我が家のスマートホーム事情
これは、U-NEXT Advent Calendar 2024 6日目の記事です。
U-NEXT でフロントエンドエンジニアとして働いている uka です。
U-NEXT Advent Calendar 2024 は U-NEXT のメンバーが、それぞれの得意分野や興味あるトピックについて記事を投稿します。
はじめに
みなさんはスマートホームってご存じでしょうか?
ここ数年で、スマートホームについての話題がどんどん増えてきましたよね。Amazon、Apple、Googleなど、大手から中小のメーカーまで、いろいろIoT家電やスマートスピーカーを出しています。
でも、スマートホームって本当に「スマート」で便利なんでしょうか?何をもって「スマートホーム」と言えるんでしょう?
今回は、私がこれまで体験してきたスマートホームについての経験や感想ついてお話ししたいと思います!
一人暮らし時代
初めてのIoT家電
スマートホームに初めて触れたのは、2016年に日本で一人暮らしを始めたときです。当時住んでいたのは広くない 1R の部屋で、特に生活に不便を感じることはありませんでした。
それでも、当時はまだあまり普及していなかったスマートホームに対して、なぜか不思議な憧れを抱いていました。また、その頃の研究分野が HCI(Human–Computer Interaction)だったこともあり、何か面白いことを試してみたいという気持ちが強く、IoT 家電に手を出してみました。
そこで、限られた製品の中から発売したばかりのこれを選びました。
なぜかというと、単純に「世界初!」というフレーズに惹かれただけです。😅毎朝カーテンが自動で開いて、太陽の光で目覚めるなんて、なんて素晴らしいことでしょう!(小並感)
わくわくしながら速攻2つを注文しました。
届いてすぐにカーテンレールに取り付け、アプリをインストールしてタイマーを設定しました。
そして、その翌日の朝に時間通りに目が覚めました!
でも、私を起こしたのは朝の日差しじゃなくて、あれのモーター音でした。ちょっとうるさかったんです。(まあ、iPhone のアラームほどじゃないけど ⏰)
毎日学校に行かなきゃいけなかったので、不安定な「太陽アラーム」に頼る勇気はありませんでした。結局、毎朝私を叩き起こすのは相変わらずあのイライラするiPhoneのアラームでした。
スマホでカーテンを開け閉めできるのは確かに面白かったですが、「便利」と言うには少し微妙で、「スマート」と呼ぶにはまだまだ遠い感じでした。結局、ただのIoT家電でしたね。
結局、1年ほどでヤフオクで売ってしまいました。😅
IR ユニバーサルリモコンで操作
スマートカーテンの経験を経て、「良いスマートホームとは何だろう?」を考え始めました。スマホで操作できる家電は「IoT 家電」と呼べるかもしれませんが、スマートホームとは、ユーザーの悩みを解決し、本当に便利な体験を提供するものだと思うのです。
その時期に最も私を悩ませていたのは、どこにいったかわからないリモコンと、寝る前に暖かい布団から出て電気を消す面倒くささです。
賃貸の物件だったため、照明を自由に交換することはできませんので、しばらく調査をした結果、スマート IR ユニバーサルリモコンを見つけました。
Broadlink RM mini3
Broadlink の製品の方が遙かに安いですが、技適マークを取得した eRemote mini の方を購入しました。
中国の家に使ってた Broadlink RM たち
Broadlink RM4c mini
集合写真
RM4 Pro も使ってたけど、紛失したみたいで、見つからなかった。
IR ユニバーサルリモコンは既存のリモコンが送信する赤外線コードを学習し、シミュレートして家電製品を制御するためのものです。ネットワークに接続できるため、アプリからコントロールできます。
最近数年は 「SwitchBot ハブ」や「Nature Remo」が有名です。
当時買った物は現在の製品のように膨大なリモコンデータベースから適合する IR コードを見つけるのではなく、自分で1つずつボタンの IR コードを学習しないといけないタイプです。
このようにして、我が家の照明を制御し、ついでにテレビとエアコンも操作できるようになりました。これで寒い冬に暖かい布団から離れることなく、リモコンを探したり、遠く離れた壁のスイッチを押したりする必要がなくなりました!スマートホーム万歳!
