『SCRUM BOOT CAMP THE BOOK』を読んで大切だと思った3つのこと
はじめに
現在所属しているチームでスクラムを導入することになりました。チームにスクラムの経験者が少ない中、スクラムマスターをすることになったので、本を読んで勉強することにしました。読んだのはこちらの本です。
SCRUM BOOT CAMP THE BOOK【増補改訂版】 スクラムチームではじめるアジャイル開発
この本を読んで、スクラムを行うのに重要だと思ったことをまとめました。
本の紹介
本書は基礎編と実践編の2部構成になっています。基礎編ではスクラムの原則を紹介しています。実践編ではスクラムマスターとなった"ボク"が、スクラムによる開発を進める中でいろいろな困難に直面し、解決していく姿が描かれます。
この記事を書いている人について
サーバーサイドJavaエンジニアとして働き始めて10年以上。スクラムは2年ほど開発メンバーとして参加した経験あり。
スクラムに大切だと思ったこと
コミュニケーションをとること
この本を読んで強く感じたのはコミュニケーションを取ることが大切だということです。それは、スクラムではコミュニケーションを促すイベントがたくさん存在することから感じられました。デイリースプリントはもちろん、スプリントポーカーも会話を生み出すきっかけを担っています。
コミュニケーションが大切なのはなぜかというと、認識の齟齬をなくしたり、見逃しを防いだり、問題を早期に発見するためです。文字にすると簡単ですが実践してみると難しい。スクラムでは全員で行うイベント(見積り、デイリースクラム)が規定されており、これによって見逃しを防ぎ、問題を早期発見できる仕掛けがあります。また、スプリントレビューでプロダクトオーナーとの認識の齟齬もできる限り早い段階で見つけていきます。
本の中では、メンバーが話し合う場面が多く描かれました。話し合うことで不安な点や、認識の違いを浮かび上がらせました。話す場面を多く持つことで問題を早期に発見し、手戻りを最小限にしています。(問題点に少し遅れて気づく場面も描かれています)
コミュニケーションはコストなので少ないほうが良いと思われがちですが、適切な量のコミュニケーションをあらかじめ組み込んでおくスクラムは斬新な手法だと思いました。
改善していくということ
2つめは、改善していくということです。改善はスクラムに限りませんが、スクラムはレトロスペクティブというイベントで改善を促しています。スプリントレトロスペクティブで出たアクションアイテムのうち最低1つはバックログに含めることが規定されています。
本の中では、TDD(テスト駆動開発)を取り入れる改善を行っていました。コードが汚いことを改善するためです。これにスクラムマスターが解決に動いていたのが印象的でした。また、次はもっとうまくいく、という言葉にも表れているとおり、仕事のやり方をどんどん良いものにしていけるのもスクラムの魅力だと思いました。
個人的にも、レトロスペクティブは非常によいイベントだと思っています。私のチームでも、レビューの取り掛かりが遅い、他チームからの問い合わせが多すぎる、自動テストの時間がかかりすぎる、自動テストがタイミングが悪いと落ちるなどの問題点ありました。それらをチームが共通の課題と認識することで全員で解決していく姿勢ができたと思います。通常だと、問題というのは、見つけた人の負担が多くなりがちですが、スクラムだと全員で解決する姿勢ができやすいと感じました。実際にいくつかの問題は仕組みを作ることで負担を軽くしたり、次のスプリントで解決に取り組んだりといったことができました。
責任を持つということ
3つめは責任を持つということです。精神論のようにも思えますが、スクラムには各人が責任を持つための仕組みが用意されています。それは実際に機能を開発するチームがストーリーポイントを見積もるということです。
本の中では、初めはスクラムマスターだよりに見えていた開発メンバーも、見積もりを通じて自分たちの作業を具体化し、スケジュール感をつかむことで、作業を自分事にしていました。また、レトロスペクティブなどを通じて自分たちのチームを改善したこともオーナーシップを持つことに貢献していると思いました。
おわりに
こう書いてみると、スクラムは手法よりも人に注目した開発方法という気がしてきました。物語との相性がよいのもうなずけます。本の中では"ボク"たちがプロダクトと向き合って開発を進めていく姿が魅力的に書かれていているので、実際の現場でスクラムを採用していなくても本書を読むことをぜひおすすめします。
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