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ソフトウェア開発者としての寿命を延ばすためのバイブル(20代時点版)

2023/04/10に公開

先日、『SOFT SKILLS』という本を読みました。

『SOFT SKILLS』を読んだ内容は別途、note にまとめています。

上記の記事を書いている際に、「日本版の、それも 20 代のうちに読んでよかった本をまとめたら面白そうだし有益なんじゃないか」と思いました。

"ソフトウェア開発者"としてのバイブルは人によって異なります。なぜなら人によって専門が違うからです。Java が専門の人にとって、C#の書籍はバイブルたり得ないでしょう。

しかし、ソフトウェア開発者の"人生"としてのバイブルであれば、皆一様に同じレベルで共感してもらえるのでは?と思いました。

ということで今回は『SOFT SKILLS』に書かれている、

  • キャリア
  • セルフマーケティング
  • 学習
  • 生産性
  • 資産形成
  • フィットネス
  • マインドセット

の順に自分が 20 代前半で読んでおいてよかったと思う本。

そして、ソフトウェア開発者として生きていく上で欠かせなくなっているスキルを学んだ本。いわばバイブルを紹介しようという試みです。

キャリア・セルフマーケティング

ここに関してはこれまであまり考えたり、知識を求めようとしたことがありませんでした。

そもそも「セルフマーケティング」というキーワードを聞くだけで意識高い系の「人脈!結果にコミット!」というワードが脳内再生されて吐き気を催していました。

しかし先日出会ったこちらの本を読んだことで、「セルフマーケティング」への価値観が変わりました。

そんな唯一の本がこちらです。

SOFT SKILLS

はい、SOFT SKILLS です。

SOFT SKILLS の中ではセルフマーケティングの方法としてブログが挙げられています。

自分は過去に WordPress でブログ運営を行っていました。それに伴って書籍もかなり読んだのですが、あまり意味がなかったように思います。

その辺りのポストモーテムはこの記事に書いています。

その結果、ブログを始めるにあたって読むべき本は特にありません。

キャリア、セルフマーケティングを始める上で読むべき本は SOFT SKILLS1 冊で十分だと思います。あとは実践あるのみ。

学習

学習については自分なりに試行錯誤してよりよい方法を求めてきました。

その結果、受験や資格取得等で成功してきたこともあり、勉強の方法についてはある程度達人になったつもりでいました。

しかし、今以上にスキルを向上させるために、もっとよい勉強方法がないのだろうか?ということを追い求めた結果行き着いたのがこれらの本です。

東大独学

この本で面白かったのが、「頭のいい人ほど質問する」ということについてです。

たしかにこれまでの人生の中でも、東大や京大へ行った人や「この人めちゃくちゃ頭いいな」と感じた人ほどたくさん質問をする傾向があったように思います。

この本では、「頭のいい人ほど聞いた話に対してより思考が深くまで進み、なぜ?に突き当たる回数が多くなる」と考察していました。

このことを周りにいる優秀なソフトウェア開発者に当てはめてみると、確かに彼らは常に「なぜ?」を抱いていることに気づきました。

それ以来、自分も「なぜ?」を抱くことと、それを解決することに重きを置いています。

達人のサイエンス

人の学びの成長曲線は一次関数ではなく二次関数的なもの。

つまり、努力に比例するわけではなく、ある点を境に能力は伸び、またある点になると成長が滞るもの。

その成長の滞りのことをこの本では「プラトー」と定義し、そのプラトーを乗り越えるには?を考察しています。

常に新しい壁にぶつかり、ソフトウェア開発者という達人として能力開発に励む我々にはうってつけの本となるでしょう。

生産性

私たちソフトウェア開発者はプログラムを書くことに対してのみ生産性を見出しがちです。

しかし実はソフトウェア開発者の生産性のボトルネックになるのはそれ以外のスキルだったりします。

例えば会議、資料作成、クライアントや PdM への仕様確認といったものはソフトウェア開発者の時間を奪うものの一つです。

そして私たちはこう言います。

「コードだけを書いていたい」

と。

しかし、会議や資料作成、仕様確認に必要なスキルはコード書くためのアルゴリズムと同じくらい基本的で不可欠なものです。

また、自己研鑽を適切に行うことはソフトウェア開発者本来の仕事の生産性を向上させます。