照明とテレビの操作は非常に簡単で、基本的にはオン/オフの2つのコードだけです。(照明の色や明るさを調整するのはあまり頻繁に行わない操作ですし、テレビを見ているときも、だいたいテレビの前に座るので、リモコンが手元に置いてあります)
中でも一番面倒だったのは、エアコンの操作です。エアコンのオン/オフや温度調整は、単純な【オン/オフ】や【温度を上げる/下げる】の指示だけではなく、温度、動作モード、風量など、エアコンの状態を表す長いコードが必要です。そのため、冷房/暖房、各温度、各風量の組み合わせに対して数十種類のコードを学習しないといけないです。(だって、ベッドに横たわってリモコンが手元にないときでも、温度や風量を調整できるようにしたいですね)
実は2017年に Nature Remo が発売された
見た目はとても良さそうですが、学生の私にとって13,000円はやっぱり少し高かったです。
IFTTT でオートメーション
スマートフォンで家電を操作するのは便利ですが、毎回スマホを取り出して特定のアプリを開かないといけないのは少し面倒です(さらに、照明のコントロールにはもう1つ致命的な欠点もありますが、それについては後で詳しく説明します)。
そのため、私は IFTTT というアプリについても調べてみました。
様々なアプリやサービスを連携させ、条件に応じたオートメーションを実現するサービスです。
現在の iOS の「ショートカット」(統合前は「Workflow」と呼ばれていたもの)と似てるようなものです。
こうして、外出時にテレビやエアコンを自動でオフにし、夜帰宅した際に照明を自動でオンにするシンプルなオートメーションを実現しました。
そして、iOS のホーム画面にショートカットを追加し、ワンタッチで照明のオン・オフができるようになりました!
Amazon Echo・Alexa が日本上陸
スマホで家電を操作できるようになった時、「これで十分便利だ」と思っていました。でも、便利さへの欲求は増えるものです。スマホを取り出して家電を操作するのも、どこか物足りなさを感じました。
そこで、次に目をつけたのが音声アシスタントでした。ただ、当時の Siri はあまり使い勝手が良くなく、家電を Siri でコントロールするのはなかなか難しかったんです。
そして時は流れ、2017年末。ついに Amazon Echo と Alexa が日本へ上陸しました。
招待制ではあったものの、何とかして Amazon Echo Dot を手に入れました。そして、いろいろと工夫した結果、IFTTT を経由して家の電気のオン・オフを音声で操作することに成功しました。
Unsplash の Andres Urena が撮影した写真
初めて「Alexa、電気をつけて」と言って、ライトがパッとついた瞬間、ちょっと感動したのを覚えています。
スマートスピーカーの先駆者として、当時の Amazon Echo は機能こそ多くはありませんでしたが、音声操作でスマートホームをコントロールするという基本的なニーズをしっかり満たしてくれました。
とはいえ、あれから何年も経った今でも、私が Alexa に一番よく聞くのは「今日の天気は?」です😅。
他に使ってた Amazon Echo たち
Amazon Echo Plus 第1世代(スマートホームハブ内蔵)
Philips Hue に対応できるハブを内蔵しているので購入しました。
Philips Hue との連携が素晴らしいですが、Philips Hue は電球がメインなので、使う道が少ない。
フリマアプリで出品したときに撮った写真
Amazon Echo Show 5 第1世代
5インチディスプレイが付く Amazon Echo Show 5 がちょうど良いサイズとデザインで発売時に購入しました。
我が家の今は Alexa 離れですが、時計としてまだ活躍しています。時々天気情報も聞いてます。
飾りとして活躍している Amazon Echo Show 5
マイホーム時代
結婚を機に、夢だったマイホームを購入しました。部屋も家電も増えたので、ついに自分の理想のスマートホームを本格的に実現できる!とワクワクしていました。
まずは、以前の構成をそのままコピーして、ほぼすべての部屋に IR ユニバーサルリモコンと Amazon Echo を設置。これで以前と同じような機能をひとまず再現することができました。
Homekit への憧れ、そして Home assistant との出会い
以前の構成でも特に大きな問題はなかったのですが、HomeKit のネイティブな操作感にはずっと憧れていました。コントロールセンターや Siri から家電を操作できるなんて、Apple 好きの私にとってはたまらない魅力です。
ただし、HomeKit 対応の製品は種類が少なくて、しかも高いんです!(もちろん、「高い」のは製品のせいではなく、私の問題です😇)
そこで、さらに色々と調べた結果、見つけたのが Home Assistant というソフトウェアでした。これなら、プラグイン形式でさまざまなデバイスを Home Assistant に接続でき、さらに別のプラグインを使って HomeKit にも連携できるのです。
さらに、Home Assistant を導入することで、だんだん使いにくくなってきた IFTTT を手放し、Home Assistant 内でオートメーションを設定できるようになりました。
自分でスクリプトを書いたり、他の人が作ったプラグインを使ったりして、より高度なオートメーションも実現できます。もう感動モノです!
