので、ぜひ参加しましょう!お祭り気分を味わうことができると思います。(参加必須ではなかった気がします)

コミュニティ内ではチーム募集、開発相談、投稿したゲームの宣伝、雑談などをすることができます。ただしコミュニティ内の公用語は英語です。自分は英語苦手なので、投稿したゲームの宣伝だけしました。
技術周りのニュースが流れてくるチャンネルなどもあるので、ゲームジャム期間外でも結構有益かもしれません。

チームメンバー募集

BrackeysGameJamはチームでの参加も可能です。むしろ推奨されています。
自分は一人で参加しましたが、チームを組んで参加する場合は事前に決めておくとスムーズかと思います。知り合いと組んだり、Discord内で募集したりしましょう。

4. 制作期間開始

テーマについて

トップページやTwitter、Discordでテーマが発表され、1週間の制作期間が始まります。
https://twitter.com/BrackeysTweet/status/1624725296841621505

自分は制作期間が始まった後に参加したのですが、テーマは事前にDiscord上で投票によって決められるようです。

過去のテーマをいくつか掲載しておきます。

  • AN END is a new BEGINNING(終わりは新たな始まり) - 2023.1
  • You're not ALONE(ひとりじゃない) - 2022.2
  • IT IS NOT REAL(本物ではない) - 2022.1
  • LET THERE BE CHAOS(カオスにしよう) - 2021.2
  • STRONGER TOGETHER(一緒に強くなる) - 2021.1

後述する評価軸にもテーマの項目があったり、提出時に「どのようにテーマを実現したか」の記載が求められたりと、テーマを重視している雰囲気を感じました。

企画について

公序良俗に反するもの(NSFW)や攻撃的/差別的な内容を含むゲームは禁止というルールは当然ありますが、それ以外は特に縛りはありません。テーマに沿った企画をしましょう。
Twitterのハッシュタグ #BrackeysGameJam で他の参加者の状況をチェックすることもできます。

制作方法について

ゲームエンジンやアセットの利用は(もちろんライセンスの範囲内で)自由です。
自分は普段使っているUnityを使い、アセットはサウンドのみサードパーティ製のものを利用しました。

最終的に以下のいずれか、または両方が満たされれば何でもOKです。

  1. WebGL形式でビルドしたものをアップロードして、参加者がブラウザ上で遊べるようにする
  2. .exeなどをアップロードして、参加者が各自でダウンロードして遊べるようにする

自分はUnityでWebGLビルドしたものをアップロードしました。
やはりブラウザ上ですぐに遊べる1の方が多く遊ばれている印象です。2の場合は.exeしか用意されていないとMacOSユーザが遊べなかったりするので、その辺も注意が必要です。

特に理由がなければWebGLで良い気がします。が、ゲームによって結構バラバラなようです。1と2の両方用意することもできます。

評価軸について

評価軸は以下の6軸になっています。

  • GameDesign(ゲームデザイン)
  • Fun(楽しさ)
  • Innovation(革新性)
  • Theme(テーマ)
  • Graphics(グラフィック)
  • Audio(オーディオ)

制作期間後の評価期間ではこの6軸に沿って評価するため、高評価を狙いたい方は意識して企画/制作すると良さそうです。
トップページには「無理に全部満たそうとしなくても良いよ!テーマに合うこととクリエイティブであることを目指して楽しもう!」と書かれています。

5. 制作期間終盤

ゲームのアップロードと設定

itch.ioに公開する方法についてはググれば解説記事が出てくるので、詳細は割愛します。
Unity×WebGLの方は、WebGLビルドしたものをzip化してアップロードすることで公開することができます。めちゃくちゃ簡単でした。
1つ注意点としては、Unity×WebGLの場合ProjectSettingsのCompressionFormatをGzipにしておかないとエラーになる場合があります。(unityroomと同様です→unityroomのヘルプ

タイトルや説明文、サムネイル、動画、スクリーンショットなども設定します。文章は癖で日本語で書かないように気をつけましょう。

多くの項目は制作期間後でも編集することが可能そうですが、ゲームファイルのアップロードだけは制作期間を1秒でも過ぎると無効になってしまうので要注意です。

(一応アップロードのトラブル時のみ、申請が通れば1時間だけ許してくれるっぽいです。詳しくはDiscord内で検索してみてください)

