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0825 1人に届ける作品を作る

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人に見せる日を想像して作ってみる

創作をしていると、しばしば「これは誰にも見せないままでいい」と思ってしまう。練習だから。未完成だから。たいしたものではないから。

そうやって、自分の中だけに閉じ込めてしまうことは多い。けれど、一度でも「誰かに見せる日」を想像して作ってみると、不思議なくらい作品の温度が変わる。

それは完成度を高めるための圧力ではなく、
「伝えたい」というエネルギーになる。

見せることを想定すると、作品は育つ。人に見せることを意識した瞬間、視点が外に向く。

「これを見た人はどう感じるだろう?」
「ここで笑ってくれるだろうか」
「この一瞬で心が動くだろうか」

その問いが、作る手を変えていく。ただ、自分の満足のために動かしていたコードや針や文章が、誰かの心に届くかどうかという基準に変わる。

この切り替えは、作品を「自己表現」から「他者とつながる体験」へと引き上げてくれる。

「まだ見せられない」の先にある罠

私たちはよく「完成したら見せよう」と思う。でも、完成という言葉はいつも少し先に逃げていく。

完璧を目指せば目指すほど、見せる日は遠のいていく。本当に必要なのは、完璧さではない。

「この段階で一度、誰かに見せる」という勇気だ。それが次のステップの燃料になる。

むしろ未完成のまま見せることで、思いがけない反応をもらえることがある。そこに「続ける意味」が生まれる。

想像する相手は、たった一人でいい

「人に見せる」と言うと、多くの人を思い浮かべてしまうかもしれない。でも大切なのは、たった一人でいい。

未来の自分でもいい。身近な家族でもいい。同じ道を歩んでいる誰かでもいい。

「この人が見てくれる日」を想像するだけで、手の動きは変わる。集中力も、仕上げへのこだわりも、自然と高まる。

想像が与えてくれる力

人に見せる日を想像すると、作る過程が豊かになる。ただ時間を費やすだけではなく、「届ける未来」がそこに立ち上がる。

これは、努力の方向を定める羅針盤のようなものだ。目的地が見えない航海では不安ばかりが募る。でも「この港にたどり着きたい」と思えれば、進む力は自然と湧いてくる。

今日の一歩を未来につなげる

だからこそ、今日作っているものに問いかけてみたい。

「これを、誰に見せたいだろうか?」

答えが出なくてもいい。ただその問いを持つだけで、作品は未来とつながる。そして、その未来を想像することが、今を支えてくれる。

人に見せる日を想像して作ることは、作品を育てると同時に、自分自身を育てることでもある。

未来に誰かが受け取る姿を思い描きながら、今日の一歩を積み重ねる。それは、創作の最も静かで、しかし最も力強いモチベーションなのだ。

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