本章ではこれらのスキルを得るために参考になった書籍を紹介します。

人生を変えるモーニングメソッド

早起きについて書かれた本です。

なぜ早起きがいいかというと、究極的には「確実にやらないといけないことをこなすには朝が最も効率的」だからです。

理由は以下の通り。

  • 脳の疲労が最もない状態
  • 早朝は邪魔が入らない
    • 飲み会や推しのライブなど、イベントは昼〜夜にかけて発生するもの
  • 既にやるべきことが終わっているので、昼以降は好きなように過ごすことができる

世界で一番やさしい会議の教科書

社会人になってからずっと思っていたこと。

「会議が下手な人が多い」

しかし、いざ自分が会議を回す側になると「あれ?うまく回せない…」となる。

「なぜ?」を突き詰めた結果、理由は単純で「誰にも教わっていないから」

ここに尽きました。

なら本から学ぼう!ということで色々読んだなかベストだったのがこの本。

クライアントとの会議でこの本で学んだスキルを実践すると、これまでは時間がいくらあっても終わらなかった会議がきちんと時間内に終わるようになりました。

新卒への研修では無駄に時間の長いマナー研修とか精神教育ではなく、こういうことを教えて欲しいものです。

余談ですが、今自分がいる会社はファシリテーターがとても上手な人が多い(ほとんど全員)です。

世界で一番やさしい資料作りの教科書

社会人になってからずっと思っていたこと、その2。

「なんだこの見にくい資料…なにがいいたいのかわからんし…」

しかし、いざ自分が資料を作る側になると「あれ、どう作ればいいかわからん」となり(以下略)

先に紹介した会議の教科書と同じ著者の方の本。

この本を読んでから、外部の組織の人からも「いい資料だね」と言ってもらえることが多くなりました。

https://twitter.com/kanbenshiteyo25/status/1636712672124354561

https://twitter.com/SANdglAss1229/status/1636592983742255105

https://twitter.com/magnolia_k_/status/1636352774001799168

「説明が上手い人」がやっていることを1冊にまとめてみた

社会人になってからずっと思っていたこと、その3。

「説明が下手な人が多い」

しかし、いざ自分が説明する側になると「あれ、何が言いたいのかよくわからない」となり(以下略)

この本で説明の仕方を学びました。

とりあえず、上司やチームのメンバーと話す時に意識することは、事実 解釈の順に話すこれだけです。

ただそれは状況によりけりとこの本では言っていて、シチュエーションごとに最適な説明の仕方を解説してくれています。

本を読むのが面倒な人は、オリラジのあっちゃんの解説動画を見るといいです。面白い上にわかりやすいという最高の説明をしてくれています。

https://youtu.be/pdSllNwtDDI

世界で一番やさしい考え方の教科書

https://amzn.to/3NFLhKc

先に紹介した「会議」「資料作り」に続く"世界で一番やさしい"シリーズの三作目。

これまでの時代は、「なにかを知っている人」が評価されてきましたがネットが発達し、ChatGPT が台頭した今その価値観は変わりました。

わからないことがあれば、すぐに調べて解決できるようになったからです。

これからの時代を生き抜いていくためには「知っていることをどう解釈し、新たな気づきをどう引き出すか」が重要になってくると考えています。

しかし、「新たな気づきを引き出すために考える」のはいざやろうとすると難しいものです。仕事でも、「もう少しよく考えて」と言われることってありますよね。

この本ではその"どのように考えればよいか?"という方法を授けてくれます。

世界一流エンジニアの思考法

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現役米マイクロソフト社員の牛尾剛さんが書かれた本です。

この本では実際にマイクロソフトで働く中で、優秀な同僚たちの習慣や行動を観察し、自分に取り入れられた牛尾さんの実体験をもとに書かれています。

個人的に刺さった内容としては、

  • 理解に時間をかける
  • 優先順位をつけ、最優先のものだけに集中する
  • 楽しくなくて苦しい時は無理があるサイン
  • 「読んだ人がどう感じるか?」を意識しながらコードを書く
  • 批判するのではなく、何を貢献できるかを考える
  • 自分の人生や幸せに責任を持って、自分でコントロールする