そこで、私はラズパイ(Raspberry Pi)に Home Assistant をインストールし、すべてのデバイスを登録しました。そしてついに、HomeKit から自宅の家電をコントロールできるようになったのです!
今の Home の一部・iOS18 からコントロールセンターが自由になり、だいたいの操作はここで済む
センサー類導入
Home Assistantのおかげで、選べるデバイスの幅が一気に広がりました。ただ、日本では購入できるスマートホームデバイスがそれほど多くありません。例えば、今では人気のあるSwitchBotなども、だいたい2020年以降に発売されたものです。
Xiaomi Mi Home 製品の購入も検討しましたが、日本では正式に販売されておらず、技適マークを取得していないため、国内では正規の使用が推奨されていません。
最終的には少し高めですが、技適マークを取得している Aqara 製品を選びました。(Aqara は、Xiaomi が海外向けに展開している子ブランドです)
ネットワーク接続に必要な Zigbee 対応のゲームウェイ(ハブ)を購入し、それに加えて温湿度センサー、モーションセンサー、ドア・ウィンドウセンサー、スマートプラグなどを揃えました。
今使ってる Aqara Hub M2 と 3D プリンターに入れてる温湿度センサー
こうして、Home Assistantを中心に、簡単なスマートホームシステムを構築しました。実現した主な機能は:
- 外出時に照明とエアコンを自動でオフにし、1階の窓が閉まっていない場合は通知でお知らせします。
- 帰宅時に照明を自動でオンにします。
- 室温に応じてエアコンを自動でオン・オフ・温度調整します。
- テレビと間接照明を連動してオン・オフします。
- 一定時間に人間を感知できなかったら照明を消す
などなど
日没になると間接照明とテレビが連動でオン・オフ
こうして、少しずつ自分の理想のスマートホームが形になってきました。
さよなら Alexa、おかえり Siri
プラットフォームを HomeKit に移行したことで、Amazon Echo の立場が微妙になってしまいました。もし Amazon Echo を使い続けるなら、設定を Amazon Echo にも同期させる必要があり、少し面倒になってきたのです。
ちょうどそのタイミングで、初代 HomePod が発売されました。音質が良い Apple 版の Amazon Echo です!
ディスプレイ付き HomePod はいつ出るのかな
私は迷うことなく Alexa を手放し、Siri の世界へ乗り換えました。
入手したときの写真
ますます感じる不便さと対策
照明がつかない!
照明が遠隔操作できるようになったとはいえ、コンセントで給電するデスクライト以外の照明には、前に話した致命的な弱点があります。
これ
物理的に電気を無効化できるスマートホームの難関ー壁スイッチ
そう、壁スイッチです。
赤外線リモコンで操作する場合でも、Philips Hue のようなスマートライトを使う場合でも、操作するために一番重要な条件は電源が入っていることです。
壁スイッチで照明の電源を切ってしまったら、どんなに精巧なコントロールも全て無効になります。だって、電気が来ていないんですから!
一人暮らしのときはまだ良かったんです。壁スイッチを使わないように意識すれば済みましたから。(今思えば、こうした制限のために生活習慣を変えるのは、スマートホームの「ベストプラクティス」とは言えません。)
しかし、妻と一緒に暮らし始めてから、状況は少し変わりました。彼女は、時々近くにある壁スイッチで照明を消す方を好むのです。当然、それが正しい行動ですよね。わざわざ遠回りする必要なんてありません。個人として、他人の生活習慣を変えるべきではないし、変えようとしてはいけないと思います。
その結果、照明がしょっちゅう遠隔操作できなくなるという事態が発生しました。
そこで、もっと良い方法で照明をコントロールできないかと考え始めました。壁スイッチが電源を切ってしまうなら、その壁スイッチ自体に手を加えるのが良いのでは? と思ったのです。
1年ほど、断続的に解決策を探し続けた結果、ついに「これは良さそうだ!」と思えるソリューションに出会いました。
Sonoff MINI R2
最新の物はMatterにも対応
SwitchBot からも出るらしいですが、まだ発売されていない
それは、壁スイッチと家の電気回路の間に接続する、ネットワーク対応のリレースイッチです。このリレーを使えば、IR を介さずに直接照明を制御でき、さらに壁スイッチの状態を同期することも可能です。
家の電気回路に直接接続されているため、壁スイッチで照明の電源を切った状態でも、遠隔でライトを点けることができるのです。
さらに、スイッチに接続するため、既存の照明器具をそのまま使用でき、交換する必要がありません。
まさに完璧な解決策です。
こんな感じになります:
アプリからも壁スイッチからも操作&同期する、ほぼ自分の理想の形
唯一の問題点は設置が簡単ではないことです。
このリレースイッチは、正常に動作させるために電気回路に接続する必要があり、設置には「電圧線」と「中性線」の両方が必要です。しかし、多くの照明スイッチは電圧線しか配線されていないことが多いのです。
さらに、日本によく使われるスイッチボックスが非常に小さいため、配線作業がかなり大変です。実際、こんな感じで配線がぎゅうぎゅうに詰まってしまうこともあります。
なによりこれは電気工事に該当するため、資格を持つ電気工事士でなければ設置できません。
リレースイッチ自体は安価ですが、設置コストが高いため、頻繁に使用し、遠隔・自動操作が必要な場所にのみこのスイッチを設置しました。
例えば、以下の写真のように、我が家の玄関照明のスイッチは、LDK のドアや玄関ドアからかなり離れた位置にあり、毎回暗闇の中でスイッチを探す必要がありました。
デザイン性を損なうことなく普通のセンサーライトに交換するのも避けたかったため、このリレースイッチを設置しました。
間取りイメージ
そこで、モーションセンサーを併設して、動体を検出したら自動的に照明がつくようになりました。
さらに、出かける前に手動で消灯する必要もありません。設定した時間が経過するか、人間を感知できなくなったら照明は自動的に消えるようになっています。
これで照明の課題がほぼ解決されました!
