recap: DX白書2021 (要点だけまとめてみた)
はじめに
こんにちは。 KDDIアジャイル開発センターの小板橋です。 この記事は、KDDI Engineer&Designer Advent Calendar 2021の8日目の記事です。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)より、今年(2021)の10月ごろにDX白書2021というものが公開されました。
今回は、このDX白書2021について要点をまとめていきたいと思います!
DX白書2021とは何か?
企業を取り巻く環境が変化を続ける中で新たな事業環境に合わせた事業変革が重要となっている今日。
企業の環境変化や企業文化を変革していく**DX(デジタルトランスフォーメーション)**への取り組みが必要になっていることから、IPAが人材、技術、そして戦略の要素を統合し発刊したものが「DX白書2021」です。
DXとは何か?
DX白書2021では、DXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。(参照元)
DXの取り組み状況
- 日本ではDXに取組んでいる企業は約56%であるのに対して米国では約79%なので、米国の企業の方がDXへの取り込みは進んでいる。
DX戦略の策定と推進
- DXを全社的な取組として推進するためには、全社共通の危機意識や取組指針を持つ必要がある。
- つまり、DX戦略の策定に際しては、まずDX推進によって達成すべきビジョンを定める。
- そのためには、DX戦略策定で、経営戦略だけじゃなく、IT戦略や事業戦略も整合して、経営のコミットメントのもとに変革を推進していく。
DX戦略の策定と推進には下記の4つの内容が重要
① : 外部環境変化のビジネスへの影響評価
- DX戦略策定では、自社のあるべき姿(ビジョン)達成に向けて、外部環境の変化や自社のビジネスへの影響を鑑みた取組領域を設定することが必要となる。
外部環境の変化って何??
=> コロナのパンデミックなどが外部環境変化をさす。
- 外部環境の変化で取り残されないよう、ケイパビリティ(企業競争力を高めるための組織能力)を確保できるDX戦略を考えておくことが必要である。
そして日本企業は、外部環境変化を事業機会と捉えてDXを推進していくために、外部環境変化へのアンテナを高くしていくことが重要!!!
② : DX推進プロセス
- DXを進めていくうえで重要な2つのアプローチ
1 : 「新たな価値の創出」
2 : 「既存事業の業務生産性向上や働き方の変革」
③ : ~アジャイルの原則にのっとったDX推進~
- DXは、ニーズが確実でなく、技術の適用可能性も分からない(ある技術が適用するのかどうかの判断ができない)といった状況下で推進することが多い。
- そのため、状況に応じて柔軟に迅速に対応していく必要が求められる。
じゃあ、「状況に応じて柔軟に迅速に対応していく」には、どうすればいいのか??
=> アジャイルの原則にのっとったDXへの取組みが有効
- アジャイルの原則とアプローチ(顧客価値を高めるために企画、実行、学習のサイクルを継続的かつスピー
ド感をもって反復すること)を組織のガバナンスに取り入れているか尋ねた結果
- 日本企業ではどの部門でも取り入れている割合が5割未満
- 米国企業では、どの部門でも取り入れている割合が高く、「取り入れていない」割合はおよそ1割
④ : 組織的なDX推進
- DXの推進にあたっては、組織的な取り組みが必要。全社で(経営層・IT部門・業務部門など)の関係者が会話をして共通理解を形成し、ビジネス変革に向けたコンセプトを共有したうえで、推進施策に取組むことが重要
⑤ : 評価とガバナンス
- DX推進には、顧客に価値提供をして評価された指標が重要。
=> 指標なので、顧客体験価値の向上に関するKPI設定をする。
デジタル時代の人材
企業変革を推進するためのリーダーのマインドおよびスキル
DX推進を引っ張るリーダーに求める重要な資質
- 米国企業では顧客や業績などの成果評価関連する項目を重視する
- 日本企業ではリーダーシップや実行力といった個人の能力を重視する
企業変革を推進する人材の状況
-
人材の確保は、DX戦略を推進するうえでの重要な課題
=> そのため、自社の求人に対してどの程度の採用が見込めるかを把握し、継続的に人材を確保する必要がある。
事業戦略上の変革を担う人材の「量」と「質」について
- 日本企業では量と質の両面で人材不足が課題である。
- 日本企業は、DX推進のために必要となる人材要件を明らかではない。
- なので、人材のスキル評価や処遇といったマネジメント制度の整備をする必要がある。
社員の学び直し(リスキル)
- DXの推進の担い手である**社員の学び直し(リスキル)**への取組の重要度が増している。
- 日本企業では、社員の学び直しの検討に着手し、自社の方針を定めて全社員対象でのプログラムや会社
選抜による学び直しのプログラムに取組むことが望ましい。
ITリテラシー向上に向けた企業の取組
- DXの推進が広がる中で、社員のITリテラシー向上の重要性が増している
- ただ、日本企業では全社員のリテラシー向上に向けた取組みが、米国企業と比べて遅れている
- DXを推進するためには、IT部門以外の人がデジタル技術を理解することが不可欠である為、具体的な施策を実施する必要がある
DXを支える手法と技術
経営やビジネスニーズと整合したITシステムの実現
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現在は、VUCA(「Volatility:変動性」「Uncertainty:不確実性」「Complexity:複雑性」「Ambiguity:曖昧性」の頭文字からなる)の時代であると言われている。
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VUCAの時代だと、ビジネスや市場、組織、個人などあらゆるものを取り巻く環境が激しく変化する。
=> なので、3年や5年などの長期計画や戦略を立てて実行していくやり方では、その変化に追いつくことが難しい。
また、トレンドもすぐに変わってしまう可能性もある。
じゃあどうするればいいの??
