Vitest Workspace でテストごとに異なる実行環境を使う
Vitest の Workspace について
Vitest には v0.30.0 から Workspace 機能が追加されていて、共通設定などを一元管理できるようになっています。
これはドキュメントにもある通り、一応は monorepo のビルトインサポートという位置付けなのですが、実際には Workspace
というのは特にディレクトリを指しているというわけではなく、独立したテスト実行単位のようなものです。
そのため、どちらかというと Playwright の Projects に似たもので、同じ package 内であっても論理的にテスト実行の設定を切り分けるような使い方ができます。
設定
デモリポジトリです。
vitest.config.ts
の代わりに vitest.workspace.ts
を作成し、例えば以下のように設定すると、*.node.test.tsx
では node
が実行環境として使われるようになります。
import { defineConfig, defineWorkspace, mergeConfig } from 'vitest/config';
import react from '@vitejs/plugin-react';
const sharedConfig = defineConfig({
test: {
setupFiles: ['src/__tests__/setup.ts'],
},
});
const browserConfig = defineConfig({
plugins: [react()],
test: {
name: "browser",
environment: "jsdom",
exclude: ["src/**/*.node.test.{ts,tsx}", "node_modules"],
},
});
const nodeConfig = defineConfig({
test: {
name: ' node',
environment: 'node',
include: ['src/**/*.node.test.{ts,tsx}'],
},
});
export default defineWorkspace([
mergeConfig(sharedConfig, browserConfig),
mergeConfig(sharedConfig, nodeConfig),
]);
公式ドキュメントにある設定方法とちょっと違いますが、自分の中ではこのあたりが分かりやすそうな書き方だと思いました。
使うことありますか?
正直、使わなくても良いケースが大半だとは思います。
というのも、これを見るだけだと、
「jsdom
環境だと Node.js の API やサーバーサイドの環境変数にアクセスできなかったりするから、そういうものに触るモジュールのテストでは node
を使用するようにする必要があるんだな」
と思うかもしれませんが、実際は jsdom
はブラウザ API にアクセスできるようにする拡張のようなもので、Vitest が Node.js で実行されているのであれば実装は普通に Node.js API にはアクセスできてしまいます。
どんな時に使うか
じゃあどういう時に使うかというと、これは実際に自分が困った例なんですが、jsdom
環境で実行すると単純に以下のような関数がエラーになります。
function getSecret() {
if (typeof window !== 'undefined') {
throw new Error('This is not a browser!');
}
return 'SECRET';
}
正直これについては、例えば isServer
の実装を外部化して、vi.mock() でサーバーであるかのように見せればいい話ですが、これがライブラリ側に書かれていたりすると、モックする以外では対応できなさそうです。
この関数について、実行環境を node
にしてあげれば期待通り typeof window
は undefined
になるので、'SECRET'
を返すことができます。
これの対応のために Vitest の環境を jsdom
/ node
で切り替える仕組みを入れることが妥当であるかどうかはさておき、確かに「ブラウザでないこと」の分岐が発生する実装はたまによくありそうで、そういう時には Workspace が役に立つかもしれません。
もっとカジュアルに変更できないのか?(できない)
ファイル名に変更が入るのはやや面倒ですよね。
例えばテストファイルスコープの設定と言えば vi.setConfig()
があり、こういうので設定できると楽だったんですが、そういう設定はできません。まあ実行環境なので、実行時に読み取られる個別の設定よりはもっと前段で分岐が必要そうです。
それと、例えば Storybook の tag や Playwright の Group tests annotation のように、ファイル名ではなくコード上の記述で何らかこれを分岐する余地があればもっと良かったんですが、今のところそういう設定も難しそうです。
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