LabRAD入門①:概要とインストール方法
有償のLabviewなどで実験装置の制御をしている方々へ、オープンソースソフトウェアのLabRADのご紹介です。例えばPythonだけですべての測定装置の制御、データ取得などが可能です。
LabRADの概要
LabRADはRS232CやUSB, GPIBなどのインターフェイスあるいはイーサネットなどで接続された多数のハードウェアの制御やデータ取得などを行えるプラットフォームで、カリフォルニア大学サンタバーバラ校のJohn Martinis(現在はSilicon Quantum Computingに移籍:量子超越性の研究の論文が話題になっていた)でも使用されており、大規模で複雑な測定系でも分散処理と非同期通信が可能なのでスムーズに測定を行うことができることが特徴。
参考リンク
インストール手順
(以下の手順はwindows10, python 3.8の場合)
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最新版のJavaをインストール(こちらからどうぞ)
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LabRADをインストール: こちらから
scalabrad-0.8.3.tar.gz
をダウンロード&解凍してwindowsの場合なら例えばCドライブ直下にLabRADというディレクトリを作成し、その中に置く。つまりC:\LabRAD\scalabrad-0.8.3
というフォルダ構成になる。 -
LabRADをPATHに追加:環境変数の設定からユーザー環境変数に
C:\LabRAD\scalabrad-0.8.3\bin
とC:\LabRAD\scalabrad-0.8.3
を追加。さらに毎回のパスワード入力省略にのため、システム環境変数に変数としてLABRADPASSWORD
を作成し、値にpass
を入力。またローカルでLabRADを動かす場合(通常はローカル)、同様にシステム環境変数に変数としてLABRADHOST
を作成し、値に127.0.0.1
を入力。
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バグの修正:
C:\LabRAD\scalabrad-0.8.3\bin\
にあるlabrad.batファイルをエディタで開いて92行目の%JAVA_EXE% %JVM_OPT%
の両側にダブルクォーテーションをつける。
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LabRADが起動するかどうか確認:コマンドプロンプトでlabradと入力して、以下のように表示されればOK。
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pylabradのインストール: 例えばコマンドプロンプトで
pip install pylabrad
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Python上でlabradを使えるか確認。labradをimportして、
cxn = labrad.connect()
としてcxnの中身を見たときにLabRAD Client:~~~が表示されればOK。
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データ保存場所(vault)の決定:Data Vaultサーバーを初回起動時(例えば、こちらをダウンロードしてPythonで実行)すると下記のような画面が現れるので、defaultの場所(
C:\Users\User\.labrad\vault
)で良い場合はenter、別の場所にしたい場合はそのパスを入力。(vaultの場所は後からでも変更可能。)
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PythonベースでLabRADを使う準備が完了。
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