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#2「〜の冗長化」で見ていくインフラ構成のおさらい(電源、電源系統)

2024/06/13に公開

はじめに

(少し前まで)オンプレでエンプラなインフラのエンジニアによる、複雑なインフラ構成を「〜の冗長化」って観点で順を追っておさらいしていくための記事Part2です。
想定としては、インフラ構成としてWEBページを配信するシステム構築を例に、データセンターにOS・ソフトウェアを設定した筐体一台からスタートし、「〜の冗長化」って観点で筐体やOS等が増え、なんやかんやで仮想基盤が出てきて、最終的にパブリッククラウドだとこうなる!を一つずつ説明していきます。
今回はかなり低レイヤーで単発で見るとITと呼べないかもしれませんが、オンプレでは大切な観点である以下2点について書いていきます。

  • 電源系統の冗長化
  • 電源の冗長化

記事の目的

  • インフラに興味ある学生に対して、少しでも興味関心や理解向上の一助
  • パブリッククラウド(AWS、GCP、Azure等)のみを触ってきた方々への、オンプレの説明
  • 現在もしくは過去にオンプレ触ってきた偉大な方々に、ノスタルジーに浸ってもらったりご指摘や昔話を聞きたい

前回のおさらい

以下スタート構成での単一障害点を表している赤いマークを、「〜の冗長化」を満たしていくことで消していきます。

今回の最終構成

まずは今回の記事で電源と電源系統を冗長化すると構成がどう変わるかを図で書いておきます。左がスタート構成、右が今回の記事での最終形となります。電源部分の赤丸がなくなっている箇所が今回変更した点ですので次からはこの点を見ていきます。

電源の冗長化

順を追って説明するためにまずは電源の冗長化について書いていきます。
皆さんも学校や個人のデスクトップPCを見たり触ったりしたことあると思いますが、基本的に機器側の電源コネクターは1つで、そこに電源ケーブルを接続し、ケーブルをコンセントに刺してると思います。日常で見る電化製品は基本的に上記のようになってると思いますが、データセンターに設置するようなサーバ筐体やネットワーク機器がこの構造だと、電源ケーブルが緩んだり誤って抜かれたりするとシステムが停止してしまう=単一障害点となります。
ではどうするかというと、これは機器側で対策がされていて、エンタープライズ向けの機器には電源コネクターが2つ以上備え付けられています。製品の例を出すとサーバ筐体だと富士通製のSPARK、NW機器だとCiscoのNexus等があり、片方の電源が落ちたとしても問題ない構造になっております。(製品名で調べてみたら電源部分も写真で見れて分かりやすいと思います!)ちなみに私は、単純に電源コネクターを複数にしただけかなーと思ってましたが、調べてみると2つ電源コネクターがある場合、通常時は片方から電源が半分ずつ出力されており、どちらか抜けた場合は1つの電源コネクターで全ての電源を担う仕組みになっているようです。細かいところを書くとインフラ構成の範疇を超えるので一旦ここまでにしますが、物理レイヤーの技術は奥が深そうです。

電源系統の冗長化

電源が2つ以上あれば単一障害点なくて問題なし!と言いたいところですが本当にそうでしょうか?家庭用冷蔵庫で考えてみてください。仮に冷蔵庫から電源ケーブルが2つ伸びて2つのコンセントに刺したとして、冷蔵庫は稼働し続けられると言えるでしょうか?たしかに冷蔵庫の電源コネクターや電源ケーブルの故障には対応できているため「電源の冗長化」はされてますが、停電すると電力は全く供給されなくなります。例え2つだろうが4つだろうが電源の冗長化をしても、電力を供給する元である電源系統が1つであれば、地区の計画停電や電力使い過ぎによりブレーカーが落ちるとシステムが停止するため単一障害点と言えます。
そのためデータセンターでは以下ツイートのように、A系統とB系統という呼び方でラック両端に2系統のコンセント群があり、この2系統のコンセントは別々の電源から引かれてるため、1つの筐体からA系統B系統に分けて接続していれば片方が電源トラブル起きても大丈夫なようになってます。最近はAWSなどのパブリッククラウドを触っているとこういう低レイヤーは意識しなくて済みますが、オンプレだとこういうところも気にしないといけないのか!と当時個人的には面食らいました。
https://x.com/kunihirotanaka/status/1793975229511053512?s=46&t=nZ_PbX3D6h_J5Ktdcz3eug

tips

  • 電源冗長化については、そもそも電源が抜けること自体良くないため、電源抜けの対策として以下のようなプラグ固定バンドなるものがあります。私は以前のチームで、電源冗長されてない細々した通信用途のためのルータが、ベンダーが物理作業中に電源に触れたせいで通信断起こり、是正策としてこの固定バンドを電源冗長している筐体含めて全てに取り付けた思い出があります。。。
    https://www.hikarikobo.jp/product/153
  • また、どの電源がどの筐体のものかが分かるよう、電源プラグにシールや専用製品で物理的なタグをつけたりもします。ラックの中が筐体で埋まってくると電源コードもスパゲッティのようになり元を辿れなくなるため、運用を見据えてこのタグ付けも必須タスクでした。

おわりに

今回は電源と電源系統の冗長化について記載しました。言われてみればそうだろという内容かもしれませんが、オンプレの業務をしてないと中々意識しない部分だったのではないでしょうか。
この記事のまとめとしては

  • 電源の冗長化はエンタープライズ向けの機器側で、電源コネクターを複数にすることで対応しているよ。
  • 電源系統の冗長化はデータセンター側で、別々の電源系統から電力を引っ張ってきてるよ。

となります。次回はケーブルの冗長化かラックの冗長化あたりを記載しようかなと思ってるので、よければ次も見てください!


以下には潰し込んだ冗長化内容が分かるように「〜の冗長化」の一覧を記載していきます。最終的には全て取り消し線にするのが目標なのでまだ先長そうです。。。

  • 電源系統の冗長化
  • 電源の冗長化
  • データセンターの冗長化
  • ケーブルの冗長化
  • ラックの冗長化
  • 機器の冗長化
  • インターフェースの冗長化
  • 回線の冗長化
  • 通信キャリアの冗長化
  • ネットワークの冗長化
  • ストレージの冗長化
  • OSの冗長化
  • DBの冗長化
  • アプリケーションの冗長化

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