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OpenAI Gymのメンテナー

2021/09/05に公開

0. はじめに

先日OpenAI Gym絡みのトラブルシューティング記事を書いた際に友人から教えてもらった内容がちょっとびっくりだったので記事化してみました。

前提1: OpenAI

OpenAI は人工知能の研究開発を行っている企業で、先日話題になった GitHub Copilot に利用されている Codex を開発した企業でもあります。

他にも、文章から絵を生成するDALL·EもOpenAI製です。[1]

前提2: OpenAI Gym

OpenAI Gym は2016年に公開[2]された強化学習用のシミュレーション環境で、Atariのビデオゲームや3Dロボットの操作などを統一的な枠組みで利用できるようにしました。

強化学習に興味を持った人が、最初に触ってみる場合にも、このGymを利用することが多いのではないでしょうか?

本題: OpenAI Gymのメンテナー

さてそんなGymですが、次のような issue が2021年7月28日に建っていました。
https://github.com/openai/gym/issues/2259

概要を簡単に説明すると、メリーランド大学のコンピュータサイエンス専攻の博士課程学生 (CS PhD student at UMD) 兼Swarm Labsの設立者 (founder of Swarm Labs) の J K Terry (jkterry1) さんがOpenAIからGymのメンテナーに任命されたとのことです。

Terryさんは、マルチエージェント強化学習向けのシミュレーション環境であるPettingZooのメンテナーでもあるようです。

インストール周りの問題や、数年に渡って放置されているPR群の解消を目指すことを宣言しています。新しい環境への対応や破壊的な変更は主眼としていないとのことですが、MuJoCoやRoboticsの環境をPyBulletベースの環境に置き換えることを計画に上げています。

また、1人で大量のissue等を対応している状況なので、新しい機能・バグの修正を希望する場合はしっかりと説明を付与したPRを作って欲しいと書いています。

なお、Terryさんは OpenAI に雇われているわけでも、支払いを受けているわけではようです。
支援したいという多くの連絡があったようで、直接寄付できる寄付先が上記の issue に追記されているので、気になった方は確認してみてください。

感想

数年前にOpenSSLのメンテナーが1人しかいない問題が話題になりましたが、話題のOpenAIの名前を冠したOSSでも同じような状況なんですね。

最近のOpenAIは開発したモデルをAPIで提供する商用サービスに注力しているようですし、残念ですが Gym は重要視されていないのかもしれませんね。

脚注
  1. A. Ramesh et al., "Zero-Shot Text-to-Image Generation", arXiv:2102.12092 (2021) ↩︎

  2. G.Brockman et al. "OpenAI Gym", arXiv:1606.01540 (2016) ↩︎

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