なので、デジタル技術を活用することによってスピード感を持って各企業が有している機能を連携させる。
- DXを推進するためには、ビジネス環境の変化に迅速に対応できるシステムが必要
- データ分析行い、顧客のニーズをしっかりと捉え早期にサービスを出し、改善を繰り返す
=> 顧客価値を高めていく
新しい価値提供を実現するための手法
- 「デザイン思考」は、ユーザが抱える本来の課題と最適な解決策を探しだし、創出する思考方法
- 短期間でソリューションを開発し、顧客からのフィードバックを受けながら修正を繰り返す必要がある
=> これは、DX推進において顧客に新しい価値提供をするために有効な手法である
なので、「アジャイル開発」手法や、「DevOps」との相性がよいです。
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ここで言っているDevOpsとは、、開発チームと運用チームが技術的のみならず組織的文化的にも連携することでスピードと品質の向上を目指すことを指します。
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顧客に新しい価値提供をするためには、適切な開発手法を選択し活用することは極めて重要である
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IT部門と事業部門が連携することによって「デザイン思考」などの活用促進が望まれる。
DXを支えるIT基盤
- クラウドは日本でも活用が広まっており、IT基盤の構築や運営の効率化に大きな貢献をしている
=> しかし、よりDXを推進するには更なる技術活用が必要である
「マイクロサービス」や「コンテナ」は、こうしたビジネスニーズに応える技術である。
- 「マイクロサービス」や「コンテナ」に関しては、日本企業の導入は一部にとどまっている。
- ビジネス側からの迅速なシステム更新へのニーズの高まりに対応するためには、今後これらの技術活用を視野に入れるべきである。
データ利活用
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外部環境変化にすぐに対応するために、データに基づき経営や現場の意思決定を行うデータドリブン経営の重要性が高まっている
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日本企業では、「全社的なデータ利活用の方針や文化がない」「データ管理システムが整備されていない」「人材の確保が難しい」といったことが課題である。
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米国企業では、データ分析の活用を推進するChief Data Officerの任命や、データ分析を組織横断的に
推進するCenter of Excellenceを設置するなどの施策を行う
=> そのため、日本企業においても組織的な対策が望まれる。
AIの活用
- AIはデータ駆動の経営や各種の自動化さらには新サービスの実現に不可欠な技術となっている
- 今後のさらなるAIの利用拡大に向けて、AI人材不足の解消が必要になると予想されている
- 日本企業は、DXを推進する人材と自社にとって必要なAI人材を定め、そのスキル評価や処遇といったマネジメント制度の整備をする必要がある
最後に
DX白書2021といっているだけあり、かなりDXを推進させるためにはどうするべきかという観点で助言がつらつら書かれており、その助言を裏付けるデータの提示をしているように思えます。
ただ、気になったのは、DXを支えるIT基盤でマイクロサービスを使うことがDX推進につながる、つまりこれからはマイクロサービス使うのを強制しているような書き方には違和感を覚えました。
必ずしも、マイクロサービスはいいものとは僕は思わないからです。
マイクロサービスにも、デメリットがありシステムのパターンによりマイクロサービスにより複雑化するのであれば、モノリスでも良いと思います。
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