エアコンの状態が分からない
ペットを飼っている家庭にとって、温度管理は非常に重要です。特に我が家では、寒さにも暑さにも弱いフレンチブルドッグを飼っているため、気を使っています。夏は常に室内の温度をチェックし、熱中症を防ぐ必要があります。
以前のソリューションでは、確かにエアコンの温度を遠隔で調整できましたが、ひとつ問題がありました。それは、IR ユニバーサルリモコンは信号を送信するだけで、エアコンの状態をリアルタイムで検知できないという点です。
そのため、もしエアコンのリモコンで温度を調整したり、エアコンをオフにした場合、その変更がアプリに反映されません。結果として、うっかりリモコンでエアコンをオフにしてしまった場合でも、アプリ上ではエアコンがまだ冷房モードのままになり、室温が設定温度を超えても自動でエアコンがオンにならないのです。
それほど大きい問題ではありませんが、やはり少し不便に感じていました。
そんな中、ある日Kickstarterでこの問題を解決できそうなプロジェクトを見つけました。
赤外線信号をリアルタイムで検知し、該当信号を受信するとエアコンの状態を即座に同期してくれます。しかも、ネイティブでHomeKitに対応しています!
速攻このプロジェクトを参加し、1年間ほど待ってついに手に入れました。
ほぼ忘れた時に届いた LOOKin Remote2
うん!数秒間ラグあるけど思った通りに同期させる!これでエアコンの問題も解決!
ちょっと長かったため、GIFに収まらず動画にました
Matter 爆誕と Home assistant 離れ
数年前までは、各メーカーのスマートホーム製品がそれぞれ独自のシステムで動いており、互換性がほとんどありませんでした。異なるメーカーの製品を使うには、それぞれ専用のアプリで設定や管理を行う必要があり、スマートホームの導入が非常に面倒に感じられました。
しかし、2022年にMatterが正式にリリースされてから、状況は大きく変わりました。Matterに対応していれば、好きなアプリでデバイスをコントロールできるようになったのです。
これで Matter に対応するすべてのデバイスを HomeKit に連携できるようになりました!
現在はまだ Matter 対応の製品はそれほど多くありませんが、今後どんどん増えていくと信じています。私も少しずつ、古い製品を Matter 対応のものに置き換え始めました。
- Broadklink → SwitchBot/Nature Remo nano
- Aqara Hub M1S -> Aqara Hub M2
HomeKit にネイティブで接続できるようになったことで、Home Assistant の重要性も少し薄れてきました。現在は、Matter に対応していない一部の製品のみを Home Assistant 経由で HomeKit に接続しています。
(とはいえ、何度もアップデートがあったものの、HomeKit のオートメーション機能はまだ少し弱いと感じています。そのため、複雑なオートメーションはまだ Home Assistant 上に行ってます。)
さいごに
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!
たくさん書きましたが、記事の都合上、まだ触れていない話題もたくさんあります。例えば、家庭用防犯カメラの選び方や、スマートロックを導入しなかった理由などです。
スマートホーム製品や、我が家のスマートホームソリューションも日々進化しています。また機会があれば、次の記事で詳しくお話ししたいと思います。来年、またお会いしましょう!
明日の記事は、Steven Berkowitz さんの 「I made a Camera Extension」 です。きっと面白い内容になると思いますので、どうぞお楽しみに!
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