公開範囲とアクセス

  • 非公開: 投稿者のみが閲覧可能
  • 限定公開: 投稿者と許可した人のみが閲覧可能
  • 公開: 誰でも閲覧可能
    の3種類を設定できます。公式ドキュメントは(こちら

非公開

デフォルトの状態です。投稿者は非公開状態でも実際にゲームページを開いたりプレイしたりできるので、特にWebGLで埋め込む人は早い段階で一度アップロードして動作確認しましょう。

限定公開

投稿者が承認した人もページを閲覧できるようになります。itch.ioのアカウント単位で承認するので、テストプレイをしてもらう際などにはデフォルトの方法だと少し面倒です。
パスワードを設定しておくと、itch.ioのアカウントを承認していなくてもパスワードを入力すれば閲覧できるようになります。さらに、ゲームページのURL末尾に ?password=xxxxxx をつけることで、いちいちパスワードを入力しなくても閲覧できるようになります。(そのパスワード付きURLを知っている人なら誰でも閲覧できるようになります)
テストプレイを依頼する際には https://yuji-ap.itch.io/make-new-way?password=xxxxxx のような形でリンク共有するのが良さそうです。

公開

誰でも閲覧できるようになります。
BrackeysGameJamでは締切前に公開してしまっても問題ないようです。
後述するゲームジャムの参加登録が済んでいれば、締め切り後に勝手に公開になるのでしょうか...?ここら辺の仕組みは把握できていません。

自分は締め切りの30分前ぐらいに公開しました。

ゲームジャムへの登録

BrackeysGameJamに参加するためには、itch.ioにゲームをアップロードするだけでなく、ゲームジャムへの参加登録をする必要があります。
ゲームジャムのトップページに参加登録ボタンを押すと以下のようなフォームが開きます。

Existing project
itch.ioに作成済みのプロジェクトの中から、ゲームジャム参加作品を選びます。

How does your game fit the theme?
作ったゲームが今回のテーマに沿っていることを説明します。

Did you write all the code and made all the assets from scratch?
アセットなどの使用有無について記入します。

Create new project
まだitch.ioにプロジェクトを作成していない場合は、ここからアップロードできるはずです。

登録をした後でも制作期間内であれば、変わらずゲームをアップロードすることができます。
上記の質問に答えられる段階になったら、忘れないうちに登録してしまうのが良いかもしれません。

ゲームページのカスタマイズ

itch.ioではゲームページを細かくカスタマイズすることができます。

例えば自分はこんな感じのページにしました。

https://yuji-ap.itch.io/make-new-way
画像、背景色、文字色、フォントなど結構自由度高くカスタマイズできて楽しかったです。

自分のゲームページを開いている時の上部にある「Edit theme」から編集することができます。

ゲームページのクオリティは評価対象ではありませんが、どうしても簡素なページのゲームよりも凝ったページのゲームの方がクオリティ高く感じてしまいそうなので、ある程度注力しておくと良いかもと思っています。
一応ゲームページの見た目については制作期間が終わっても編集できるようです。

個人的に良いなあと思ったゲームページをいくつか貼っておきます。
https://mastermagpie.itch.io/nightwatch
https://rubic.itch.io/cairn
https://pixelmug.itch.io/robots
https://ascpixi.itch.io/alter-ego

6. 制作期間終了 / 評価期間開始

制作完了と宣伝

大事なことなので何度も言っていますが、制作期間を1秒でも過ぎるとゲームをアップロードできなくなるので要注意です。

制作期間が終了したら、自分のゲームが公開されていることを確認して、TwitterやDiscordで宣伝しましょう。自分は #BrackeysGameJam をつけた上で英語でツイートして、そのリプで日本語によるツイートもしました。外国の方からいいねやフォローをもらうこともあったので、英語ツイートはあった方が良いかもしれません。
Discordの方もとても盛り上がっていました!

