仮想化の仕組みやメリットについて
「仮想化」という言葉はよく聞くけど、実際のところ理解していないな、、、と思い、「仮想化とは何か?」や、そのメリットについて整理しました。
1. 仮想化とは?
仮想化とは、1台の物理的なコンピュータ(物理マシン)のリソースを、ソフトウェアによって論理的に分割・統合・管理し、複数の独立したコンピュータがあるかのように見せる技術。
ここでいう「ソフトウェア」とは、「ハイパーバイザー」と呼ばれるソフトウェアのこと。
ハイパーバイザーは、CPUやメモリ、ストレージといった物理マシンのハードウェアリソースを管理し、各仮想マシンに分配する役割を担う。
このハイパーバイザーによって作られた仮想的なコンピュータが「仮想マシン(VM)」であり、それぞれが独立したOSやアプリケーションを動作させることが可能。
つまり、複数の仮想マシンは、1台の物理マシンが持つリソースを、ハイパーバイザーの管理のもとで分け合って動いている、ということ。
用語 | 説明 |
---|---|
物理マシン | 実際のコンピュータ本体のこと。CPUやメモリといった物理的な部品を指します。 |
ハイパーバイザー | 物理マシンが持つ能力(リソース)を、ソフトウェア的に分割・管理する役割を担います。 |
仮想マシン (VM) | ハイパーバイザーによって作られた、仮想的なコンピュータです。それぞれが独立したOSやアプリを動かせます。 |
2. 仮想化の種類
仮想化は、サーバーだけでなく、ストレージやネットワーク、デスクトップ環境など、ITインフラの様々な要素に適用される。
① サーバー仮想化
1台の物理サーバー上で、複数の仮想マシンを同時に稼働させる技術。最も一般的な仮想化の形態で、物理サーバーのリソースを効率的に活用することを目的とする。
② ストレージ仮想化
複数の物理ストレージ(HDDやSSD)をソフトウェアで束ね、利用者からは1つの巨大なストレージプールのように見せる技術。
仕組み: ストレージ管理ソフトウェアが物理ディスクの存在を隠蔽し、「仮想ディスク」として提供する。これにより、管理者は物理的な場所を気にせず、必要な容量を柔軟に割り当てられるようになる。
③ ネットワーク仮想化
1つの物理ネットワークを、論理的に複数の独立したネットワークに分割する技術。
仕組み: 「仮想スイッチ」や「VLAN」といった技術を使い、物理的な接続とは無関係に、ソフトウェア上でネットワーク構成を定義する。これにより、同じ物理機器を使いながら、部署ごとやテナントごとに完全に分離されたネットワークを構築することが可能となる。
④ デスクトップ仮想化 (VDI)
ユーザーのデスクトップ環境(OSやアプリケーション)をサーバー上で動かし、その画面情報だけを個々の端末に転送する技術。
仕組み: サーバー上で稼働しているデスクトップの画面を、「画面転送プロトコル」で手元のPCやタブレットに送信する。手元の端末はリモコンのような役割となり、実際の処理はすべてサーバー側で行われるため、場所や端末を選ばずに自身のデスクトップ環境を利用できるようになる。
3. 仮想化のメリット
仮想化技術を導入することには、多くのメリットがある。
- コスト削減: サーバーの仮想化によって複数のサーバーを1台に集約できるため、機器の購入費用や設置スペース、消費電力などを大幅に削減できる。ストレージ仮想化では複数の物理ストレージを1つに集約して管理コストを下げたり、ネットワーク仮想化では物理的なスイッチの数を減らしたりすることで、コスト削減につながる。
- 効率的なリソース活用: サーバーのCPUやメモリ、ストレージの容量やネットワークの帯域を、仮想化によって無駄なく柔軟に分配できる。たとえば、あるサーバーの負荷が低い時間帯に、そのリソースを他に回すといった柔軟な運用が可能となる。
- 高い柔軟性と迅速性: 新しいサーバーやストレージ、ネットワークが必要になった場合でも、物理的なマシンを購入・設置する必要がなく、ソフトウェアの設定で迅速に構築できる。
- 安全なテスト環境: 仮想マシンや、仮想ネットワークは他の環境から隔離されているため、本番環境に影響を与えることなく安全にテストを行える。万が一問題が発生しても、他のシステムに影響が及ぶことはない。
4. まとめ
仮想化は、1つの物理リソースを論理的に分割・統合することで、複数の独立した環境として見せる技術。
仮想化には、リソースの効率的な活用、コスト削減、迅速なシステム構築といったメリットがある。
Discussion