このあたりのエピソードですね。

自分の生産性を上げたいと思っている人には何かしら得られるものがある内容になっているハズです。

心療内科医が教える本当の休み方

https://amzn.to/3LWQBqw

働き方や仕事術に関してはかなりノウハウというか自分なりのメソッドを持てる様になってきました。

が、休み方については正直正解がわからない人が多いのではと思います。

「結構連休とったのに、なんか疲れが取れてる気がしない…」「休む前より死にたくなってる…」

という状態は健全な状態ではないと常々思っていて、「ではどうするか?」の答えがここにありました。

資産形成

資産形成について学ぶ上で一番最初にやらなくてはいけないことは、「お金は汚いもの」だとか「資産形成ってうさんくさい…」という先入観を払拭することです。

間違った先入観を取り除いた上で、正しい知識を身につけていきましょう。

資産形成は自分の人生を豊かにするための活動です。

インベスター Z

『ドラゴン桜』の三田先生が書いてる本。この記事唯一のマンガです。(全 21 巻)

とりあえず、「お金は汚いもの」と思っている人はまずこの作品を読んでその間違った先入観を改めてください。

自分自身はマンガということもあって、この作品はもう 10 周はしてると思います。それぐらい深いし、何回読んでも面白いし、色褪せない内容です。

本当の自由を手に入れるお金の大学

間違いなくお金に関する本の中で、令和の名著。

『SOFT SKILLS』がソフトウェア開発者に包括的に必要なスキルについて体系的にまとめた本だとすれば、この本はお金についてのそれです。

お金を「貯める・稼ぐ・増やす・守る・使う」という内容について、それぞれを深掘りした本はたくさんあります。

しかし、これらを体系的にまとめた本は、こちらがパイオニアでしょう。

『インベスター Z』でお金への間違った先入観を払拭したら、この本でお金のことについて体系的にインプットしましょう。

33 歳で手取り 22 万円の僕が 1 億円を貯められた理由

著者がサラリーマンであることに再現性を感じて購入した本です。

この本は冒頭から、「会社は守ってくれない」という悲しい話から始まります。

これがまたその通りで、自分自身新卒で入社した会社は 4 年後には後継者問題により別会社に M&A される事態になりました。

そうした突然働けなくなる事態に陥ったとしても生きていくために、資産形成をしていく上での考え方や、始め方について参考になると思います。

フィットネス

Youtube の「a day software engineer」でタグ付けされた動画や、スタートアップの PR では、よく筋トレにフォーカスしています。

『SOFT SKILLS』でも筋肉についてずいぶん熱く書かれていましたが…

健康な体でいることは、ソフトウェア開発者以前に一人の人間として生きていく上で絶対に必要なことです。

ただ、自分のスタンスとしてはムキムキであることは確かにいいことですが(実際カッコいいです)、筋肉をつけることはソフトウェア開発者が運動する理由の本質たり得ません。

ソフトウェア開発者が運動をしなければならない理由は、「運動しなければ脳が成長しないから」そこに尽きます。これは科学的にも証明されていることです。

よってフィットネスと脳は密接な関係があり、切っても切り離せないところです。

この本質的な部分を踏まえた上で、フィットネスに関係する本を紹介します。

一流の頭脳

まずはこの本を読んで、脳と運動の関係性について理解してください。

そして、私たちソフトウェア開発者最大の資産である自分の「脳」のことをきちんと理解したうえで、資産を育てていきましょう。

ちなみにこの一流の頭脳とは、「一流の人間の頭脳」といった意味ではなく、脳そのものの品質のことを指しています。

脳を鍛えるには運動しかない!