ゲームプレイ

ゲームジャムのトップページから参加作品一覧ページに飛べます。
参加作品一覧ページの左側で絞り込みやソートができます。(自分はブラウザで遊べるゲームに絞ってプレイ&評価していました)

サムネイルをクリックすると、まず参加ページに飛べます。

参加ページではサムネイルやスクリーンショットのほか、参加登録時に記入した「どのようにテーマに沿っているか」「アセットを使ったか」を確認することができます。
「XXXのitch.ioページ↗︎」をクリックするとゲームページに飛びます。

WebGLゲームであればゲームページ上でプレイでき、ダウンロードゲームであればダウンロードボタンが表示されます。操作説明等もこのページに書いてあるので、参考にしつつ実際に遊んでみましょう!

評価

ゲームを遊んだら評価をしましょう。評価できる期間は制作期間終了から2週間です。
ゲームページの上部に「参加ページを表示」ボタンがあるので、ここをクリックして参加ページに戻ります。

評価軸に沿って、五段階で評価します。

ちなみに評価はゲームジャム参加者のみ可能なようです。

また、評価が20件以上ないとランキングの対象にはならないとのこと。
参加作品一覧ページの上部に評価の必要な作品一覧リンクがあるので、目的のゲームがない場合はこちらをプレイすると開発者が喜びそうです。

コメント

参加ページでコメントも残せます。

コメントをすると、自分が投稿したゲームのサムネイルとリンクも一緒に表示されます。
自分のゲームを遊んでもらう大きなきっかけにもなるので、積極的にコメントしていきたいところです。

ゲームページでもコメントは残せるのですが、自分の投稿ゲームは表示されません。そのため参加ページにコメントするのが良さそうです。

7. 評価期間終了 / 結果発表

評価期間が終わると、参加ページに総合と各軸の順位&スコアが表示されます。(ありがたいことに1位をいただけました!)
評価の比率なんかも見ることができます。

「元スコア」 というのが実際に評価として入力されたスコアの平均で、評価数が少なかったりするとゲームジャム全体の中央値で補正されて 「スコア」 となるようです。

他にもゲームジャムトップページ「結果を見る」リンクや「結果」タブから、総合や各軸のランキングが確認できます。

8. 振り返り

Unity1週間ゲームジャムなどの国内ゲームジャムと比べて、あくまで自分視点ですが良かった点/イマイチだった点をまとめておきます。

良かった点

  • 海外のハイクオリティなゲームが遊べる
    • もちろん国内のクオリティが低いという意味ではないですが、当然海外にも凄い人がたくさんいました
    • 言語化できてないですが「海外のゲーム感」があって、良い刺激になりました
  • テーマが具体的で面白い
    • テーマが具体的かつ文章なので、単語のテーマとはまた違った面白さがありました
  • Twitterで外国人の方のフォロワーが10人ぐらい増えた
    • ゲームジャム外でも海外への発信力が高まるかも
  • 実践的な英語の勉強がちょっとできる
    • フランクに誉める/お礼を言うなどのパターンが少し掴めた気がします
  • 遅刻投稿不可なので、だらだらと作り続けることがない
    • 予定も組みやすいですし、1週間で完成させる練習になります

イマイチだった点

  • 英語の読み書きが必要
    • もちろん翻訳ツールを使っていましたが...
    • ゲーム内文章/ゲーム説明/コメントの読み書きが大変でした(ゲーム内文章は大体飛ばした)
  • 盛り上がりきれない
    • 周りに参加している日本人が少ないので、国内での盛り上がっている感は現状ないです
    • Discord内は盛り上がっていましたが、英語なので自分は参加しづらかったです
  • 遅刻投稿不可なので、思う存分作り続けられない&忙しい場合は工夫が必要
    • 必ずしも満足のいく出来で出せるとは限らないので、デメリットでもあると思います
    • 仕事などで忙しい場合は、何とか時間を捻出したり作るもののボリュームを工夫したり

9. まとめ

言語の壁はありますが、とても素敵なゲームジャムで楽しかったです。
次回は今年(2023年)の8月ということなので、ぜひ参加してみてください!
自分もまた都合が合えば参加したいなあと思っています。

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