N+1問題とその解決方法

2023/03/26に公開

はじめに

N + 1問題については、たくさんの情報が既にあります。Pythonの学習中なのでPythonでまとめてみました。解釈が間違っていましたらご指摘ください。

N+1問題とは

余計なSQLを重複して発行して処理が遅くなることです。データベースとのやり取りにおいて、リレーションシップ(関連)のあるデータを取得する際に、効率の悪いクエリが発生し、パフォーマンスに悪影響を与える問題です。一般的には、ORM(Object-Relational Mapping)を使用しているアプリケーションでよく発生します。

Eager Loading(イーガーローディング):

関連するデータをあらかじめまとめて取得する方法です。これにより、複数のクエリが1つのクエリにまとめられ、データベースへのアクセスが削減されます。しかし、必要以上にデータを取得することがあり、メモリ使用量が増える場合があります。

悪いクエリの例(N+1問題):

仮定: ブログ記事とその投稿者を取得するシナリオ。postsテーブルとusersテーブルがあり、それぞれのブログ記事は1人の投稿者(ユーザー)に関連付けられています。

.py
# SQLAlchemyを使用
# ブログ記事をすべて取得
posts = Post.query.all()

# 各記事の投稿者を取得(N+1問題が発生)
for post in posts:
    user = User.query.get(post.user_id)
    print(post.title, user.name)

この例では、まずすべてのブログ記事を取得し、その後、各記事の投稿者を個別に取得しています。これは、記事数に比例してデータベースへのクエリが増えるN+1問題を引き起こします。

改善後のクエリ(Eager Loadingを使用):

.py
# SQLAlchemyを使用
# 関連する投稿者データをあらかじめまとめて取得(Eager Loading)
posts = Post.query.options(joinedload(Post.user)).all()

# 各記事と投稿者を表示
for post in posts:
    print(post.title, post.user.name)

この改善後の例では、Eager Loadingを使用して、関連する投稿者データをあらかじめまとめて取得しています。これにより、データベースへのアクセスが削減され、パフォーマンスが向上します。ただし、必要以上にデータを取得することがあり、メモリ使用量が増える場合があります。

Lazy Loading(レイジーローディング):

関連するデータを必要になったタイミングで取得する方法です。これにより、最初のデータ取得時には関連データが取得されず、必要になったときだけ取得されるため、メモリ使用量が抑えられます。ただし、N+1問題が発生する可能性があります。

悪いクエリの例(N+1問題):

仮定: ブログ記事とその投稿者を取得するシナリオ。postsテーブルとusersテーブルがあり、それぞれのブログ記事は1人の投稿者(ユーザー)に関連付けられています。

.py
# SQLAlchemyを使用
# ブログ記事をすべて取得
posts = Post.query.all()

# 各記事の投稿者を取得(N+1問題が発生)
for post in posts:
    user = User.query.get(post.user_id)
    print(post.title, user.name)

改善後のクエリ1(Lazy Loading):

.py
# SQLAlchemyを使用
# ブログ記事をすべて取得(投稿者データはデフォルトでLazy Loadingされる)
posts = Post.query.all()

# 各記事と投稿者を表示
for post in posts:
    print(post.title, post.user.name)

この改善後の例では、Postを取得した際に、関連するUserデータはまだ取得されていません。post.user.nameにアクセスするタイミングで、必要になった投稿者データがLazy Loadingされます。ただし、この例ではN+1問題が解消されていないため、パフォーマンス上の問題が残ります。Lazy Loadingはメモリ使用量を抑えることができますが、N+1問題に対処するには、Eager LoadingやBatch Loadingを検討する必要があります。

改善後のクエリ2(Eager Loadingを使用してN+1問題を回避):

.py
# SQLAlchemyを使用

# 関連する投稿者データをあらかじめまとめて取得(Eager Loading)
posts = Post.query.options(joinedload(Post.user)).all()

# 各記事と投稿者を表示
for post in posts:
    print(post.title, post.user.name)

この改善後の例では、Eager Loadingを使用して、関連する投稿者データをあらかじめまとめて取得しています。これにより、データベースへのアクセスが削減され、パフォーマンスが向上します。ただし、必要以上にデータを取得することがあり、メモリ使用量が増える場合があります。しかし、N+1問題を回避するためには、このようなEager Loadingを使用した改善が効果的です。

Batch Loading(バッチローディング):

関連するデータをまとめて取得し、アプリケーション内でキャッシュする方法です。これにより、データベースへのアクセスが削減され、パフォーマンスが向上します。

悪いクエリの例(N+1問題):

仮定: ブログ記事とその投稿者を取得するシナリオ。postsテーブルとusersテーブルがあり、それぞれのブログ記事は1人の投稿者(ユーザー)に関連付けられています。

.py
# SQLAlchemyを使用
# ブログ記事をすべて取得
posts = Post.query.all()

# 各記事の投稿者を取得(N+1問題が発生)
for post in posts:
    user = User.query.get(post.user_id)
    print(post.title, user.name)

この例では、まずすべてのブログ記事を取得し、その後、各記事の投稿者を個別に取得しています。これは、記事数に比例してデータベースへのクエリが増えるN+1問題を引き起こします。

改善後のクエリ(Batch Loadingを使用してN+1問題を回避):

.py
# SQLAlchemyを使用。BatchLoaderを使ってBatch Loadingを実現

# カスタムBatchLoaderを定義
class UserLoader(BatchLoader):
    def load(self, user_ids):
        users = User.query.filter(User.id.in_(user_ids)).all()
        return {user.id: user for user in users}

# ブログ記事をすべて取得
posts = Post.query.all()

# BatchLoaderをインスタンス化
user_loader = UserLoader()

# 各記事の投稿者をBatch Loadingで取得
for post in posts:
    user = user_loader.load(post.user_id)
    print(post.title, user.name)

# BatchLoaderで実際にデータベースからデータを取得
user_loader.execute()

この改善後の例では、Batch Loadingを使用して、関連する投稿者データをまとめて取得し、アプリケーション内でキャッシュしています。これにより、データベースへのアクセスが削減され、パフォーマンスが向上します。この方法では、N+1問題を回避でき、効率的なデータ取得が可能になります。

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