Linuxはキャッシュ不可のメモリ領域に変更する関数はないのですか?
Linuxでは、キャッシュ不可のメモリ領域を作成するために、カーネルスペースおよびユーザースペースでいくつかの関数や手法が提供されています。
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カーネルスペースでの割り当て:
Linuxカーネルスペースでは、dma_alloc_coherent()関数を使用して、キャッシュ不可のDMAバッファを割り当てることができます。この関数は、キャッシュコヒーレンシを保つ必要がある場合のDMAバッファの割り当てに使用されます。
また、ioremap_nocache()関数を使用して、物理メモリ空間の範囲をキャッシュ不可の属性を持つ仮想メモリ空間にマッピングすることもできます。これは、デバイスのメモリマップドI/O (MMIO) 領域や、キャッシュコヒーレンシを保つ必要がある場合のDMAバッファの割り当てに使用されます。 -
ユーザースペースでの割り当て:
ユーザースペースのアプリケーションでは、mmapシステムコールを使用して、匿名メモリマッピングを作成し、MAP_SHAREDおよびPROT_WRITEフラグを指定することで、キャッシュ不可の属性を付与することができる場合があります。ただし、これはシステムやプラットフォームに依存するため、使用できるかどうかは確認が必要です。
これらの関数や手法を使用することで、Linuxでキャッシュ不可のメモリ領域を作成・アクセスすることができます。ただし、適切な手法を選択し、実装することが重要です。キャッシュ不可のメモリ領域が適切に設定されない場合、データの破損やシステムの不安定性が発生する可能性があります。
Linuxカーネルのバージョンによっては、ioremap_nocache関数が廃止されていることがあります。代わりに、ioremap()関数を使用し、キャッシュ属性を指定して物理アドレスを仮想アドレスにマッピングすることが推奨されています。ioremap()は、引数として物理アドレス、サイズ、およびキャッシュ属性を受け取ります。
例えば、Linuxカーネルのバージョン4.15以降では、ioremap_nocache関数はioremap関数に統合されています。この場合、以下のようにioremap関数を使用して、キャッシュ不可のメモリ領域を作成できます。
void __iomem *ioremap_nocache(resource_size_t phys_addr, unsigned long size);
上記の関数は、以下のようにioremap関数を使用して実装できます。
void __iomem *ioremap(resource_size_t phys_addr, unsigned long size)
{
return __ioremap(phys_addr, size, PAGE_KERNEL_IO_NOCACHE);
}
PAGE_KERNEL_IO_NOCACHEは、キャッシュ不可の属性を指定するフラグです。
したがって、ioremap_nocacheが廃止されている場合でも、代わりにioremap()関数を使用してキャッシュ不可のメモリ領域を作成することができます。ただし、使用しているLinuxカーネルのバージョンやドキュメントに従って適切な関数を使用することが重要です。
io_remap_pfn_rangeは代わりにならないのですか?
io_remap_pfn_range関数は、ioremapやioremap_nocacheと同様の目的で使用されますが、それらとは異なるケースで利用されます。io_remap_pfn_rangeは、主にユーザースペースとカーネルスペースの間でデバイスメモリを共有するために使用されます。
io_remap_pfn_range関数は、既存の仮想アドレス空間(通常はユーザースペースのプロセスのアドレス空間)に、物理アドレス空間の範囲をマッピングするために使用されます。この関数は、カーネルスペースでmmapシステムコールの実装の一部として使用され、デバイスドライバがユーザースペースアプリケーションとデバイスメモリを共有することを可能にします。
一方、ioremapやioremap_nocacheは、カーネルスペース内で物理アドレス範囲を仮想アドレス範囲にマッピングするために使用されます。これらの関数は、カーネルスペースでデバイスのメモリマップドI/O (MMIO) 領域や、キャッシュ不可のDMAバッファにアクセスするために使用されます。
したがって、io_remap_pfn_rangeは、ユーザースペースとカーネルスペース間でデバイスメモリを共有する必要がある場合に使用されます。ioremapやioremap_nocacheとは異なるケースで利用されますが、それらの代わりになることがあります。適切な関数を選択することは、使用しているハードウェアやアプリケーションの要件によって異なります。
DMA_BIDIRECTIONALでもやはり同期関数は必要?