タイトルが全てです。

この本を読んで、脳が成長するメカニズムと運動が脳に与える影響について知ってください。

それと、脳と運動がもたらすメンタルや加齢への影響についても書かれています。

体が動く若いうちからそういった疾患への対策もしておきましょう。

体を動かしたいと思った時には、もう体は動かないのです。

スタンフォード式 最高の睡眠

睡眠は運動や勉強の効果を最大化するために必要不可欠なものです。

運動や勉強の習慣が身に付いたら、睡眠にも目を向けていきましょう。

また、睡眠の質は仕事の生産性にも大きく関わるというのは、みなさん身を持って経験しているはず。

ソフトウェア開発者たるもの、睡眠にまで気を使ってこそ一流ではないかと。

マインドセット

自分がソフトウェア開発者として一番大切だと思う部分です。

「マインドセット」というと「宗教(笑)」のように言う人間がいますが…

マインドセットとは自分自身をコントロールする能力のことで、「マインドコントロール」とは一線を画したものです。

メンタルはパフォーマンスに大きく影響するものであり、プレッシャーがかかる状況でも通常通りのパフォーマンスを発揮できるソフトウェア開発者こそ真の一流だと考えます。

いつでもどこでもどんな状況でも普段通りのパフォーマンスをコンスタントに発揮するために、自分をコントロールする方法を習慣化しておきましょう。

ただし、メンタルを訓練することはものすごく難しい…自分でも成長している自信はあまりありません。

反応しない練習

今回紹介する本の中で、一番自分の中でバイブルになっている本です。

この本で紹介されている考え方を身につければ、仕事だけでなく私生活においてもお金をかけずに豊かになることができると思います。

結局感情とは「心の反応」の出力であり、それをコントロールすることで人はより幸せになれるというスタンスの本。

ちなみにこの本の著者の草薙龍瞬さんは東大法学部卒の僧侶です。

そのため本の内容は全く宗教的でなく、実に論理的です。

こころを洗う技術

人の心を乱すのは何もその瞬間起こった出来事だけではなく、過去の出来事についてもふとした瞬間に想起し私たちの心を乱します。

そんな過去の出来事という「こころの汚れ」を洗い流し、自分の心をコントロールする方法を身につけようというのがこの本です。

『反応しない練習』と同様に、草薙龍瞬先生の著作です。

「会社がしんどい」をなくす本 いやなストレスに負けず心地よく働く処方箋

たとえどんな素晴らしい取り組みをしている会社で働いていたとしても、「会社がしんどくない」なんて人はいないと思います。

会社で働いていれば、ノルマや成果を求められたり、周囲のメンバーと能力を比較される。お客さまの期待に応える必要がある。

つまり何かしらと競争している以上、負けに対するプレッシャーを絶対に避けては通れないからです。

そんなプレッシャーやストレスに晒される環境で、「どんなメンタリティであるべきか?」「どういう心の持ち方をしていればストレスを和らげることができるか?」をこの本は教えてくれます。

自分はこの本を読んでから、程よく肩の力を抜いて仕事ができるようになりました。

Search Inside Yourself

https://amzn.to/3Um736Q

さて、ここまでの内容を読んでもなお「メンタル(笑)」「宗教(笑)」と馬鹿にしていた人たち。

これでもまだ馬鹿にしますか?

天下の Google でもマインドセットの思考法が研究・実践されているのです。

この本では Google 内で実践されているメンタルへアプローチする取り組みについてまとめられたものです。

最初の 2 冊が信用できない、と言う人はまずこの本から読んでみるといいかもしれません。

ただ、結局やっていることは最初の 2 冊と同じようなことだということは、あらかじめここに書いておきます。

番外編

医者が教える食事術 最強の教科書

フィットネスに入れるべきか迷いましたが、分類としては運動でも脳でもないので章を一つ作りました。

人間の体はその人が食べたものでできている、という事実は疑いようのない真理です。

しかし、食事と健康にまつわる知識で実は間違ったものも多くあり…

この本を読んでその間違いを正しておきましょう。

運動、睡眠、食事

この3つに正しく知識でもってアプローチし、いつまでも健康な体でいたいものです。

なれる!SE

駆け出しエンジニア全員が読むべきバイブル。エンジニアとしての気概や"あるある"を学ぶにはうってつけです。

まともな経験をしてきたエンジニアであれば、『なれる!SE』の状況に「あるある w」と共感できるはず。

ちなみにラノベです。全 16 巻。

「こんな有能な新卒いねぇ!」と「俺もこんな可愛くて有能な上司が欲しかった…」という感想を読んだ全員が抱くはず。

おわりに

私の人生はここに書いた本たちが変えてくれました。

この本たちが、これを読んだあなたの人生にも役立つことを祈っています。

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